表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/367

86 抽選会 その1



今日は予選のスタートだ。一回戦という事になる。

その前に公平なスタートを切る為に抽選会がおこなわれる事になっている。その抽選会はある意味では選手の紹介も担っているのだ。思い出すのは高校野球の対戦抽選だ。あれは結構ワクワクするものだった。

では今日はどうなのか?


「選手の皆様。こちらへお集りください。」


今回の出場選手は総勢32名でトーナメント戦となるようだ。何故わかるかって?そりゃあ目の前にトーナメント表があるし、カミコちゃんの力もあるしでわかるよ。


「今から抽選をおこないます。この箱の中にボールが入っておりますので順番に一個づつ取ってください。取った方からスタジアム内リングへと向かってください。」


ぞろぞろと選手が一人、一人と箱の前に行きボールを取り、スタジアムのリングへと向かって行く。ようやく残り二人となったん。


「お先にどうぞ。」


「では、お先に。対戦時はお手柔らかに頼むよ。ザバルティ君。」


優男風の人がそう言って先にボールを取ってリングへと向かって行った。はて?会った事があったかな?名前を知られていた事が不思議ではあるが、有名になってしまっているようなので、変でもないのかもしれない。

私もボールを取りに箱の前に立つ。


「ザバルティ君が最後ですね。御武運を。」


そう声をかけられたのだが、どうも学院生のようだ。今回は学院の体育祭であるので、学院生が運営しているのであちらこちらにいるスタッフも学院生が中心になっている。10万人を越える学院生が紅組と白組とに分かれて競う大会なのだ。どうやら同じ組に属する人のようだ。私は今年は紅組だ。超特待生のメンバー全員が紅組である。招待された人達もそれぞれに分かれているようで、どちらかに分かれているようだ。そもそも学院生以外も出場できる体育祭であるので、エントリーがされた時点でどちらかの組に属する形だ。テーストの街が全体で楽しむ祭りなのだ。ただ、この武闘会は同じ組での戦いもある。では手抜きをする者も出ると思われるのだが、手を抜いて負けた場合は失格扱いとなる上に勝った方も敗退扱いになり、次の戦いは不戦敗になるのだ。手を抜いても勝つ分にはいいようだ。


「さて、行きますか。」


≪皆様がお待ちですよ。≫


あっしまった。最後の入場は逆に目立つじゃん。忘れてた。


≪わざと最後にしたんでは無いのですか?≫


また裏目にでた。残り者には福があるを実践しただけなんだが、結果目立つ行為であると自覚した。


「さぁ、最後はこの人です!」


おぉ~とドヨメキが会場におこってる。


「王立アスワン学院の創立以来の初の超特待生であり主席入学を果たした。あの名家出身の・・・ザバルティ・マカロッサ選手です!!」


割れんばかりの歓声が起こった。この期待値は高すぎやしないか?


≪これは、当たり前の事です。≫


キッパリと答えられた。ここまで注目を浴びると流石に恥ずかしい。声援を頂いているのでとりあえず手を上げ反応する。すると更なる歓声が上がる。その様子を面白くなさそうに見ている選手が数名いる様子が伺える。ニヤニヤしている選手もいて、闘争心に燃えている選手も見受けられるが、それら全てを気づいていない風を装ってリングに向かう。


「それでは、これより王立アスワン学院恒例の体育祭の目玉である武闘会のトーナメントの発表をおこないます!」


司会者がそう宣言すると大きなスクリーンにトーナメント表が現れる。


「今、選手全員が1から32までの数字が振られたボールを持っています。そして今からそれと同じ数字の入ったボールが私の目の前の箱に入っています。」


司会者は更に続ける。


「今から引くボールの数字と同じ数字を持つ選手がトーナメント今日に表示されていきます。それでトーナメント表が完成するという事になります。オーソドックスですが公平を期する為に今回はこのやり方を採用しました。」


確かに古典的な方法だが、公平になりやすい上に盛り上がるやり方だ。


「では抽選をおこなう方をお呼び致します。上空をご覧ください。」


司会者の言葉通りに皆が上を向くとそこには白いドラゴンが居た。


≪久しいな。マカロッサ家の者よ。≫


頭に響く声。どこかで会ったか?ドラゴンなんて試練の時以外ないのだが。そう思っていると、そのドラゴンの上から一人飛んで降りてくる者が居るのが見える。というか、カミコちゃんのおかげで私には誰なのか直ぐにわかったのだが。


「アスワン王国第三王女、マリリン様です!!」


派手な演出での登場。急降下してきたと思うと直前になりスピードが落ちてリングに立つ時にはほとんどスピードは無い状態。魔法での演出だ。


「ごきげんよう。今日は沢山の方々にお会いできてうれしく思います。」


≪我を倒した実力を確りと発揮せよ。我は見ておるぞ。≫


目の前のマリリン第三王女の挨拶の向こうでホワイトドラゴンは私に語り掛けてきた。


≪我を楽しませよ。そして再戦出来るのを楽しみにしておるぞ。≫


ホワイトドラゴンにまで期待されているようだ。先が思いやられる。そんな事を考えていた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ