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57 事前打ち合わせ



入学式前日に私は、マリリン第三王女に呼び出しを受けて王城へ来ている。

とは言っても、明日の入学式の事前確認だ。何故か新入生代表で挨拶をしなければならなくなっているからだ。正直面倒だ。誰も挨拶なんて聞きたいとは思わないだろう?実際、前世の記憶ではこういう時は得てして聞いてなかった。


「挨拶って必要ですか?王様だけで良くないですか?」


「ダメよ。必要よ。だって、ザバルんの晴れ舞台よ?」


「それ関係ないですよね?う~ん、益々嫌になってきた。」


「えぇ~?何で??」


マリリン第三王女の思いはよくわからない。目立たせようとしてくるのは何でだろうか?

出来る限り、目立ちたいわけではない。けどやってる事が目立つ事だから、説得力は無いと思うけどね。

今回は、マリリン第三王女が用意した原稿を読む事になっている。それが、お堅くて私はとても嫌だ。と思っている。こういう時って地球では本人が用意していた気がするんだけどな。


「とにかく、明日はこれを読んでね♪」


「今日はこれだけですか?他に要件がないようなら帰りますね。」


「ザバるん。要件ならあるわ。私を貴方の・・・」


「却下します。」


「なっ!話の途中で拒否?どうして??」


「どうせろくでもない事でしょう?」


そう、いつも何かにつけて色々要求してくる。

例えば、「婚約して。」とか「お城に住んで。」とか「旅行に行こう。」とか言ってくる。お誘いや好意自体は嬉しいのだけど、何か度が過ぎている感じがして怖い。


「そ、そんな事はないわ。せめて最後までいわせてくれない?」


挙動不審。

この言葉が今のマリリン第三王女にピッタリな言葉だ。


「じゃあ、最後までおききしましょうか?」


「えへへへ。えっとね。私を貴方が建てている館に住まわせて。お願い。」


と、言う事になる。いい歳して大人の女性が未成年に言うセリフですか?まぁこの世界では15歳で大人扱いを受けるけどね。はぁ、困ったものだ。


「では、明日はこの原稿で挨拶をさせて頂きます。」


「だぁー!スルーですか?スルーですのね?」


半泣きになって、私を責めるような顔をして向かってくるマリリン第三王女。

一体、何がどうしてマリリン第三王女はこうなってるんだ?他ではこんな感じは一切出ていないという話なのに、私の前ではいつもこんな感じだ。


「わかりましたよ。スルーは止めますが、同居は却下です。大人しく王城でお過ごしください。」


「え~、ザバるんのケチ。良いじゃない。セシリア・ダンバルも一緒に住むんでしょう?私の一人や二人増えたって問題ないでしょう?」


はい。キマシタ。よくわからない返答と理屈。


「意味がわかりません。マリリン様は第三王女です。簡単に王城を出ても守るものがおりません。それに、結婚前の高貴な女性が他の男と一緒に住むというのは許可出来る物ではありません。」


「で、でも。私はザバるんと一緒が良いのです。王城に住んでくれないのなら、私が行くしかないではないですか?」


「ご好意は嬉しいのですが、無理です。」


このままでは、埒が明かなくなりそうだ。と思っていたら、メイドさんが助け船を出してくれた。


「マリリン様。そんな事より、例の件はよろしいのですか?」


「あぁ、そうでした。学院の合格発表の時に賊が捕まっているのですが、その時の騎士がザバるんの名前を名乗った者が賊を捕まえたと報告を受けているんですが、本当ですか?」


そんな事もあったかな?


≪ビーリスという名の魔法を使おうとしていた者がおり、捕まえました。≫


「そうですね。そんな事もありました。」


「やはり、間違いなかったですね?マリリン様。」


「そのようですね。でもあの時は会場内にいらっしゃいませんでしたか?」


「ええ。その通りです。」


「どうしたのです。ミスティア?」


「いえ。会場の中にいたはずのザバルティ様が何故、外の者を捕まえる事が出来たのか不思議だと思っただけです。」


「確かに、そうですわね。ザバるん何故なのです?」


「それは、簡単な事ですよ。魔法により察知したので、魔法によって強化した身体能力を使って向かっただけですよ。」


「なるほど、そうでしたか。失礼しました。」


ミスティアさんは一応引き下がってくれたが、納得は出来ていないようだった。

超越した力を利用した訳だから、納得はしてもらえないだろうが。嘘は言ってない。


「間違いないという事ですから、賊討伐の褒賞が与えられます。」


「そうですよ。ザバるん。では、報告してきた騎士に伝えておきますね。おって沙汰があると思いますよ。」


「わかりました。ありがとうございます。」


「いえ。こちらこそありがとうございました。」


ようやく普通の話になったから、ここがチャンスと思って、この場を辞去させて頂いた。

あのままいたら危なかったと思う。だが、帰り際にこんな言葉が聞こえた。


「着々と進んでます。順調ですね。」

















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