36 謁見 その2
私の記憶の中にある7年前の事を掘り起こす。その時はまだ、私が転生者であるという事を自分自身が知らなった時の事だ。しかも8歳当時位の事だから曖昧な部分もある。
イベント的にはあの誘拐ドレイ事件しか考えられないのだが、その時にマリリン第三王女にお会いしているのか?って事だ。これを思い出さない限り正解にはたどり着けないと思う。
先ず、あの事件で覚えているのはミーリアが当家に来る事になった事件である事。ミーリア達は各地から攫われる等されて集められた子達だった。それに関与していた組織はかなり巨大であり、貴族迄関与していた。攫われる子達は親等の近しい人まで殺されてしまっていた。つまり人を物として扱う強盗集団であったのだ。そんな訳だから当時の私が何かした。というのは考えにくい。
次に考えられるのがその当時何処に私が居たのか?という事だ。これは共通するはずで、ここ、王都テーストに私は来ていたはずであり、マリリン第三王女も居たはずである。しかし、たかが子爵家の子供が王家の王女と接点を持つ事などあろうか?
≪マスター。考察しても結論は出ないと思われます。私の記録では第三王女とお会いしています。事件の時で間違いありません。その時の記録を映像として脳内に出しますか?≫
そうか、その手があった。カミコ頼む。カミコの返事と共に映像が流れだした。
◇◇◇◆◇◇◇
「父上。いくら相手が私達より高位の者達でも悪い事をしている以上、絶対に引いてはいけないと思うのです。」
「だがなザバルティ。今回の件は王族が相手となるのだ。迂闊には動けん。」
「そんな事は関係ありません。王族であろうと悪は悪なのです。こんな時こそ、我がザバルティ家が立たなくてどうするのですか?これ以上ミーリアのような子を見たくありません。」
回りの大人達を圧倒する子供が・・・私か。なんて子供だ。と今なら思える。
子供の正論に大人が黙る図ってのは怖いもんだ。今の私でも同じ事を言うとは思う。権力なんて関係無い。それに王族であるならば、なおの事しなければ国は衰退し滅びに向かうだろう事を私は知っている。そうは言っても大人になると良し悪しだけで行動出来ないとは思うが。
「かかか!アルカティよ。お前の息子はシッカリしておるな。」
「これは、カンガリ伯爵。恥ずかしい所をお見せしてしまいました。」
こんな所にカンガリ伯爵が居たんだな。
「それに、正論ではないか。ここは、腹を括るしかないのではないかな?」
「そうですね。腹を括ります。ザバルティ、お前に王城にて王への謁見を命ずる。特約第2条だ。私が直接、討伐隊を組織しダイアン公爵以下の貴族を捉える。公爵の身柄を抑えた後は全ての関係施設に立ち入り、殲滅作戦を決行する。奴隷の保護は最優先とする。以上だ。」
「「「かしこまりました。」」」
「うむ。ではワシがザバルティ君に付き添う。アルカティ子爵よろしいかな?」
「カンガリ伯爵、ありがとうございます。宜しくお願い致します。ザバルティ良いな。確りとマカロッサ家の役割を果たすように。」
「はい。わかりました。」
「よし。迅速な行動を持って事にあたる。急げ!」
「「「はっ!」」」
こうして、私はカンガリ伯爵の付き添いで王城に行く事になった。
そして私はマカロッサ家が王家と古からの特約第2条により緊急に王に謁見した。
◇
「緊急にて失礼します。アスワン王家とマカロッサ家の古の盟約・特約第2条によりまして、マカロッサ家の一族である私ザバルティ・マカロッサは使者として参内致しました。御無礼をお許しください。」
「うむ。ご苦労である。余がアスワン王家当代ケンブリット・アスワンである。要件を聞こう。」
「はい。今回、この国を揺るがすであろう由々しき事態が発生しております。それにダイアン公爵殿が関わっている事が判明致しました。国の一大事であるマカロッサ家当主、アルカティ・マカロッサは判断いたしました。よって、迅速に行動するべく、私がマカロッサ家代表と致しまして来た次第であります。内容と致しましては、国内外から人攫いという行為にて奴隷を集め売り捌くという事案であり、公爵殿がその組織の後ろ盾となっていた事が判明しました。その証拠はこちらにある書面です。」
書面を王に渡した私は待機した。
「し、信じられん。再調査をしてからではダメなのか?」
「うむ。そうあるのだが・・・。」
「お父様。失礼を承知で口を挟まして頂きます。これはマカロッサ子爵家としてでの判断ではなく、我がアスワン王家と古の盟約をしているマカロッサ家としての事です。今回はマカロッサ家の意向に従い。我らアスワン王家は報告を待つべき事案です。」
「そうだな。マリリンの言う通りだ。ザバルティ・マカロッサよ。よく来てくれた。特約第2条を了解した。其方らマカロッサ家の忠節ありがたく思う。追っての報告を待つ。ご苦労であった。」
ああ、ここにマリリン第三王女が居たんだ。なるほど。でも、だから言ってそんな接点かな?
「ありがとうございます。」
「では、私カンガリ・プロスペクターより詳細をご報告させて頂きます。」
そして、私は役目を終え、カンガリ伯爵に詳細説明をお願いしたわけだ。
ここに接点があったんだ。確かに忘れていては失礼な事だ。だが、ザバるんと呼ばれる関係では無いと思うのは私の気のせいなのだろうか?




