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73 現地調査 その2



丘の上からみた景色から、川の所在を見つけた。

この川は王都に繋がっている川ではなく、この地方の山脈から流れている川の支流の一つだ。


「あの川は?」


「あれは、西の地方を南北に分け隔てるベリアル山脈から流れるセルヌーイ川の支流でミルヌーイ川と言います。」


「では、あの方向に一団送って調査を開始してくれ。それと、あの川の上流の様子が知りたいから、そちらにも明日送る手配を頼む。」


「わかりました。」


直ぐに、ゾーイが5名の部下を連れて動く。

やはり10万規模の兵を囲うには水源は抑えねばならない。

川は多くの人が集まる場所となり、それは村となり街となり、そして文化が芽生え育まれる場所となる。それだけ人間にとって、水は必要な物であるという事だ。


「ではその他の者は、ここから川までの間の調査を開始する。」


「「「はい。」」」


先ずは、土地の状態調査をする事にした。草原とまでは行かないが、土が剥き出しになっているわけでは無い。雑草が多くて水分を多く含んでいる土地であると思った。


「どう思う?」


「そうですね。これなら、特に問題はないでしょう。それに、井戸も掘れば水がでると思いますよ。」


「よし、ではこの辺りが第一候補だね。」


一日目はこうして終わった。次の日は川の調査を優先しておこない。その川に沿って土地を調べるという事を続けた。毎日、基地に戻って寝食をする事をしながら、その周辺を隈なく調べ上げた。

もちろん、【神の使徒】の力やカミコちゃんのサポートも受けた。結果、候補地は3ヵ所になった。

明日にはカンガリ大将閣下が合流される予定日だ。


「もう一度、候補地の三ヵ所を今日回って見に行こうと思う。準備を頼む。」


「かしこまりました。」


そして、一日かけて候補地の三ヵ所を見て回った。

1ヵ所目は先に話をした通りの、見晴らしの聞く丘から川までを含む位置。

2ヵ所目はその川を中心にして上流に位置する支流と本流の合流地を中心にした場所。

3ヵ所目は2ヵ所目より更に上流に位置した、山の麓を中心にした場所。

どの場所も一長一短があると思っている。どうしても水が必要で、取り込む事を前提としているので、水害対策は必須になる。また、水に毒を入れられてしまう事も考えると川の整備を確りとおこなう必要が起こる。


「こうなると、第一候補は山の麓。第二候補は三角州。第三候補が丘の麓だね。」


「そうですね。特別な処置をする事がなければ、その順番が妥当ですね。」


セシリアとの意見は一致している。ただ、莫大な費用が掛かってしまう事は避けられない。天然の要塞には成りえない地域である事は間違いない。


「後は、改めて明日、カンガリ大将閣下にも直接候補地を見てもらって、決定する方向でいこう。」


「わかりました。戦略的方面からの意見も必要でしょうね。」


「その通りだ。残念ながらというか、良い候補地が3ヵ所もあるのだから、悩んでもらおう。」


その後、基地に帰還するとカンガリ大将閣下が戻ってこられていた。


「元気にしておったか?」


「はい。カンガリ大将閣下もお元気なご様子で。」


「うむ。で早速だが吉報は出来そうか?」


「はい。ではこちらを。」


この周辺の地区を私達の調査を基にした形で表した地図を見せて、三候補地を示し詳細を説明した。

そして翌日に一緒に回ってもらう事になった。私は軍人の経験がない為、本職の方に現地を見てもらい意見が欲しいと考がえたからだ。その方が、より面白い観点から見る事が出来る様になる事を私は嫌という程に知っているからだ。現場の事は現場の人に確認する事が何より実践向きな物を作る事が出来るのだ。


「説明は以上です。後は現場にて再度説明して、カンガリ大将閣下のご意見を頂きたいと考えております。」


「うむ。わかった。では難しい話は明日にして今日はゆっくり休もうではないか。」


その日の夜は、即座に全員休む事にして翌日は早朝より見て回る事になった。

翌日は晴天となり事細かに説明をして昼までには基地に戻ってきた。カンガリ大将閣下は子供のような様子で、楽しそうであった事だけ伝えておこう。


「では、これで候補地は決定した。次は設計図だな。」


「はい。セシリア殿の力を借りて今まで見た事がないような物を造る為の設計をしてカンガリ大将閣下にお見せ致しましょう。」


「これは、心強い言葉だな。楽しみにしておるぞ。」


「はい。ご期待ください。」


そういう会話をした後、現地を経った。

約一か月振りの帰還となるのだが、設計するのでまた自分の時間が減るのだが、想像する事をしていると色々とアイディアが浮かんできたので、この帰還中は馬車の奥の部屋であ~でもないこ~でもないとセシリアと話し合いながら、設計図を既に書き始めていた。


「ああなると、ザバルティ様は周りが見えなくなってしまうから、私達の方で確りとコントロールをしなければなりませんね。」


「そうですね。没頭しているとはこういう人の所作を示す言葉なのですね。」


そんな声があちらこちらからしていたらしい。あくまでも・・・らしい。













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