61 屋敷 内装
「「「いらっしゃいませ。」」」
この屋敷に住む全ての者が整列して皆を迎え入れた。恰好は様々で、警備を担当している者は鎧姿であるし、家事をする者は執事服やメイド服をきている。料理人はコックの格好だ。これには慣れたもので、皆は驚きはしなかったが、その奥にある大きい階段に目を見張っている。この場所は玄関天井まで吹き抜けになっており、天井はガラス張りで、とても明るい。洋館と言えば薄暗い感じがする物だが、ここは違う。床には赤い絨毯が敷かれ豪華だ。我ながら良いセンスだ。
「実に素晴らしい。ザバルティ。お前は本当に凄いな。」
「ありがとうございます。」
「では皆様、屋敷内をご案内致します。」
セシリアが皆を連れて動き出した。そしてここに住む者達はそれぞれの持ち場に戻っていく。
この屋敷内で案内するのは二ヵ所。そして最後の本館の裏にあるあれだ。
先ずは階段奥にあるエレベーターだ。これは、魔法が電気の代わりになっている。エレベーターの仕組みはある程度わかってるが、この世界には電気が無い。そこで、魔法を使う事を考えた。カミコちゃんの知識の中に魔法のエレベーターの概念があった。この概念と現代地球の知識を組み合わせ作成した。ので、基本的に魔力を通さないと動かない。少量の魔力で動くようになっている。仕組みは簡単だ。魔力増幅装置を作成した単純な魔力だけであれば増幅できる。それと、この世界の特殊産物の魔石の組み合わせだ。
起動には自身の魔力を使い、この箱を動かす為に風の魔法を雷の魔法を組み合わせ浮かせたり沈めたり出来るようになるという物。ただ、この為の制御が難しい。コンピューターがこの世界にはまだ無いからだ。よって試作段階でもあるので、三人までが限度の代物だ。まだまだ、研究が必要だ。
「転移とは違うようじゃのぉ。」
「そうです。あくまでも、物を動かす魔法を応用です。これはエレベーターと言います。まだ、完全ではありませんが、もっと多くの人を乗せれるように改良したいと思います。」
「ほぉ。なるほどの。面白い物じゃなぁ。」
「本当に、面白いですわね。」
全員を順番に乗せて二階まで行く。そして室内風呂へ案内した。この室内風呂は日本の銭湯を参考にして作った。浴槽は大きく中央に置いてある。その両サイドにシャワーを設置してあるのだ。つまり全面タイル張りだ。各階で実は少し違う。二階は大浴場二つ。男女に分かれている。そして一回はシャワー室のみで大学の部室にあるような沢山のシャワーが設置されており、それを仕切ってあるだけの物。
三階は2人位がゆっくり入れるような大きさの日本の家庭で使われる仕様の物が六つ用意されている。
とはいえ、畳六畳分のサイズの風呂場だから、そこそこ広い。という感じだ。
「風呂と言っても色々あるのじゃな。便利なのはこの一階にあるシャワーじゃな。急ぎの時はこれだけで良い。戦時に戦場にあれば、大変喜ばれるじゃろうな。」
「その通りですね。これは提案して見よう。城にはあっても良い物だ。後、訓練後にも欲しいな。」
父上と祖父が意気投合している。各城に対して設置依頼がくるかな?多分、今は私達しか造る事は出来ないだろうから。シャワーヘッドは意外に作るの大変だったからな。この世界にはまだ、ゴムが無いからパッキン何て概念やら物が無いからね。水圧の調整とか難しいし管も基本的に真っ直ぐにしか出来ないから、これらを考える為にはどうしても魔法の力が必要なんだよね。この世界でゴムを早く見つけないとね。作成方法?そりゃあ、カミコ様の力と錬金術師だよりかな?
「今まで見て頂いた物は全てお湯が出る様になっております。」
「なんと?水でも驚きなのに、お湯とな。凄いのぉ。」
「では、ご案内はここまでにして、本日お泊りになって頂くお部屋へとそれぞれご案内致します。その後、夕食は一階の食堂にておとり頂きたいと思います。」
「風呂には入っても良いかのぉ。」
「あっ、それは少し待ってください。後でご案内したい場所がもう一つありますので、夕食後に皆さまをご案内致します。」
セシリアがナイスな返し。くっくっく。皆さまに天国をご覧頂こう。
◇◇◇◆◇◇◇
その後、全員を部屋に案内が終わり、皆で夕食を済ませた。そしてお待ちかねの最後のご案内場所へ連れて行く。それは本館の裏にある。本館裏から屋根付きの廊下の様な物が先にある小さな小屋へと続いている。この小屋は一応男女で分かれている。あの〇湯の暖簾は勿論ある。そしてその先は・・・白い湯気が立ち込める露天風呂が広がっている。人口ではあるが、日本庭園がその向こう側に広がっており、風景を楽しむ露天風呂なのだ。しかも浴槽は檜風呂だ。香りがタマラナイ。一応混浴も楽しめる様になってはいるが、今日は家族全員なので、男女別々になるように敷居をしてある。ちなみに檜風呂には敷居が出来ないので、奥にある。その手前には敷居をおいて岩風呂が設置されている。今日はこちらで楽しむ予定だ。
「あっぱれじゃ!」
祖父のその一声が聞けて、私はとても嬉しかった。




