81 団体決闘 その2
「なさけねぇなドコーラの奴は。」
「翻弄されてたな。彼奴はもう終わりだな。」
ドコーラの仲間の3人はほくそ笑んだ。これでライバルが減ったと。一人激高していたのはカンセンだった。
「ちっ。平民出の奴に負けるとか?情けない奴め。まぁ、どうせカイが一番強い相手だったという事だろう。ダイト、気を抜くなよ。」
「かしこまりました。では行って参ります。」
次鋒のダイトがリングに上がる。
◆次鋒戦◆ ダイト・セイバン VS トーマス・シュベルツ
「ほう、お前が次鋒か?ダイジョブなのかな?」
「・・・・。」
「無視かよ?先輩に対する態度がなってねぇな。SSクラスとか言われて調子に乗ってんじゃないのか?」
「・・・・。」
煽ろうとするダイトに対してトーマスは無言。
「初め!」
「じゃあ、行きま・・・。」
無言のまま、トーマスは踏み込むとダイトが気づく間もなく彼の目の前に現れ、腹に蹴りを入れる。
「な?」
そのまま、ダイトは場外へ吹っ飛ばされ壁に衝突し、壁はボロボロに崩れ落ちた。
あまりの一瞬の出来事の為会場は静まり返っている。本当に一瞬の出来事の上、呆気ない幕切れ。
慌てて審判がダイトへ駆け寄るも、ダイトは気絶していたのだった。お腹にあったであろう鎧には足跡がクッキリと残されていた。
「しょ、勝者トーマス・シュベルツ!」
液晶ビジョンにはダイトの鎧に残る足跡が映し出された。その瞬間に我に返った会場は割れんばかり大歓声に包まれた。
「や、やべぇ。何だよあれ?」
「今、動きが見えなかったんだけど?」
「なんなんだ?あの男は??」
怒りを忘れてカンセンはパニックを起こしそうになっている。勿論二人の従者も同じだ。
「た、たぶん彼奴が一番強い奴だったんだ。戦闘能力を買われて超特待生になったのは彼奴なんじゃないか?」
「きっと、そうだ。そうに違いない。」
何とか冷静さを取り戻そうとするカンセン一味。
会場のヒートアップの中、徐々に動転しそうになってきているカンセン一味。
◆中堅戦◆ ミガルト・イクト VS ロバート・セルフラン
「おい?お前も凄いのか?」
「はぁ?」
「はぁ?じゃない!どうなんだ?」
「まぁ、やればわかるんじゃないですか?」
ミガガルトはここまでの闘いを見て怖気づいている様子。
「始め!」
そんな状態をみたロバートはおもむろに剣をしまう。
「どうしたんだ?やり気が無いのか?」
会場中がそんな会話をしているがロバートは気にしている様子がない。
「なんだ?棄権か?」
「ちげぇよ。先輩打ち込んできなよ。アンタみたいなのに剣は要らない。」
「な、なんだと!?挑発しているつもりか?」
「違うよ。けど、これ位のハンデがあっても負ける気がしないだけだよ。かかってきなよ。」
まさしく『щ(゜Д゜щ)カモーン』という仕草をするロバートに流石の上級生であるミガルトは苛立ちを見せ切りかかる。
「舐め腐りやがって!!」
「そうそう。良いね。」
何度か切りかかっているが当たらない。全て最小の動きでロバートは避けている。それを見ている観客はどよめく。
「こいつも凄いな。ほとんどギリギリを避けている。つまり見切っているって事だな。」
誰かがこう説明をすると、なるほどと言わんばかりに観客は頷いたり『すげぇー』とか言っている。
攻撃が当たらないミガルトはしびれを切らして繊細な攻撃が出来なくなってきている。そんな時ロバートの頭が空いた。隙が出来たのだ。チャンスとばかりにミガルトは上段のか前から頭を狙って切りかかる。
「待ってたよ。」
ロバートはニヤリとすると両手で剣を挟んで止めた。つまり『真剣白刃取り』をやって見せたのだ。日本刀ではないけれど・・・。そしてそのまま力任せに捻りを加えると剣を折ってしまう。
「もう良いだろ?」
「な?」
居れた剣を投げ捨てるとそのままグーパンをミガルトの腹に決める。受けたミガルトはそのまま場外の壁までぶっ飛ばされてしまい壁を粉々に砕いてしまった。
「はぁ?」
「嘘だろ?」
ロバート達を見ていたほとんどの者が『ドク〇ースラン〇・ア〇レちゃん。」のキャラクター達が見せていたような目が飛び出る様な顔になっていた。特にこれから戦う予定となっていたバイラルとカンセンは酷い顔だ。
「勝者、ロバート・セルフラン!」
気絶をしているミガルトを見て審判は叫ぶ!
◇◇◇◆◇◇◇
「凄いな。途中で妙に懐かしい風景が浮かんできたけど気のせいかな?」
「はい?」
「まぁ、とにかく勝ったって事で終わりだよね5人中3勝したんだし。」
「いえ。まだ終わりではありません。」
「そうか。って、えぇ?勝ちが決定したのに?」
「はい。この戦いはあくまでも5戦する決まりです。」
「どういう事だい?」
勝ちが決まっているのに戦わなければならないのか?割愛無しなんだね。とことんやるんだね。
◇◇◇◆◇◇◇
「何をしているんですか?まだ終わりではありませんよ?」
「えぇ?どういう事です学院長?五人中三人も負けてしまいました。勝敗は決定したでは無いですか?」
「何を言っているのです?私は言いましたよね?五人全員が戦う。総力戦であると。勝敗云々ではありません。星取り戦なのです。さぁ、準備をなさい。」
バイラルとカンセンはビックリした顔を見せたが、学院長の睨みを見て直ぐに準備に取り掛かるのだった。




