55 質問と回答
さて、シャルマンの事は無事解決したのだが、私にはもう一つ解決したい事が出来てしまっている。
それは、ラムザ殿への疑惑。地球から転移してきた私の前世での親友ではないか?という事についてだ。
ただ、ずっと考えていても仕方ない事なので、本人に聞く事にした。ただ、出来れば二人だけが望ましいと思う。
「ラムザさん。いつまでこちらに滞在される予定ですか?」
「そうだね。折角入学式があると聞いたからそれまでは居ようと思うよ。」
「では、それまでに一回時間を作ってもらえませんか?個人的に相談したい事があるので。」
「もちろん、構わないよ。シャルマンのお兄さんの為なら時間位いつでも開けるよ。」
「ありがとうございます。では、明日のお昼位はどうでしょうか?」
「大丈夫だ。今日は屋敷にお泊りになられますよね?」
「いや。宿をとってあるし、私にも連れが居るので宿に戻るよ。」
「ではお昼にお迎えにあがります。」
「あぁ、わかった。お待ちしているよ。」
約束をしてその日は解散となった。明日は父上達は王様への謁見が待っているから、時間がとれる予定なのだ。
◇◇◇◆◇◇◇
約束通り、宿へお昼に迎えに行った。
バッチリ準備が出来ていたようだ。呼んでもらうと直ぐに出てきてくれた。
「では、軽く食事でもしましょう。」
「わかりました。お供します。」
固い会話のやり取り。二人っきりでの会話は弾むわけもなく、黙ってお店まで行った。
ここは地球でいう所のイタリアンを出してくれるお店。味はまぁまぁで、おいしいお店なら他にもあるのだが、ここには個室が完備されている。勿論今日は予約してあり直ぐに個室に通された。適当に食事と飲み物を持って来るように店員に言って持ってこさせた。それまでは、他愛もない話をして食事を楽しんだ。あらかた食事が出て来た所で、店員に追加があれば呼ぶからと伝えて部屋から遠ざけた。
それを見ていたラムザさんはこちらを伺っているだけだったが、店員が出て行ったあと、話し出した。
「それで、私に話とは何でしょうか?」
「ラムザさんに聞きたい事があってね。その前に、外にいる精霊は呼ばなくて良いかな?」
「お聞きしていたのですか?」
何のことだろう?私は単に、昨日も一緒に居感じだからそう思って言っただけなどだけど。父上か祖父にでも話をしていたのかな?
「いや、昨日から同じ反応がずっと合ったもので、ラムザさんの精霊では?と思って。今から私がこの空間を隔離してしまうから、変な勘違いをさせないようにと気を配っただけですよ?」
「なるほど。貴方の祖父といい、貴方も相当ですね。精霊も一緒でも大丈夫ですか?」
大丈夫である事を告げると直ぐに、精霊が移動している気配を感じた。そして直ぐにこの部屋へと入って来る。
「こちらは、ザバルティ君だ。」
≪我は火山の精霊ペレ。以後、頼む。≫
「よろしくお願いします。それにしても綺麗な精霊様ですね。ラムザさんは契約者ですか?」
「隠しても仕方ないだろう。その通りだ。」
そこから、何故、精霊と契約をする事になったのかの軽い説明を受けた。
「そういう事ですか。わかりました。」
≪うん?何じゃ?この感覚は??≫
「すいません。この話も他人に聞かせたくないだろうと思いまして、この部屋を隔離しました。簡単に言うと今この部屋はさっき迄と同じ場所に無い形になっています。外界と遮断している状況です。」
≪な、何と。お主は神か何かか??≫
「いえいえ、そんなたいそうなモノじゃありません。人間ですよ。ただの人では無いかもしれませんが。ところで、ラムザさん。【地球】ってご存じないですか?後、【日本】とか?」
ラムザさんの顔つきが変わる。驚きと戸惑いの表情だ。
「貴方は一体何者なんだ?」
「で、聞いたことありますよね?神崎譲さん。」
思い切って、言ってみた。これは怖がらせる事にもなってしまうが、転生を目の当たりにしている人でもあるから、大丈夫だろうとふんだ。
「まさかそこまでわかっているとは。確かに貴方の言う通り知っていますし、その名前は地球に居た時の名前です。こちらでは使っていませんが。でも何故わかるのです?神であるとでも言うのですか?」
「いえ、私も日本を知っているし、貴方をしっている者なんです。それに今使っている名前は学生時代にやっていたゲームで使っていた名前ですよね?それに貴方がこちらに来たのは25歳の夏ではありませんか?」
「そこまで、わかっている?誰なんです?」
「私の前世での名前は・・・」
そこから私の前世の事と記憶にあるここまでの話をした。勿論、【神の使徒】である事も含めてだ。
譲は私の話を笑ったり、泣いたりして話を聞いてくれた。その後、譲のここまでの話で昨日聞いていない事の話を聞いた。反応は想像にお任せするが、私の親友はよく頑張って生きたと思ったよ。愛する妻との死別には本当に心が張り裂けそうだった。
「まさか、お前にこの世界で会えるとは思わなかった。」
「それは、俺だってそう思うよ。お互い様さ。」
「腐れ縁はそう簡単に切れないって事だな。」
「お前は一度死んでるんだろ?死んでも切れない関係ってなんだよ?」
「わからないよ。ただ、言えるのはお互いに何かしらの使命があるって事だろ?」
「そうだな。じゃなきゃ、ここに居ないよな。」
「あぁ、全くだ。私なんて転生だぞ?お前は転移だな。」
「そうだ。俺なんか、本当に死ぬかと思う事ばかりだったからな。お前は幸せだな。」
「あのな、私は一回人生を全うしてんだぞ。こっちだってキツよ。」
「確かにそうだ。俺達はついてないな。」
≪いえ、マスターは【幸運の星】があります。それにラムザ様は【大幸運】があります。≫
ここまで、話に入ってこなかったカミコちゃんが急に突っ込みを入れた。
てか、大幸運ってなんだ?下位互換かな?
「でも、苦労はしてるが、それなりに楽しんでるのも事実だな。」
「間違いない。」
お互いの意見は同じだった。その後もお互いが話をしたり聞いたりして過ごした。




