39 学院個室
あれから時間の経つのが早かった。色々と自身の事を考えたり、祝いの言葉を受けたり、セシリア・ダンバル建築家への対応であったり、マリリン第三王女の訪問であったりと忙しい日々だ。
街に繰り出す事も忘れていないし、与えられる予定の個室の事を考えたりと楽しい時間だった。一部例外はあるのだが。そして今日は個室の件で五人での話し合いをする事になった。何を話し合うのか?という事だが・・・結果から言うと、四人は個室は要らないと言うのだ。私の従者であるからと理由で。であるならば、五人の部屋を五人で活用しようという事になるわけだ。その話し合いだ。
「ザバルティ様。いかがいたしますか?」
「そうだな。先ずは皆からの意見が欲しいな。」
言うと直ぐにトーマスが声をあげた。
「では、私から。今回は5部屋用意してもらえるわけですから、武術・魔術・学術・会議室・休憩室ではいかがでしょうか?」
「「「面白い!」」」
皆が食いついている。続けるトーマス。
「詳しく言うと。武術だけを極める部屋。魔術だけを極める部屋。学術だけを極める部屋。会議が行える事に特化した部屋。休憩のみをする部屋。そしてその部屋毎に改造します。後はプラスのアイディアでいかがでしょうか?」
「「「いいねぇ~。」」」
やはり、こういう事はトーマスは得意だと思う。それに、悪くない。どちらかと言えば良い。あえて突っ込みを入れてみよう。
「しかしそれでは個室の意味をなさないのではないかな?」
「部屋の使い方は自由となっていますから問題ないかと思います。それに、休憩室は加工して各自の専用スペースを用意すれば良いかと思います。更に言えば、馬車のような加工もありではないでしょうか?」
うん。その通りだ。良いね。確りと考えてくれている。
「そうだね。じゃあ大枠はそれで決まりって事でどうだろうか?」
「「「賛成!!」」」
でもね。ここからが本当の勝負なのだよ。中身が大変なのだ。男と女の闘いが待っていると言っても過言ではない!!部屋の内容とか・・・かなり厳しい戦いなるだろう。なにせ、ミーリアとアリソンが相手だからね。
「では、先ずは武術専用室から話し合おう。」
「「「おう!!」」」
長い長い話し合いの時間のスタートだった。・・・やっぱりな。
◇◇◇◆◇◇◇
「だからねぇ!これは赤い方が良いんですぅ!!」
「いや、でもさここの部屋の全体的に見ると・・・。」
「だ・か・ら?赤ですよね??ザバルティ様もそう思うでしょう?トーちゃんに言ってやってください。」
ほら、もう来たよ。こっちに。ちらっとトーマスを見ると、超ぐったりしてる。反論しなければ良いのに。アリソンのだけじゃなくミーリアまで、トーちゃん呼びしてるけど。とりあえず、打開策をだそう。
「そう、あんまりカッカするな。じゃあ、【色】は女性チームが基本的に決めて、内容は男性チームが基本的に決める。私は男性チーム女性チーム関係ない中立でいるから。最終決定は私がする。それで良いな?」
チョット強めに言い切っておいたから、両陣営は一端落ち着いた。
「「わかりました。」」
「「ザバルティ様のいう通りにします。」」
こんな感じだ。女性チームは渋々。男性チームはホッとして。これも仕方ないかな?いつの時代も女性が強いのは変わらない。異世界でも変わらないようだ。
「そういえば、内装の事はどうやるのですか?」
「それは問題ない。セシリア・ダンバルという建築家が私に師事したいと来たから許可した。セシリアが受け持ってくれると思うぞ?」
「ボソ。(ちっ。また女かよ・・・。)わかりました。」
うん?ミーリアの心の声が聞こえた気がした。前からこんな感じだっただろうか?最近のミーリアは結構怖い気がする。それをとりあえずスルーして。
「彼女に頼めば国の建築に関わる人の力を借りれるだろう。細かい所はとりあえず、4人で詰めておいてくれ。トーマス纏めて報告をくれ。」
「わかりました。」
この状況で逃げるんですか?って顔をしてる気がするが、スルーして任せなければいけない。私も国家プロジェクト(自分の野望)に着手しなければいけないからだ。善は急げ?思い立ったら吉日?兎に角出なければ。
「私は、王城に行ってくる。」
「わかりました。でも何しに行くんですか?」
「建築家と国とを交えた国家プロジェクトの会議だ。」
「えぇ?何ですそれ?」
「楽しみにしておけいぃ~。」
「付き添いは?」
「良いよ。護衛も必要は無いしね。だから、我らが個室利用会議はトーマスに後を託す。」
「ずるい気がするぅ~。」
「如何にもみたいな話だな。」
「また、女がらみですか?」
「気が重い・・・。」
4人それぞれの反応を見た後、王城へ向かったのだった。頑張れトーマス!




