76 日常って何?
私の日常は、二人の仲間達の率先した行動によって元に戻ってきたと言える。
もちろん、確認業務はどうしてもする必要があるので、一日に一時間位は一緒にミーティングを行っている。ミーティングのおこなう時間は夕食前だ。だから昼から夕方までは時間に余裕が出来ている。
「今日は何をしますか?」
「そうだな。二週間後の体育祭の準備の為に運動でもしようか?」
前世において私が子供の頃は秋に運動会や体育祭が行われていたが、晩年の私の孫の世代は春にやる所が多くなっていたようだ。秋に行事を集中させない為だとかなんとか?
で、この世界でのこの学院においては、夏前におこなうようだ。そして私が偶然、王都に居るタイミングでおこなわれるので出場する予定になっている。
≪偶然ではありません。マリリン第三王女の要請を受けて、カンガリ大将がタイミングを図ったのです。≫
やるなマリリン第三王女。まぁ、私は前世から運動会が嫌いでは無かったというか、好きだったから問題は無い。むしろワクワクしていると言うのが本音だ。
「明日は、出場種目を決める日です。何にするか決まっていらっしゃるのですか?」
「特には決めてないな。ミーリアは決まっているのか?」
「競技にさんかするつもりは無いのですが、チアという応援するチームがあるようなので、それに参加するつもりです。」
何だか似合いそうだな。私の想像通りのチアであれば、間違いなく似合うだろうな。
「そんなに見られると恥ずかしいです。」
「あっすまん。少し考え事をしていた。」
ヤバいヤバい。良からぬ事を考えてしまっていた。女性は敏感だから注意しないと。
「もう。そういうのは私以外ではしないで下さいよ?」
「わかった。申し訳ない。」
ちょっと意味が分からないが、ここは素直に謝罪しよう。
「ところで、強制的に出なければならない種目とかあるのか?」
「知らないの?」
「ザバルティさんは説明の時に居なかったから仕方が無いよ。」
同級生のミアとセレスティアが会話に加わった。
「あのねぇ、強制的に出場しなくてはいけないのは、武闘会の部だけかな?」
「何故だ?」
「強者のみの出場となるからだよ。」
ディデルが説明をしてくれた。どうやら、この武闘会の部は選抜式のようで投票された結果で出場者が決まるらしい。何だ競馬の有馬記念とか宝塚記念のようだなと思ったのは多分というか私だけだと思うが。
「ザバルティ様は選出される確率が高そうね~。」
「そういうアリソンだって選ばれる確率あるんじゃない?」
「そうだよ。この間の事があるんだから、可能性あるわよ。」
「え~、それいうならローちゃんやトーちゃんだって同じじゃん。」
はて?何だろう?この間の事とは?アリソンとミーリアの話がわからないぞ?しかもトーマスとロバートも含まれてるっいぞ?どうなってんの??
「確かにそうだけど、一番目立ってたじゃない?」
「そうだぜ。俺やトーマスより目立つような事したじゃないか。」
いつの間にかクラスの全体で雑談しているじゃないか。が、そんな事より目立つ事ってなんだ?
「ザバルティが、面食らってるぞ?お前ら話をしてないんじゃないのか?」
「君たちの主が分かってないようだぞ?」
カイとロクトルも分かっているという口ぶりだ。
「すみません。ザバルティ様。僕達3人がザバルティ様の不在中に少し暴れてしまいました。」
「あれが、少しかよ?」
「カイは黙ってろ。お前の所為で俺達が巻き込まれたんだろうが?」
「はぁ?誰がお前達を巻き込んだって?勝手にお前らが出しゃばってきたんだろうが。」
いつの間にロバートがカイを呼び捨てにするような関係になったのだろうか?いない間に色々とあったのかな?
「ロバートもカイも少し黙っていてくれないか?」
「そうだ。そうだ。馬鹿チンどもめ~。」
「「お前に言われたくない!!」」
「何ですって?!アンタ達みたいな脳筋が何言ってんの?」
「「表に出ろ!!」」
「望むところよ!!」
「つうか、何でお前と同じ発言なんだよ?」
「カイこそなんだ?それはこっちのセリフだっつうんだよ!!」
「「あぁ~ん?!」」
折角トーマスが納めようとしてくれていたのに、アリソンの一言でまたヒートアップ。
先生!三つ巴の面倒そうな争いが勃発してます。
「とりあえず、あの三人は放置しておきます。」
「ああ。そうしてくれ。」
冷静なトーマスを見ていると、いつもあの三人はあんな感じなのだろう。他のメンバーを見てもそんなに驚いた様子が無い。
「ザバルティ様が遠征に出られている間に起こった事なのですが、その事で我々三人は目立つ事をしてしまいました。決して後悔しているわけではありません。その件のおかげもあり、こうしてこのクラスは少しづつ纏まりが出てきたと思います。」
確かにその通りのようだ。他の者も頷いている事から見てもそうだと皆が感じているようだ。




