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77 ひと悶着 その1



「何だよ邪魔くさいな。」


「ほら、カンセン様が邪魔だって言ってんだろう?どけよ?!」


「すいません。」


カンセンと呼ばれた者とその従者の様な者達が空いた場所を通り抜けていく。


「たく、平民共が居る所為でここら辺が臭くてかないませんね。」


「その通りでございますね。」


周りに聞こえる様に大きな声で話す者達のリーダーのようなカンセンはある人物を見つけると、更に大きな声で話し出す。


「ここら辺に平民が多いのは、どこかの薄汚い平民上がりがいるからじゃないのかな?」


「そうですね。成り上がりの者が調子に乗っているからでしょう。」


カンセンの取り巻き達はカンセンのニヤついた顔を見てのっかって、ニヤニヤしながら相槌を打つ。


「ローエンだか、イーエンだかよくわからん名前の奴がいますね。」


「元々は馬の世話係とかしていた一族だろう?ローバじゃなかったか?」


「老いたババアって事ですか?」


「違いない。わはははは。」


人を馬鹿にし見下し、大笑いをするカンセン一行。言われている人物はイライラしているものの、隣に居る者に止められている様子だ。今にも爆発しそうである。隣の者の制止を振り切り前に出る。


「うっせぇ。糞豚貴族が良い気になるなよ!」


「おぉ、よく吠える馬だ。それとも犬だったのかな?」


「なんだと?てめぇ!」


「いやだいやだ。直ぐに手を出そうとか、下賎の者はこれだから困る。」


「本当に、ささ、ここに居ては匂いが移ります。あちらへ行きましょう。」


ハンセンの取り巻きが勧める方へと動き出す。


「そんなに、平民上がりというのが問題ですか?」


「なんだ、貴様は?」


あまりにも不遜な態度に一人の男が声をかける。カンセンの取り巻きの一人がその者に気づき小声でカンセンに伝える。


「マカロッサ家の子息のザバルティの従者の一人です。その周りの男と女も同じく従者の者達です。従者とはいえ、ザバルティ同様に超特待生となっています。あの平民上がりのカイと同様に。」


「ふん。コネで超特待生とか訳の分からん扱いを受けている子爵家の犬どもか?犬の匂いがして堪らんわ。下賎の者のくせに、我に話しかけるとは。恥を知れ!」


「はぁ?」


「まったく、田舎子爵家の子息の従者は躾も出来んという事か?嘆かわしい事だ。がははは。」


「本当にそうだ。全く躾がなってないようだ。主席というのも単なるコネだったのでしょう。あははは。」


カンセン一味は大笑いしてさらに馬鹿にしようとしていた。


「今何とおっしゃられた?」


「うん?まだ居るのか?これだから田舎子爵家のコネ主席はイカン。従者の躾ができんとは。」


周辺の周りの人々には、カチんという音が聞こえた気がした。

その瞬間にカンセン一味は漏れなく全員が吹っ飛ばされた。綺麗な放物線を描き壁に衝突する。

漏れなく全員が気絶状態。呻き声の一言も発しない。ただ、胸が上下している様子があるので、死んではいないという事は分かる。


「誰一人抵抗出来ないとか。ダッサ。」


「アリソン・・・。」


「何よ?」


「「「良くやった!!」」」


「へぇ?」


「長居は無用だ。行くぞ。」


間抜けな声を上げるアリソンを囲う様にトーマスとロバートとミーリア。そして颯爽と去ろうとするザバルティの従者達。そんな彼らを周りの者達が囲む。


「いいぞお前ら!」


「最高だよ!」


「一発でノックアウト!!」


「だせぇ貴族様がいるもんだ!!」


「流石、超特待生たちだ!」


周りが大騒ぎしだした。カンセン一味に対してムカついた者達は多くいたようだ。一斉に歓喜の渦とかした。


「まずい。目立っちゃった。」


「ザバルティ様に怒られるかな?」


「仕方がありません。私達だけでなくザバルティ様を侮辱したのですから。」


「それはそうだ。」


本人達はいたって冷静だが、回りのヒートアップは凄まじい。


「兎に角この場から離れよう。」


「その方が良いですね。急ぎましょう。」


彼らは力を使ってその場からの離脱を図る。


「やっちまうか?」


「やっちまえ!!」


「やめなさいよ?」


「お前達もこいつらにムカついてるだろ?」


「そうだけど。」


「良いじゃない。男どもに任せておけば。私達は行きましょう。」


「おう。任せておけよ。」


ヒートアップした人々にカンセン一味はことごとく裸にされ、落書きをされて、さらされた。

彼らは誰が、自分達の体に落書きしたのかわからないのであった。



◇◇◇◆◇◇◇



「なるほど。でもそれだけではアリソンが凄いというだけだよね?」


「そうです。まだこの話には続きがあります。」


「どんな事が起こったの?」


「それより、ザバルティ様は怒らないんですか?」


「何を?」


「いや、勝手な事をした私達を。」


「えっ?別に怒ってないよ?」


「そうなんですか?」


「うん。だってその状況なら私でも同じ事をするよ?」


トーマスの話を聞いて答えた私に皆がビックリしている。


「彼は間違ってない事を一つ言っていたんだね。」


「「「?」」」


「従者が従者なら主も主だ。ってね。」














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