363 生かされた私達の選択。 その4
今後も、私達は生きていかなきゃいけない。
だからこそ、悩む。だからこそ、選択する。
その選択が大きな問題であれば、決断に変るだけ。
そして今の私達は決断をしなければいけない。
「どうする?」
「どうしよっかぁ~。」
何とも気の抜けた感じの話し合いのスタートになる私達。
「ねぇねぇ。それより、本当にザバルティ様ってカッコいいよね?」
「うん。本当にカッコいい!」
てな、感じにどうしてもなってしまう。
だってさ、本当にカッコいいんだよ?どんな行動をしてもサマになる。
本当に人なの?彫刻じゃない?それとも人形なんじゃ?そう感じる見た目なのに、これまた表情が豊かなの。それもまた、カッコいいんだよね。うん!
「このまま、ザバルティ様の元に居るんじゃ、ダメなのかな?」
「だよね。でもさ、ザバルティ様には王女という立場の婚約者が二人もいるらしいじゃん。それに、周りにいる人達もすごく綺麗だし。ミーリアさんとかも本当に美人だよね。」
そうなのだ。
凄く美人さんが多く居るのは確かな事だ。
しかも、美男子も多い。
逆に不細工を見かけない、そんなバカなと思うのだけど、実際そうだから仕方がない。
理由もちゃんと聞いている。
ザバルティ様の回復魔法?能力?は復元能力を持っている。
本来持つ骨?のラインに戻して貰えるみたいなんだ。
普通に生活をしているだけでも体は歪みが出るらしい。
その歪みを魔法?能力?により回復して貰えているらしいのだ。
そして、ここに居る人たちは皆、自分達のしている事に誇りを持っている。
つまり自信に溢れていると言って良い。
だから、それが内面からにじみ出ているのも理由の一つらしい。
そもそも、美男美女ばかりが集まったとも言えるんじゃないかと考えなくもない。
実際、私達も回復魔法を掛けてもらったが、確かに動き安くなったし、幾分か体の調子が良い。顔のラインはスッキリしたし、手の二の腕の部分や足の太ももなんかもスッキリした。
「ぬぬぬ。ここは美男美女育成工場か?」
「かも知れないね。」
なんて、冗談を言ってしまう始末。
私達は子供なのかもしれない。
「で、タマルはさ、純粋な人間に戻るの?」
そう、私達は何処に行くのかと同じ様に、この事も考えなきゃいけない。
「正直半々かな?力事体はありがたいもんね。」
「だよね。それにザバルティ様も存在の問題じゃなくて何をするかが大切だよっておっしゃっていたものね。」
「そういう、インディラはどうすんの?」
「私は、このままで居ようかな?力を持っている事で出来る事があると思うし、それにここに残るなら、強い方がザバルティ様の役に立てるもんね。まぁ、ここに残らなくても力は必要だしね。」
この子はそう言うと思っていた。
この世界では力無き者は、淘汰される。だから、男だろうが女だろうが力を求める。
それが自然な世界だからだ。
「そうよね。私も同じかなぁ。自由に選択できるのなら、私は私と同じように困っている人を助けたいな。」
私達が受けた魔物の襲撃は人為的に起こされた。
アイツはまだナベリウス様の元に居るはずだ。
復讐もしたいと思った時期があったけど、私以上に被害者となったナベリウス様により、死ぬより辛いであろう罰を与えられていた。
私達の様に、身内を殺されたりして困っている人達を助ける。
それが、今の私には出来るんじゃないか?そう思ったのだ。
「うん。私はここで訓練を受けてから、旅に出ようと思う。」
「旅に出る?」
「そう。私達みたいに戦争や、魔物に襲われたりして、苦しんでる人がきっと沢山いると思うの。その人達を助けたい。そう思うの。それにはやっぱり力が必要だし、この間の戦闘で思ったけど、基礎能力が高いだけじゃ、負ける。技術を身につけないと。」
「そうね。面白そうね。私も乗った。私達二人が最強になればより多くの人を助けれるようになるよね?」
「うん。インディラも手伝ってくれるなら、嬉しい。頑張りましょう!」
「頑張ろう。どういう訓練をしていくの?」
「そうだねぇ・・。攻撃魔法だけじゃなくて剣とか刀とかの武器の扱いも憶えたいよね?」
「そうそう。あれにはやられたもんね。槍捌き?っていうのかな、上手く転がされたかんじだったから、リベンジしたいし。」
「そうだよね。やっぱ、強くてカッコよくて可愛いを目指したいもんね。」
「それ良いね?!そうしよう。」
「後は、人助けって事は、回復系も憶えたいね。」
「そうだね。ザバルティ様みたいに回復出来たら、超スゴイよね。」
「そうだね。頑張って覚えようよ。」
「うん!」
私達は男の子達がするみたいにお互いにグーを作って拳を合わせた。
「そうと決まれば、早速ザバルティ様にお願いに行こうよ!」
「うん。というか、また顔を見たい!!」
「だよね!!」
私達は直ぐに部屋を出て走ってザバルティ様の執務室へと向かって走り出した。
私達は、人助けをする。
私達と同じ境遇の人を助ける。
その為に、私達は強くなる事を選ぶ。
こうして、新しい道に向かって大きく一歩を踏み出したのだ。




