41 構想
さて、とりあえずの方向性は決まった。
後は、中身を詰めていくだけなんだが、先ずはお金だね。先立つ物がないのは、動きが取れなくなるからな。で、お金なんだが、父上に言えば直ぐに用意できると思う。私から見て資産はいくつもあるし、お金も確りと持っている。自由に使える金があるだろうし、長男の私の願いなら尚の事用意してくれるだろう。だが、私としては親の金を動かしたくは無い。それにマカロッサ家があまり大きく前に出るのは止めておきたい所がある。であれば、自分で稼ぐ必要があるわけだ。どのように稼ぐのか?って事だ。政治商売を任せられる人材が欲しい所だ。が、今は居ないからな。建築という方面では、セシリア・ダンバルがいる。だから、彼女を筆頭にして動いてもらえば良いから助かる。
「ザバルティさん。あれで、良かったのですか?」
「問題ないよ。セシリアさん。」
「よっぽど、マカロッサ家はお金があるんですね。」
「いや、無い訳でないけど今回は家のお金は使わないつもりだよ?」
セシリアさんに何とか【建築神】という言葉を使わないようにしてもらった。今は今後の打ち合わせとして一緒にいる。お国の偉い方々にプレゼンをしてもらったのだ。
「では、お金はどうするのです?」
「それを今から稼ぐつもりなんだ。土地や資材はマリリン第三王女が用意してくれるから心配いらないから、どうやって稼ぐのか?を今考えているんだ。」
「そうですか。そういうのは私詳しくなくて、けん・・・ザバルティさんの力になれないです。すみません。」
「良いって、建築の方で存分に活かしてもらうつもりだから。その為にも、私の知っている知識を今後貴方に教えるのだから。」
「それは、もう身命にとしてやりきる所存です。」
「う、うん。頼むね。」
「はい。」
やっぱりこの人は秘書みたいな外見だけど、無理だ。秘書が必要だ。
少なくとも3人の人材がこれから必要って事だ。秘書・商人・御者。早速の人材不足を感じてる。
これは、お金の前に人材解消が先決かな?
「お金の方は私の方で何とかするとして、建設に関わる人材は用意できそうですか?」
「それは任せてください。」
「では、色々と内容を詰めていきましょう。」
「そうですね。時間がもったいないですからね。」
こうして、二人で夢のある現実的な建造に関わる話をあーでもない。こーでもないと繰り返した。
◇◇◇◆◇◇◇
いつもでも好きな事を話すのは楽しいし時間はあっという間に過ぎていく。
今日もそうだ。気が付くと夕食時になっていた。家なら問題は少ないが王城となるとダメだ。
「セシリアさん。続きを話したいけど、ここではもう無理だ。どうする?家にくるか?」
「えぇ?家ですか??良いんですか???」
凄い食いつきだ。まずったかな?女性である事を忘れていた。
「あぁ、別に明日でも構わないんだけど。明日にする?」
「いえ。今日これから行きましょう。もう少し話を詰めたいです。」
「でも、入学までは時間に余裕があるし、無理はしなくても良いよ?」
「折角のお誘いなので是非行かせてください。」
「よし、じゃあ行こう。」
嬉しそうにしているセシリアさんを見ていると、踏ん切りがついた。さっさと悩まずに行動だ。
後、まだ不審者は居る様子かな?
≪まだ。伺っているようです。反応があります。≫
気長な事で。どうするかな?完全にバリア状態にしてみようか?魔法の力と神の力。この二つのフル活用を試してみよう。という訳で、力を使って何もさせない方向でいきます。今は敵対勢力?に時間を割く余裕は無し。計画遂行と人材確保と安全地帯の確保が優先だ。とりあえずで今できる事は計画遂行だから、不審者よ。時間だけ使ってもらうぞ。
◇◇◇◆◇◇◇
という事で何も起こらず?起こってたみたいだけど無事に家に着きました。全員にセシリアさんを紹介して、部屋を用意させている間に一息ついてトーマスを捕まえて聞いてみた。
「お帰りなさいませ。」
「どう?個室利用については纏まった?」
早速だが、もう一つの事案も気になる。トーマスが結果的には纏める事で何とかすると思っているけどね。
「いや。まだ纏まってません。時間をかけてゆっくり進める事で皆が納得しています。あれでしたら、学院が始まってからでも良いと聞きましたので、急がない事に致しました。で、ザバルティ様はこちらのセシリアさんと何をされていたのですか?」
「実はね。温泉宿を造る事になったんだよ。その打ち合わせだったんだ。国家・・・」
という具合に説明して意見を求めた。
「なるほど。となるとお金が必要ですね。何かお考えがあるのですか?」
「まぁ、さっきも言ったように、家にお金を出させるつもりは無いだけで、ノープラン。これから考えようと思う。で、セシリアさんも居るし、他の人材も必要だし、先ずは私達の家を用意しようと思う。ここでも良いのだけど、結局は親の物だし、学院の寮は使いたくないからさ。」
「そうですね。家を買う位の金ならモンスター討伐で用意出来てますからね。ですが、ミーリア一人では厳しいでしょうし、人も同時に用意しなくてはなりませんね。」
「そうだね。今日も胡散臭いのに邪魔されそうだったしね。」
「人員については奴隷を先ずは用意するのはいかがですか?」
そうだよね。やはりそこにたどり着く。私の前世の記憶で奴隷に対する忌避感がどうしてもぬぐえないんだけど、この世界においては当たり前にあるからね。忌避感だけで考えから外すのは良くないね。
「わかった。明日は奴隷商の所へ行ってみよう。家の方はセシリアさんに探してもらおう。」
「かしこまりました。明日は私もついて行きますよ。」
「あぁ、私とトーマスの二人でいこう。」
とにかく、前に進んで行こう。やれることは試してみるのだ。




