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362 生かされた私達の選択。 その3


「やぁ、遅くなってすまない。どうぞ、座って。」


そう始めに謝罪を口にしたのはザバルティ様だ。

ザバルティ様が応接間と聞いたこの部屋に入って来ると分かって立ってまっていた私達にそうおっしゃられた。

改めて、マジマジと顔を見る事になったのだけど・・・ヤバい、カッコいい。

ナベリウス様が陰のあるカッコよさとするなら、ザバルティ様は陽のあるカッコよさと言えると思う。


整った顔立ちに白銀の髪。

笑顔がとても似合う。爽やかさを持ったカッコよさ。さらに貴族らしく上品な物腰と動作。

うん。この屋敷の女性が綺麗な人ばかりなのも頷ける。


「どうかしたかな?」


「「いいえ。何でもありません!」」


ここに来てまで、インディラとハモってしまうとは・・・私は恥ずかしくて俯くしか出来なかった。


「そう?」


「「はい!!」」


もう、ハモってしまう事は諦めよう。

このザバルティ様の顔を見てないと損してしまう。そんな気持ちに切り替わって顔を上げた。どうも、インディラも気持ちは同じだったみたいなのは、どうしてか?


「タマルさんにインディラさん。ザバルティ様にお聞きになりたい事があるのでは?」


「はい。」

「そうでした。」


ようやく、ハモリから抜け出した私達はお互いの顔を一度見てから頷きあった。


「先ずは私から。インディラです。今回は敵である私を助けて頂いてありがとうございました!」


深々と頭を下げてお礼を言うインディラの様子を見て困った様な顔になるザバルティ様。

その顔も素敵です!!


「いや。敵っていうか、君達は彼の仲間というだけでね。ニクイ訳では無いし、そもそも、私の仲間である煉がした事で傷ついた君を助けるのは当たり前だと思うんだけど・・・。」


「いえ。敵対した時点で、彼に殺される事になったとしても仕方がなかったハズです。なのに、こうして生かされて、元の状態にまで回復させて頂いて、さらに寝食を与えて頂いて、感謝しかありません!」


「わかった。そう言ってくれるなら、君達の感謝を素直に受け取るよ。」


「ありがとうございます。」


「ところで、話というのは何だろうか?」


ザバルティ様が、私に向き直り聞いてくる。


「あの、単刀直入にお聞きします。本当に、純粋な人間に戻れるのでしょうか?」


「そうだね。戻れると思うよ。あくまでも仮説の範囲内だけどね。」


ザバルティ様の話では、邪神の使徒であるナベリウス様の血を体内に入れた事で、眷属化した。つまり後天的な原因であるから、同じく聖神の使徒であるザバルティ様の血を体内に入れる事で相殺出来る。というモノだった。ただ、実施した訳では無い事が懸念事項だという。


眷族化した事で、邪神の血が入ったという形になっている。

但し、純粋な邪神の血ではなく、ナベリウス様という使徒を媒介にしている事と、元々もっている自身の血が混ざり、ナベリウス様に比べて純度が低いモノになっている。


また、相反する血が入る事で、相殺しあうであろう。という予測の上での話でもあるようだった。


「100%では無いという事が、問題ではあるね。」


問題点もあると教えてくれた。


相反する力の血を入れる事で、体に負担が掛かるのは想定できる。

その負担が、どういうモノなのかは正直分からないが、痛みは伴うかもしれないが、必ずザバルティ様が治癒するとも話してくれた。


「そうですか。色々すみません。」


「いや。それは良い。私が出来る事であれば協力するよ。そこは気にしなくて良い。それよりも、どうしたいかは、自分で決める事だ。現状で考えられる選択を、自分で決める。その事の方が大変だと思っているよ。」


決断する事。

正直に言うと、今の能力はこの世界ではありがたい。

この力を使えば、些細な事では死を免れる。

理不尽な事にも対処できるから屈する事も無くなる。


「ちなみに、これは私の持論だが、神に正邪の区別自体は無いと思うよ。正邪を区別しているのは、あくまでも人の身で勝手に区別しているだけだ。だから、邪神の使徒の眷族である事が問題になるのではなく、その者の行為が問題であると考えるべきだよ。ただ、こういった考え方は、中々してはくれないのが世間ではあるのだけどね。」


そう言って頭を掻いたザバルティ様。イチイチカッコいいのはどうしてなのだろうか?

という邪な考えを横に置いて、もっと真剣に悩むべきだよね?私は。


「だから、私は君達をナベリウスの思いや支配から抜け出せるのであれば、自由にして良いと思っている。ただし、その場合でも力を持つ者の義務や責任を考えてもらいたいとも同時に思ってしまうのだけどね。害を与える存在にならなければ、基本的には自由で良いと思っているんだ。」


だからなのね。私達に優しく接してくれるのは。


「まぁ、ナベリウスの所に戻りたいと君達が言うのなら、私は止める事はしないが、敵対しないで貰えると嬉しいなとも思っているよ。」


「「ザバルティ様に敵対?!あり得ない!!」」


「「あっ?!」」


シンクロする私とインディラを見て、クスクス笑い出すザバルティ様。

一体、これ何度目?諦めたとはいえ、どうも多すぎる気がするんですけどね!インディラさん!!


私がそう思い、インディラを睨むと、インディラも同じ事を考えたのか私の方を見て睨む。


「本当に、君達はシンクロするね。笑って悪いとは思うんだけど、おかしくって。ごめんね。」


「「いえいえ。」」


やはり、シンクロしてしまう私達を前にして、ザバルティ様は大きな声で笑っていらっしゃった。

初めは『もう!』と思ったりもしたが、ザバルティ様の笑顔を見ていると、和まされ私達もいつの間にか笑っていた。


う~ん。ザバルティ様って、笑顔でも癒し効果を発揮するのかなぁ?


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