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82 団体決闘 その3



≪全アスワンが驚愕した。アスワン王国始まって以来の戦慄の一日。あがらうことが出来ない運命にさらされた男達。それでも男達は逃げずに父・母・家族の為に戦う。ジャポネス統一歴743年春上映!!≫


カミコちゃんが何か映画の宣伝みたいなのを言ってる気がするのは何故だろう?知らないはずでは?


「では、続きを。」


「は、はい。」



◇◇◇◆◇◇◇



「せめて、後二戦は勝たねば。」


苛立ちより憔悴が目立ってきているカンセン。


「だ、大丈夫ですよ。後は女二人です。それに私は魔法を使って戦うつもりです。ご安心を。」


「う、うむ。そうだな。女如きに負けるはずがないな。頼むぞ。」


戦いに男も女も関係ないのだが、カンセンは古い考えの持ち主らしい結論を出す。



◆副将戦◆ バイラル・コドー VS アリソン・フォラン



「ふっ。女よ。降参するなら今の内だぞ?」


「何で降参するの?」


「女では勝てないのだよ。男には。」


「そうなの?」


「そうだ。」


「でも、ローちゃんやトーちゃんに私勝てるよ?」


「はぁ?ローちゃん?トーちゃん?」


あだ名で話をするアリソン。あだ名が分かるはずもないバイラル。


「始め!」


そんな中決闘がスタートした。


「トーちゃんって父親か?でもローちゃんって?まぁ良い。降参しないのなら行くぞ。」


「おう。早く力を見せて?」


「見て驚くなよ。この五年でやっと習得できた中級魔法をお見舞いしてやる!」


呪文の詠唱をするバイラル。それをただ、見ているだけのアリソン。ある意味間抜けな絵になっているがお構いなし。詠唱が完成し縦横二メートルほどの真っ赤な炎がアリソンを襲う。


「これ中級なの?う~ん。」


「何?」


魔法の攻撃を受けているはずのアリソンは間抜けそうな声を出す。

そしてアリソンを包んだ炎が一気に消えるとそこには無傷のアリソンが立っている。すす汚れもない。


「ば、馬鹿な!?」


「炎の魔法。さっきのだとこれ位かな~?」


さっきの炎の二倍はある大きさの青い炎がアリソンから放たれバイラルを襲う。


「無詠唱だと?しかも何だ?あの青い炎は?」


「えぇ?普通は青いんじゃないの?これ初級の火の魔法だよ~?炎の魔法じゃないよ~?」


「はぁ?これが初級の火の魔法だと?ふざけるな!!」


「ふざけてないよ~?お兄さんこそ、さっきのが中級の炎の魔法って嘘だよね?」


こんな会話をしている間にもジワリとバイラルを包み込む火の魔法。消火を試みるバイラルだが全然消えない。かき消すどころでは無く、どんどんと燃えそうになる。


「こ、降参だ!無理死んでしまう!!誰かたすけてぇ~!!!」


降参の声を聴いて慌てて審判が消火にあたるが、消えない。


「アリソン君。消してやってくれ。」


「は~い。はい。消えました。」


一瞬で火は消えた。危うく焼死体ふが一体出来てしまう所だったが何とか服が焼ける程度ですんでいるバイラル。しかし、あまりの恐怖で失神しているのは仕方がないだろう。青い火は赤い火より高温なのだから。


「勝者、アリソン・フォラン!」


「やったぁ~!!」


国中の人間は危険人物を発見したのだった。



◇◇◇◆◇◇◇



「息子よ。よもや女子に負ける事は無いと思うが、負ける事だけは避けよ。せめてお前だけでも勝つのだ。でないと、我らの将来は無いぞ?良いな?」


「は、はい。も、勿論です。必ずや勝ってまいります。」


親子は恐々状態だ。この一戦の内容結果次第では、ガリル家の存亡に関わる一大事に話は向かいそうな状況にある。

何故なら、これが決闘である事。そしてガリル家は貴族であり伯爵家である事。既に相手が勝ちというのは揺るぎない団体戦である。ここでカンセンまでも従者の奴隷のメイドに負けてしまえば、貴族としも終わってしまうであろう。ガリル家の没落が決定してしまうのだ。たかが跡継ぎの事だとしても全国生中継である。言い訳は聞かない。武力に難ありとなれば領地没収の上、貴族位の降格か悪ければ剥奪もあり得るのだ。



◆大将戦◆ カンセン・ガリル VS ミーリア(奴隷のメイド)



「まさか、こんな事になるとは。」


「・・・。」


「小娘だからと言って手加減できんぞ?!」


「・・・。」


「何か言え!」


「・・・種馬にも慣れぬゴキブリが。ザバルティ様を侮辱した事を後悔するが良い。」


ミーリアの言葉にブルリと体を震わせるカンセン。ここに来て初めて怒らせてはいけない者を怒らせてしまった事自覚した。ミーリアの殺気がカンセンを包み込む。その圧倒的な殺気にカンセンは気を失いそうになってしまう。彼はこの時の事を後にこう語っている。


『私は、死を覚悟した。この世にならざる者と対峙してしまったのだ。私の愚かなる言動によって引き起こしてしまった。悪魔や邪神ですら生ぬるい。この世界の創造主の逆鱗に触れたのだ。若輩者であり愚な人間であった私にでも瞬時にその事を理解したのだ。いや理解させられたのだ。』







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