62 個室の利用
あの後、大変だった。結果、私は両親の屋敷の改築。そして領地の城の改築。祖父母の家の改築を依頼された。身内の依頼だからやるしかないのだが、学業に勤しむのは難しくなりそうだ。父上は今日、国に進言するようだ。軍の訓練所や各城や砦にシャワーの設置をする事を。
「ふう。なんだか、やる事が増えて予定が既に詰まってきてしまってるな。」
「それは仕方が無いですよ。転移魔法が使えると言ってしまったのですから。」
ミーリアの言う通り、言ってしまったいたから、気軽に頼まれてしまったのだ。シャルマンを説得する為に話をした転移魔法の事を覚えていて、父上に押し切られた。
「流石、アルカティ様だと、私の父も申しておりました。シャワーは偉大です。」
そうなのだ。父上達みたいな軍に関りがある人達にとってシャワーという手軽に体を流す事が出来る代物はありがたいのだ。
「でも、寂しくなるぅ~。」
父上は進言が終わり次第、母上と弟達を連れて領地に戻る予定になっている。領主の帰還にロバートやアリソン達の親も帰る事になる。
ただし、祖父母の二人はもうしばらく残る事になった。これも転移魔法が利用できるという事がわかり急いで戻る必要が無くなったためだ。
なので、私達の家に滞在する事になった。あと、両親の王都での屋敷も改築が一番初めにやる仕事となったのだ。設計に関してはお金は貰わないが、人工さん達の費用は払ってもらう事になっている。もちろん材料費も。
「来週からで良いと言われているじゃありませんか。今週中に学院の方は形を整えてしまいましょう。」
「トーちゃんの言うう通りなのだ~。」
自分たちは直接関係が無い為か発言が軽い二人だ。
しかし、祖父母の二人が残る事になったから、少し嬉しくもあるんだが。
「まぁ、仕方がないか。とにかく、今週は学院に集中して個室を完成してしまおう。」
「私達も一生懸命頑張りますよ。」
トーマスの発言に皆がうんうんと頷いている。それでは期待しよう。
◇◇◇◆◇◇◇
今週のスケジュールは、午前中は学院授業。昼以降は個室の完成。夕方から私達の屋敷(ザバルティ邸)の調整。これの繰り返しとなる。
来週からは昼以降は父上の屋敷(アルカティ邸)の改築準備&改築作業となるのだが、全てをそれにあてれるのか?というとそうもいかない。だから、スケジュールの組み立てがどうしても必要となる。
その為にハイエルフの秘書を帯同する事になるのだが、3人しかいないので、ザバルティ邸に一人。常に付き添うのが一人。学院の個室に一人と3人必要なのだ。これでは休みを与える事が出来ない。そこで、個室の方は置かない事にした。これで、休みがとれる。応急的だがこれで対処する。
その内、通信手段を確立しなければいけないと改めて思わされた。
で、現在・・・もめている。男対女でもめている。
「だから、これはこっちの方が良いでしょ?」
「それは効率が悪い。それはこっちの方が良い。」
「トーちゃんはわかってないね~。」
「アリソンだけには言われたくない!」
「「あ~ん?!」」
これだよ。すぐこうなる。折角買い物もして色々準備したのに、現場に来てこうだよ。これを毎日繰り返して気づいたら、三日経ってるよ。やはり、男と女では感性が大きく違うから難しいのかもしれない。何かの本で読んだ事があるのは、異性は他の惑星から来た異星人だと思えっていう言葉があったのを思い出した。根本的は考え方や発想がDNAの段階で違うらしい。
「「で、ザバルティ様はどっちが良いんですか?!」」
正直、どっちでも良い。どちらであっても些細な事だ。しかも、決着したんじゃなかったのか?って思う事もある。だが。
「そうだな。甲乙つけ難い。ここは、一度全てを白紙に戻して、各人で個室を思う様に使うというのはどうだろうか?」
「それじゃ、一緒に居られないじゃないですか!!」
「そうは言うが、当面は私は建設の関係で動く事になりそうで、ここにはあまり居ないと思う。もちろん建築に必要な物の研究をするつもりではいるが、それはここでなくても良いからな。」
「「「そんな~。」」」
「では、こうしないか?私の個室は皆で使う部屋として、皆の部屋を各自が思い思いの使い方をするというのは?そうすれば、ここの部屋に人が全くいないという事も少ないだろうし、学院のこちらに問い合わせがきたら、対応してくれたら私も助かるし、どうだろうか?」
ここまで、紛糾するとは思っていなかったし、屋敷があそこまで充実するとは思っていなかったから、個室の活用にそこまで拘る必要が無くなったと言えるのだが。
「それで、手を打ちましょう。」
「そうですね。仕方がありません。ここまで決まらないとは思いませんでした。」
「ザバルティ様には屋敷がありますもんね。」
賛成多数で決定した。ミーリアだけは嫌そうであったが、他の皆が賛成したので、渋々と言った感じで了解してくれた。
では、この休憩室を最高の物にしよう♪




