43 住居改造
結果、私達二人の議論が白熱しすぎる前にミーリアが止めてくれて、買い取りをする事になった。金は問題なかった。まだまだ余裕がある。その後、10人乗り馬車を6台手配するように、トーマスに頼み、家に帰る事になった。で、またセシリアとの白熱した建物の話になる。
「建て替えがやはり妥当だな。」
「そうですね。基礎から作り直して思い通りの家にしてしまいましょう。ですが、その間はここに住むんですか?奴隷達は倉庫にしても、皆さんは厳しいでしょう?」
「まぁ、それは応急的な処置としてなら、魔法でどうにかなる。そうだな。この際だから、セシリアにもみてもらおう。」
そう言って、私達の馬車の中を見せた。全てを見た後に、セシリアは「流石【建築神】。」とだけ言っていた。魔法での空間作成も気に入ってもらえたようだ。ただ、公表は難しい為口止めはしている。
「あの亜空間はどこでも作れるけど、信頼の置ける人にしか、明かせない秘密でもあるので、応急処置としては用意できるし、私達は建物が出来るまではする事がないから、こちらの屋敷でも良いし、冒険者として活動していても良い。」
「そうですね。見せない方がいいでしょう。では、私は敷地内に早急にプレハブを用意してそちらから、大工達を指揮しましょう。私に任せてください。」
「勿論そのつもりだよ。だから、建物の設計図を作ってしまおう。その為にも皆の希望を聞いて、私とセシリアで形にしていこう。勿論、この家にはセシリアも住んでもらう訳だから要望を聞くし、最大限の協力をお願いするよ。」
「ありがとうございます。私も一緒にだなんて・・・。光栄でございます。一生懸命やらせて頂きます。」
こんな形で、二人で一から造る事になった屋敷。この後、皆の意見を一人一人聞くのだが、「任せます。」という言葉が返ってくる。基礎構造を二人で考えた。
まず、地下は3階まで作る。地下一階は訓練施設にするつもりだ。地下二階と三階はまだ、どうするか決まってないが、予め用意しておかないと増設では建築的に弱くなってしまうので予定地として作っておく。
上も3階までにする。平均的な物にしておかないと、目立ち過ぎるからだ。1階はキッチンと食堂と応接間と客間が主体となる造りで、家事をさせる者が住む場所も用意する。2階は主に奴隷たちの部屋を用意する。3階は私達がメインとなる階層で、それぞれの部屋と余分に部屋をいくつか用意する。
また、倉庫は本館が出来た後に別館として立て直す事も決まった。本館と別館は通路をつなげて、行き来しやすいようにするつもりだ。
それぞれの階に風呂とトイレを用意する。勿論水洗に決まっている。ウオシュレットは残念ながら、今回は用意出来ない。まだ、研究が足りてないからだ。
「大まかな構造はこんなもんか?」
「そうですね。後は配置として水回りは階層別に用意するとしても同じ位置に置く事をするとかすれば、大丈夫ですね。」
「飲み物をお持ちしました。」
気づくと朝だった。夜通し話込んでいたようだ。ミーリアが持ってきてくれた珈琲を飲んで、一息つく。
「続きは明日にしよう。今日は私は奴隷に付き添わねばならない。」
「そうですか。では私の方は弟子たちと大工の工面をしておきましょう。明日にでも現状の建物を解体して更地にしてしまいます。」
「今日も忙しいですね。では、これから直ぐに皆で朝食にいたしましょう。」
この後、直ぐに皆を叩き起こして朝食をとった。
そして私は、トーマスとロバートをつれて奴隷商に行き、アリソンとミーリアは購入した敷地へ向かう。受け入れ準備だ。アリソンは建て替え準備に行く。このように分かれて行動する事になる。
私は早速、トーマスとロバートの三人で今日の行動予定を話す。先ずは奴隷商に所在が割れないようにする事と欠損や病気を治す所を他者に見られないようにする事が大切である事を告げる。
「その為に、マジックアイテムでの変装は勿論の事、偽名を使う。一端街の外に連れ出して近くの森に入り、そこで、5台の馬車を返す。御者もだ。後は我々だけになった後で私が神力を行使して、欠損と病気を治す。」
「なるほど、ですが、御者に怪しまれるのではないですか?」
「それはな、街の外にある森の中に開けたスペースがある。そこに下してもらう。引き取りてが来るといってな。多少怪しまれても問題ない。その後亜空間を利用して馬車一台に全員乗せる。乗せた後、治す。この手順だ。」
「「わかりました。では行きましょう。」」
そうして、準備をおこない奴隷商の所へ行き、奴隷との契約を53人とおこなった。欠損が酷い者も多数いたが、奴隷達はまともな食事と恰好をさせられており、不潔感はなかった。商人は商人で約束をキッチリ守る物なのだと、そこは感心した。信用を失えば商い等出来ないから、当たり前ではあろうが。
「お買い上げありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
「あぁ、また頼む。」
そう別れを告げて私達は馬車に乗り込み、街はずれの森の空き地へと向かった。




