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88 武闘会 その1



いつもの様だが、今回も賭けがおこなわれている様だ。それは体育祭全部でもそうだし武闘会だけのもあるようだ。これは国が容認したかけ事でもあり公認されている。

オッズ=強さでは無く、オッズ=期待値と言えるのではないか?と思う。それに武闘会は真剣勝負だ。何が起こるかわからない。学生が中心なのでその側面は強く出るだろう。


「ザバルティ様は第三試合ですわね。」


「そうだな。だから待合室にて待ってないとな。って、何故マリリン第三王女が私の横に来ているんだ?」


「えっ?だって私の用事は終わりましたもの。後は自由ですわ。」


「そういう問題じゃないよね?」


「そういう問題ですよ?」


二人きりではないので、まだマシだが、やはりついて動くつもりのようだ。


「試合後のランチは何処で食べますか?」


「はい?」


この人は何を言っているのだろうか?いつの間にか一緒に行動する事になっている。


「これはマリリン第三王女では無いですか。」


「あら、こ、これはミーリアさん。」


「本日はザバルティ様は選手として参加となっています。今週一杯はその予定ですので、家族と共に食事をなさる予定です。勿論本日のお昼もですよ?」


「そ、それはとてもいい事ですね。お父様とお母様に御挨拶がようやく出来ますわ。」


「まさか、そんな図々しい事をお考えになっていませんよね?」


「まさか、そんな事致しませんわ。私が招待するのですから。アスワン王国第三王女としてご招待いたします。」


「ちっ。このメス・・・。」


「どうか致しまして?」


何故か、女の闘いが起こっている。武とは関係ないカテゴリーで。

そんなやり取りをしている二人を放置しようと思ったのだが、ミーリアにはちゃんと家族と一緒に居て欲しいと思い。


「ミーリア。マリリン第三王女から招待があった事を父上に伝えに行ってくれ。そしてそのまま続きを。」


「はい。かしこまりました。」


若干ミーリアの顔が歪んだような気がしたが、指示に従ってくれるようだ。


「シーリス!」


「はい。ここに。」


少しドヤ顔をしていたマリリン第三王女の顔に驚きが浮かぶ。シーリスを認識していなかったのだろう。そしてシーリスの姿を見たマリリン第三王女は苦い顔を一瞬だが見せた。


「シーリス。本日はマリリン第三王女に家族が招待された。家に連絡を入れておいてくれ。そしてお前は私について来てくれ。」


「わかりました。では早速連絡を入れます。」


シーリスに付き従っていたであろう者が気配を消す。そしてそのままシーリスは私の後ろに立つと、秘書らしい立ち振る舞いを見せる。それを見たマリリン第三王女はキッという音がしたような顔を見せるがそれも直ぐに仕舞う。


「では、ランチの準備をするように致しますわね。ザバるん。」


「よろしくお願い致します。」


「楽しみにしておいてくださいね。」


その言葉と共にマリリン第三王女は私の前から遠ざかっていった。100面相かと思う位のマリリン第三王女の顔の変化を見た気がした。


「では、控室に行こう。」


「はい。」


今回は選手それぞれに控室が用意されている。そこには色々な物が用意されていた。

食べ物から飲み物。そして運動器具にマッサージ器具等もある。


「準備が良いな。」


「それだけ、武闘会にかける思いが強いのでしょう。」


「そうなのだろうな。それより、シーリスと共に来ている者は皆、この部屋に呼んでおいてくれ。」


「わかりました。では行って参ります。」


シーリスが控室を出て仲間を呼びに行った。そして私は控室に鍵をした。


「そろそろ出てきてくれないかな?」


「気づいていたのかい?」


ふっと、影から人型の者が出て来て質問してくる。


「私もこれでも一応、【神の使徒】なのでね。同じく【神の使徒】である君を感じないはずはない。」


「それもそうね。」


すっとぼけた態度のその者は私と同じく【超越】した存在であると確信させられた。


「君が悪魔と呼ばれる存在なのだな?」


「そうだね。【天使】と反する者【悪魔】だよ。」


私の考えは肯定された。


「で、その【悪魔】が何の用だ?」


「何、簡単な事だよ。自己紹介に来たのだよ。」


今も落ち着いた様子の自称【悪魔】悪ぶれるでもなく素直に答える。


「我は邪神様より使わされた悪魔である。女神が気にしているお前を見たくてやって来たのだよ。」


「で、見た感想はどうだい?」


「なかなかに面白い存在であると我は思うよ。」


私が知る悪魔の印象とはかけ離れている姿だ。私と大差ない。


「で、どうするんだい?」


「ふふふ。それは今後の楽しみにとっておこう。私は叡智の悪魔・ジャスティ。君と言う存在を知ってしまい知りたくてやって来てしまったよ。」


「・・・。」


「なに、今はとって食おうっていう訳じゃないから安心しなよ。今は君を知りたくて来ただけに過ぎないからね。」


「・・・。」


「では、挨拶も終わったしいったん帰るとしよう。」


「もう、来なくて良いのとおもうが。」


「そうはいかないよ。君を知りたい欲求には勝てないからね。何せ悪魔だからね。」


そう、言葉を残し【叡智の悪魔・ジャスティ】は消えた。忽然と消えたのだ。










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