6 方針
さて、翌日からおこなった行動はというと・・・普通の貴族生活を続けた。
この世界において教育環境として貴族生活はとても良い環境であるからだ。
もちろん、前世の記憶が蘇っていたので、基礎知識となる数学・理科・については正直習う必要がなかったのだが、国語についても能力をさずかってから、勝手に翻訳されるらしく問題が無い。外国語もやはり同じように翻訳されて聞こえる。
また、体育ではなく、武術と魔術というのがある。基本能力は上昇しているのだが、スキルレベルも上昇しており、基礎としては問題が無いようだ。しかし、実践経験が不足しているので、体は動くが駆け引き等に後れをとるといった感じだろうか?馴染むのに時間がかかった。
「お前は前より格段に動きが良くなったが、なにかぎこちないな。」
と指導してくれるポワロ叔父上に言われたぐらいだ。
武術は全般が使えるスキルレベルだが、日本人であった前世の【ド〇〇ンクエスト】が好きだった私は、剣に憧れがあり、良くそれを利用する。また同じ理由で魔術も雷系が好きな為優先的に覚えた。後は回復魔法だ。
そして、やはり召喚魔法やテイマースキルに興味をもった。スライムの仲間が欲しい。ベタ過ぎるだろうか?許してほしい。異世界に来たのだからやはりやりたい。私自身が日本の転生物の小説は読んではいない。が息子が読んでいたようだ。話をされても全くわからなかった。団塊の世代を捕まえて話をしてもわかるわけが無いと思うが、息子や孫に良く話をされた記憶がある。私の可愛い孫が転移させられたりしたら、どうしようか?と転生させられた今となっては思う。心配する事が増えてしまったな。はぁ~。
とりあえず、私の事が先だ。
召喚魔法やテイマー系スキルは教えを乞うにはまだ、早い。国都の学院に行ってからとなる。まぁ、私はなんだチートと呼ばれる状況なので、もちろん適性は高い。今から楽しみだ。
なので、生産系のスキルアップを先に取得する事にした。
料理・鍛冶・裁縫・農業・商業などなど。 どうやって? それは勿論、特権階級の地位を上手く利用した。
それはそうだろう。貴族として生まれたのだから使わずにおられようか?
「貴族として嗜むのは良いが、本職にはさせんぞ!」
と父上からけん制されたが、嫡男だからこそであろう。
◇◇◇◆◇◇◇
雨が降っている。窓越しに私は外の風景を見ていた。
今日はやけにざわつく。「ざわざわ」って感じだ。でも不思議と嫌な気持ちはしない。なんでだろうか?
「君は、先ずは(隠蔽)スキルを獲得する必要がある。」
「誰だ?」
聞きなれない声だ?しかも、自室には私以外に居ないはず。音も聞こえなかった。
「まだまだ未熟。神の使徒という職業になっていても活用出来ていない。」
仕方ないじゃないか。という気持ちと(なぜそれを知っている?)という気持ちが警戒心を生んだ。いつの間にか目の前に黒ローブの人が立っている。
「心配しなくても貴方をどうにかしようとは考えてない。」
≪問題ありません。敵対心を持っていないようです。≫
だから、アラームが鳴らなかったのか。
敵対心がある者が近づくと警戒音が頭に響く。これもシステム能力の一部らしい。
が今はそんな時では無い。気を取り直し質問する。
「勝手に部屋に入ってくるのは失礼ではないか?」
「肯定する。確かに失礼だった。確認をしたかった。」
「確認?何を?」
「ザバルティ貴方の力を。神の使徒という職業は私も初めて見た。問題が起こる前に隠す事をオススメする。」
確かにその通りだ。鑑定はこの世界にあるスキルだ。だから普通にわかる人がいてもおかしくはない。
「私はジューネ。キーファに頼まれてここへ来た。貴方の師になる為に。」
そういうとジューネと名乗る人はローブの頭の部分を剥ぐ。
「エルフ?!」
金髪尖がり耳を持っていた。そんなやり取りをしていたら、入り口のドアの向こうからキーファさんの声が聞こえた。
「ちょっと?ジューネなの?」
慌てた感じで部屋に入ってくる。
「お姉。元気でしたか?」
そこは普通に話すのね?って思ったけど様子見した。
「ごめんなさいねザバルティちゃん。この子少し常識無いのよ。」
「大丈夫です。少しビックリしただけですから。」
本当はかなりビックリしたんだけどね。つい少しと言ってしまった。
ジューネはキーファさんに腕を持たれて部屋から出されて行った。
「また後で来る。」
決定事項なんだね。それ。来て良い?とは言わなかった。
なんか、翻弄される気がする。
エルフの知り合いが増えると思ってそれを喜ぼう。うん。