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46 買い出し 



「久々に5人での外出ですね。」


「そうだな。忙しかったからな。人を受け入れるって大変だな。」


「そうだよねぇ~。」


信者の組織化が一段落ついたので、今日は買い出しに出ている。学院内の個室の件だ。


「でも、そのおかげで自分達の基地ができた感じがして、ワクワクしないか?」


「そうだな。男のロマンを感じる。」


「男だけじゃないよ~。女だって嬉しいんだから~。ねぇミーちゃん。」


「そうですね。新しく建て替えられている屋敷の完成が楽しみです。」


なんだかんだで、楽しみにしてくれている4人に嬉しく思う。


「それに、沢山の仲間が出来て嬉しいですね。」


「そうだよ~。大変だけど楽しいよね~。」


「私にとっては兄弟みたいな物ですね。」


ミーリアにとっては、同じ奴隷出身という事もあり、親しみがあるようだ。


「エルフ達って本当に綺麗だよな。」


「あぁ、あんなに欠損してたりして凄くボロボロだったのに、ザバルティ様の力であっという間に治ってしまって。気が付くと美女が沢山いた。」


「そんなに酷かったの?」


「あぁ、二人は見てないもんな。凄く酷かったよ。」


「男の人も美男ばかりだもんね。」


「あの力は凄い。全てが復元されてしまっていた。」


「というかな。やはり顔立ちの良い人は良くも悪くも目立つし、面倒な事に巻き込まれるんじゃないかな?」


「私の見立てでは、人の嫉妬や欲望が交じると悲劇が起こる気がするよ。今回は助ける事が出来たけど、万能ではないと思う。勿論、私の周りの人が何かしら巻き込まれたりしたら、全力で助けるけどね。」


「「「相手が可哀そうかも?」」」


皆で、そういう突っ込みを入れてきた。そして皆で大笑いしながら通りを歩く。

でも良く考えてみると、本当に幸せな日々かもしれない。彼ら信者(説明が難しいから今後も今回助けた奴隷は信者で統一)も生きていくのに、特に困る程稼げない人物は見当たらない。もちろん場所の提供は必要かもしれないが。更に、従業員が必要な場所を造るつもりだから、人員補充も考えねばならないし、結構これからも人が必要だね。話がそれたたけど、養う必要があって稼ぎを気にしなければいけないほどお金に困る事もなさそうだ。


「でも、やはりザバルティ様はやる事がいちいちデカいですよね。」


「本当にそう思うよ。」


「やり過ぎ感も大きいとも言えますが。」


「「「そう思う。」」」


私の発言無しに4人は勝手に話を進めて尚且つ意見を一致させている。

私はそれに困り顔をして見せるが、そこまで気にしてない。そもそもそれで世界が困るなら、私にこの力を与えてはいないだろうと思う。だから、迷いが無い訳ではないが、使える物は使う。ただ、私が行う事による反発作用は何処かで起こる事も想像している。世界は矛盾に溢れている理由も同じ事で、世界はいつもバランスをとる物だ。バランスをとる事で、世界は破滅から守られているとも言える。過ぎる行為は必ずその反対の力を呼ぶ。天秤の上にある世界と想像すると良いかもしれない。

物理にあるように、必ず反対の力が発生する。地球でないこの世界も同じ様子が伺える。

その世界にあって私は異質の力を持っている。だから、私に出来る事は全てする必要があると思っている。それが、私がこの世界でするべき役割であるはずだ。


「また、気難しい事考えてるんじゃな~い?」


「だと思う。」


私は考えていた事が顔にでていたようだ。今は深くこの事を考えていても仕方がない。いつか考えないといけない日がくると考えている。だから、今は目の前のやりたい事をやる。それだけだ。


「さぁ、とにかく買い物だ。散財するぞぉ!皆遅れるなよ!!」


「「「待ってくださいよ。ザバルティ様。」」」


私は笑顔を作って皆にそう言ってから走りだした。今日は敵になりそうな者も出ていないし大丈夫だろう。その後、私達は思いっきり買い物をした。買い食いたり、家財道具などの必要な物を買ったのだ。



◇◇◇◆◇◇◇



闇とは、音が門の中にある。所説あるが、門を閉じて光が入らない状態だという説がある。

光が届かない場所である所に闇があると言える。

その闇の中に蠢くモノがあった。その蠢くモノは普通の人間が見れば気持ち悪いとか感じるような風体をしているのだが、あくまでも生物であるらしかった。生物である証拠に食している。口と思わしき物を開け、その中に人の足や腕が入っていく。

辺りは静けさを持っている。闇に「くちゃくちゃ」という音を除いては。

月は怪しく蠢くモノを静かに見守っているかのようだ。

その刹那、一陣の風が吹き抜けると怪しく蠢く者達は奇声をあげてピクリとも動かなくなる。


「つまらん。この程度か。噂の化け物もたいした事は無いな。何処かにまともに戦える者はいないのか?」


月の光に照らされて白銀の刃は光る。刃を鞘に収めるとまた闇に戻っていく者。

静かな夜に一陣の風が起こったかと思うと、その者の姿は何処にもない。残っとて居るのは生物であったモノの屍だけ。


翌日、その周辺の街の人々は歓喜した。周辺の村や町を襲って回っていた化け物の死体が森の奥で見つかったのだ。「英雄の登場だ!」と歓喜したのだった。





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