366 学校に通う。(学院に通う。)
この一年近く私は学校を疎かにしてきた。
もちろん、週一位で、顔は出してきたつもりだが、それでも人生におけるこの時間を、他の事に費やしてきたのは事実だ。
「やっぱり、きっちと学生らしく学生をしようか?」
「「「?!」」」
周りはビックリする。何を今更言っているのか?
そんな感じだろうか。
超特待生という待遇の為に、他の生徒とは色々と違いがある。
その分、試験は大変になるがだからと言って、前世の記憶がある私にはそれほど苦になるモノは無い。
しかし、問題もある。
ここまで他国に行って行動を起こしているので、その業務等に穴を開ける訳にはいかない部分もある。
トーマスやロバートにアリソンにミーリアは私の所為で半年ぐらいは学校にまともに行けてない。時間を作ってやるべきなのは確かだろう。例え、ここが異世界であっても。
「私を含めた五人は一旦、学業に専念出来る時間が作れる様に、調整する必要があるな。」
「「?!」」
そう、ゲートがあるが為に、何処であろうと瞬時に行ける。
これをもっと活用すれば良い。休みは確実に取れる様にする。
「組織の見直しをするかぁ~。」
「「?!」」
人員もかなり増員されてこの半年で成長もしてくれている。
精神面の成長はどうしても、後々になってしまうのは仕方がない。
ロバートが担当している都市国家スパルタは、ビラッキオをトップに据えてリリアーナに補佐をお願いし、ロバートを相談役にすれば良い。
トーマスが担当しているカーリアン帝国のエグゼイドの街はサムズウェルとキャサリンに任せてトーマスを相談役にすれば良い。
アリソンの役目は定時のモノじゃないから、良いだろう。
ミーリアはメイド長的な立場だから、これを完全にシーリスに移譲させれば良いな。
うん。何とかなりそうだ。
ゲートはこれまで通り、ブリエンドとセリンエンデス一族に任せる。
防衛面はユカをトップに置いておくのは変わらないし、ジャックを補佐に置いておけば良い。
建設面はセシリアを筆頭にダンバル一家が居る。
情報面はシェリルが筆頭で健在だし、ステファネスも育ってきている。
スマイル・ペウロニー(ブラック・デストロイヤー)の三人と、二人の使徒の眷族は訓練を兼ねて滞在中。彼女らに、依頼系は任せる。
「先を見据えると、人員は増加させないとな。そうなると、屋敷の方も増築する必要があるかぁ~。」
「その件でしたら、これまで通り、チャンプリンさんとオードリーンさん達に任せておけば集めてくれると思います。」
シーリスが答えてくれた。
「そうだよね。徐々に増加する形で良いね。ここの屋敷の方をどうするのか?の方が大切かな?」
「いっその事、街を造ってしまった方が・・・。」
シーリスは言い淀んで止めたが、確かにその方が手っ取り早いかもしれない。
街を構築し、各地に小さな屋敷を用意し、ゲートで結ぶ。そうすれば困らない。
そうなると、そこを治める領主となる。
問題や仕事が増えるのは間違いない。当面はそんな事をしたくない。
私の前世の息子はそう言うのが好きかもしれないな。
よく、歴史シュミレーションゲームというモノをやっていた。
三国志や信長の野望といったジャンルだったか?
私は、ドラ●エのみやり続けた記憶がある。
「今は、考えてないな。追々考えるとしようか?」
「はい。わかりました。」
スゴイ残念そうな顔になるシーリス。
まぁ、現状でも王女を二人も婚約者にする子爵家の嫡男だ。
その内、色々なしがらみで、領地経営はしていく事になる可能性は大きい。
絶対とは言えないけどね。世界は混沌としてきたからね。
「さて、学校に毎日通う為の道筋は見えた。後は実行するだけだ。皆を呼んでくれるかな?」
「かしこまりました。会議室に主だった者をお呼び致します。」
そう言って、シーリスは部屋を出た。
私も準備するべく、ミーリアとアイリーンを連れて議室へと向かった。
そう言えば、ミーリアが無言だな。そんな事を考えながら。
◇◇◇◆◇◇◇
「・・・と言う訳で、皆の協力を貰いたい。よろしくね。」
「「「「かしこまりました。」」」」
反対意見とか無いが良いのだろうか?
と思ってしまうぐらい、皆は笑顔で聞いてくれた。
「私も学校に行きたいな。」
「学校・・・懐かしい響き。」
そんな言葉が聞えた位だ。
「卒業までは後は四年ちょっとです。今更の感じもしますが、楽しみですね。」
「魔法の研究を進める♪」
そんな感想を二人の女性が述べた。
やはり、学校生活主体に戻れるのは嬉しい事なのかもしれないな。
なんだかんだで、私の行動で巻き込む形で、皆に動いてもらったからな。
「やっぱり、学院に通う方が良かったのかな?」
ボソッと言った言葉に反応したのは、トーマスとロバートだった。
「アリソンはそうだろうな。」
「ミーリアは違うな。単純に虫が減るからだろうな。」
「?どういう事?」
「いや、ザバルティ様は気にしなくて大丈夫ですよ。」
「そうそう。」
はぁ。もしかして女性が近づく事を言っているのか?
確かに、どうも女性が近寄ってくる感じは否定できないが、学院に行っても同じなんじゃないか?
そんな話をしていたら、タマルとインディラが傍に来た。
「あの、私達も学院に通えないのでしょうか?」
「それは、難しいかもしれないな。年一回の試験があるから、そこで結果を出して初めて入学が認められるからな。それ以外の話は聞いてみないと正確な事は言えないが、基本的には無理だろうな。試験を受けれる様にするという形なら、出来るだろうけどな。」
「え~。そうなんですか?」
「とりあえず、マリリン第三王女に聞いておくよ。」
「よろしくお願いします。」
彼女達二人は、カーリアン帝国に吸収される前に通っていた経験があると言っていた。
まぁ、その学生時代の学校行事中に問題が起きて、国ごと無くなるという大事件に巻き込まれたらしい。だから卒業していないようなのだが。
試験を受ける事は出来る様になるだろうな。特に問題は無いだろうしね。
こうして、私はアスワン王国の国立学院に毎日通う事を決めて動き出した。
果たして、無事に毎日通う事が出来る様になるのか?
少なくとも、私は新たなる一歩を踏み出したのだ。




