75 それぞれの思惑!かなぁ??
あの強烈な出来事が起こった後の帰還日から早くも二週間がたとうとしていた。
私は午前中は学院で授業。昼からは屋敷に戻りセシリアと設計図と睨めっこをするという日常を送っている。あぁ、あの出来事のおかげで、毎週休み明けの午後はマリリン第三王女との面会がおこなわれる事になってしまった。マリリン第三王女の権力で強制的におこなわれている。その時間は勿体ないと思ってしまう時もあるが、マリリン第三王女には世話になっているし超特待生という事で公務員と同じような物だと思っているので業務の内と割り切っている。
「今回の要塞のコンセプトはやはり快適に過ごせる要塞って所だろうか?」
「そうですね。これまでに無い程の設備の充実から言ってもそれが妥当かと思います。」
「では正式にそれで発表しよう。」
現在はカンガリ大将閣下とセシリアと一緒に打ち合わせをしている所だ。これからプレゼンを王様の前でおこない承認してもらう事になる。その最終打ち合わせと言えるだろう。総工費は日本円にして100億円を軽く超えるとみられている。あくまで日本でならだ。現在のこの世界の基準から考えるとそれ位の価値と言えるという事で、実際のこの世界での基準で考えると重機は使わず魔法を駆使して造る事が基本なので実際はそこまでの金額にならないと思える。しかし予算的には100億円程の確保が必要であり、それを予算として提出させてもらう予定だ。
「これで成功した後は最低でも後三ヵ所は同じ様に頼みたいと思っている。」
「まだ、造るんですか?」
カンガリ大将閣下の言葉にセシリアが答える。
「そうだよ。最低でも同じような要所を守る施設は4ヵ所無いとね。」
「街道には必ず必要となってくる。国軍の強化には必要だ。」
「なるほど。そういう事ですか。」
私と、カンガリ大将閣下の説明に納得した様子のセシリア。
すると、部屋にノックがされ衛兵が入ってきた。
「カンガリ大将閣下。お時間です。」
「うむ。了解した。」
衛兵が部屋を去った後、カンガリ大将閣下を筆頭にセシリアと私は部屋をでて王様の居る場所へと向かった。
◇◇◇◆◇◇◇
「酷いものだったな。利権にばかり目を向ける貴族達。自分の立場ばかりを気にする大臣ども。我が国の将来が心配だ。」
「とはいえ、今回はケンブリット王を筆頭とした王族が賛成してくれたおかげで、設営が許可されたので良かったではないですか?」
「ケンブリット王が健在の内は大丈夫だろう。ケンブリット王が王位に居る間に、国軍の強化を急がねばなるまい。」
結果、許可が下りた。今回は初回という事もあり様子見を決めた貴族が少なからず居た事も幸いしたのだと思う。ただ、カンガリ大将閣下は思う所がある様子だ。
「先ずは、今回の要塞設営を速やかに行い。次に進めねばな。では今後の事を話そう。」
「はい。」
その後、着工までの工程を決めてその日は解散となった。
王都に居て出来る事はやっておく事となり、一か月後に現地に向かう予定となっている。
「セシリア。今回の工事において魔法使いや精霊使いが多数必要になるのだが、当てはあるのか?」
「大丈夫ですよ。あります。それに私の部下達を中心にする予定ですから、問題はないでしょう。全てを呼ぶのに時間はかかると思いますが、一か月あれば集まるでしょう。」
「では、人工も集めねばならないが、それはどうだ?」
「そちらも問題はないでしょう。冒険者ギルドにも要請致しましょう。それに、建設大臣もいますからそちらにも集めるように伝えましょう。」
「ではその辺は任せるよ。」
「そうしてください。ザバルティ様はこの一か月は学業に専念してください。それ以外の手配等は私達とセシリアさんにお任せください。」
「わかった。ではセシリアとアイリーンに頼むとしよう。」
「「はい。」」
このようにして、一端私は実務から離れる事になった。アイリーンは秘書業務から代理業務へ移る事になり、セシリアとアイリーンが二人で他の者を動かす事になったのだ。
その為、私に付き従う秘書はシーリスとコーネスの二人が交代でしてくれる事になった。
◇◇◇◆◇◇◇
「「「チャンスです。私の力を認めて頂けるチャンスが到来しました!!」」」
三人の美人秘書は同時に叫んだ。
「「「はぁ?」」」
お互いに睨みを利かせている。
「「「あんた達はそんなチャンス無いわよ!」」」
ここまで息ピッタリだ。伊達に同じ人に付き従って同じ時間を過ごしていない。
「「「ミーリア様を出し抜けるチャンスでもあるんだから、アンタ達には負けないわ!!」」」
なぜここまで息ピッタリなのであろうか?それは同じ主に使える者のサガなのであろうか?
「「「ふん!!」」」
同じ、ハイエルフという種族だからなのであろうか?
「「「あんた達には絶対負けない!!」」」
同じ、信者だからのであろうか?その答えは誰も知らない。本人達も良く分かっていないのだから。




