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51 精霊使いと新情報



あれから、いくつかの情報を元にラムザはあちらこちらへと行き、シャルマン捜索をおこなったのだが、結果は実らなかった。そして何度目かの帰還を果たした時、また新たな情報が入った。


「ラムザ様。アイゼン殿より新しいです。」


「うむ。話してくれ。」


「はい。今回は西方の大陸のアスワン王国唯一の港街アンバーにシャルマンという名の男の子が居るようなのです。歳は7歳。9歳の兄がおりアスワン王国の子爵家の子息だそうです。この情報は半年前になってしまうので、8歳になっているかもしれません。」


「他の情報はあるか?」


「はい。どうもその子爵家は代々変わった能力をもっているという噂です。さらにアスワン国王の一族と元は同じフリーア王国の王族の血筋だそうです。アスワン王国の中ではかなり有名な貴族の一族の様です。」


≪あれから、10年経った。現在10歳である可能性が高いと思っておったが、それより後に産まれてきているのかもしれぬな。≫


「そうかもしれないな。気にはなるが、先ずは初めの現在10歳である【シャルマン】の名前を持つ子を優先してあって行こう。」


「かしこまりました。ではアーバン大陸の北に位置するイグナシオ大陸の方を次の予定地と致しましょう。そちらは港町だけでもかなりの数を抑えましたので、かなり年齢が該当する者達がリストアップされております。」


「わかった。先ずはそっちから行こう。」


≪よいのか?何かきになるのぅ。≫


「現実的に、まだ俺達が入りこめてない場所だから、確率の問題でイグナシオ大陸に決めたよ。」


≪そうか。じゃが、気になる。一人ぐらいその者の側に専属の者を派遣してはどうだろうか?≫


「ペレ様がそう言うなんて珍しいですね。」


「そこまで言うなら考えよう。」


珍しく食い下がるペレの意見を聞き入れる形で、情報員の派遣を決定したラムザ。

ラムザ本人とエリザはイグナシオ大陸へと向かうのだった。



◇◇◇◆◇◇◇



あれから約四年を費やしイグナシオ大陸中の港を回った。残念ながら見つけるに至らなかった。何せこの大陸は大きい。【アーダム大陸】の10倍以上の規模を誇り、世界の国の数の約半数がこの大陸の中にあるのだ。【シャルマン】商会が入い込んだ国は港町がある国のみであり、それだけでも50を超える国になるのだ。それらを一通り周り調べたラムザ一行は、ここに来て新たな情報を手に入れる事になった。アスワン王国アンバーに派遣していた情報員から、【シャルマン】の名前を持つ子供の兄が【発熱】を出し風貌が変わった後、それまで以上に突出した能力を身につけているというのだ。


≪うむ。やはり何かあるのぉ。≫


「ペレ様の言う通り何かしらの事が起きているのかもしれませんね。」


≪直接、ラムザの息子では無いにしても調べてみる価値があるのではないかのぉ?≫


「そうだな。イグナシオ大陸の港は全て回った事だし、行ってみるか?」


50を超える国を回った一行はシャルマンが死んだ年に産まれた者達をくまなく調べたのだが、結果は惨敗である。が、その分、世界のハーフ達は救われる形となっている。今では【シャルマン】商会は一大陸の大商会にとどまらず、世界の大商会となっている。


「では、一度エウレイアに戻って、詳細な情報を手に入れたのち、アンバーに行ってみよう。」


「わかりました。」


決定する行動が早い一行は直ぐに荷物を纏めると旅立つのだった。



◇◇◇◆◇◇◇



「ラムザ様がエウレイアに戻られると?」


「はい。そのようです。」


「そうか。では、戻る前にお会いしに行こう。」


ラムザ一行の次なる目的地を聞いたアイゼンは決意を固めた顔でそう目の前の部下に告げた。


「俺のみ先行してお会いしに行こう。エウレイアに戻られるという事はイグナシオ大陸のアフレシア王国の港町のスブレイツに寄られるであろう。そこに向かう。連絡をしておいてくれ。」


「かしこまりました。」 


「キクノスケ。お前は最終準備の指揮をとれ。俺が戻るまでに準備を済ませるように。」


「は、かしこまりました。」


「遂に念願が叶うのですね。」


「いや、わからん。ラムザ様に恩返しが出来てない状態で、お暇を頂くなど出来ん。様子を伺ってくる。もし、アスワン王国のアンバーに居た少年の所に行かれるのであれば、何か動きが出るだろう。随行して確認ができてからだ。だが、今回は何故かいつもと違って当たりなのではないかという気がするのだ。」


確信めいた何かを感じた様子のアイゼン。


「ただ、確信しているわけでは無い。ゼンイチはここに残って捜索を続けろ。ケンゴは国に戻り準備の指令をだせ。アカリは各地に散らばっている同志を呼び出しておけ。皆、直ぐに動ける用意をしておくのだ。」


「「「はは!」」」


そこに居た全員が膝をつき頭を下げる。

それぞれが、興奮しているようである。


「ですが、アイゼン様。そろそろ皆を抑えておくのは限界やもしれません。」


「口惜しいがそうかもしれぬ。が俺にとってラムザ様への忠義を果たさずして、俺たちの目的も果たす事は叶わぬのではないか?と思うのだ。だから、一度俺の考えている事をラムザ様に正直に話をしてみようと思う。」


「それがよろしいかと思います。アイゼン様が戻られるまではこの老骨に鞭を打って私が責任をもって

皆を抑えましょう。」


「うむ。頼む。」


決意を固めた男の顔がそこにあった。


そこから少し離れた所からそれを見ていた者がいた。


「遂に動くのね。先ずは報告しとかなきゃ。」


そう独り言をつぶやいた後、その姿は掻き消えたのだった。










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