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357 アリアさんの目覚め。


アリアさんが目を覚ましたと聞いて僕は急いでアリアさんを寝かせた部屋に向かった。

アリアさんを寝かせていた場所は、ザバルティさんのアスワン王国の王都テーストの屋敷だ。僕は離れたくなかったんだけども、ウジェニーさんにガツンと言われ自分の部屋で寝る事になった。

僕は逸る気持ちを抑えてドアをノックする。


「煉です。入って良いですか?」


「はい。どうぞ。」


コーネスさんが扉を開けて入れてくれた。

僕はゆっくりと部屋の中に入った。

すると、アリアさんは僕の方を向いてくれていた。


「よかった。」


そう言うと、アリアさんは涙をボロボロと流した。


「アリアさん。」


僕は、急に涙を流したアリアさんを見てどうしたら良いのか分からなくなって、その場に突っ立ったままになってしまった。


「傍によってあげなさい。まだ彼女の体は万全ではないのだから。」


僕の傍に寄って来たコーネスさんがそっと僕に教えてくれた。

僕は言われるがまま、アリアさんの傍に行き膝をついた。


「本当によかった。生きててくれてありがとう。」


「えっ?」


アリアさんはベットから降りるとそのまま僕に抱き着いてきた。


「いや。あの。なんでそう思うんですか・」


「だって、私の記憶では、煉君がボロボロにされていた所で気絶したの。だから、死んじゃったかもって思ったの。」


そうだった。アリアさんは僕の前で連れ去られた。

その時の僕は腕も足も失っていた状態だった。


「あははは。そうでしたね。大丈夫です。僕はこの通りピンピンですよ。」


そう言って腕を挙げて見せた。


「すべて、ザバルティさんのおかげです。直してくれたんです。だから義足や義手では無いですよ。」


「うん。本当によかった。」


何度も何度も頷いてくれた。安堵感と喜びで一杯の様子だ。

僕は言わなくちゃいけない。僕が出来なかった事を謝らないと。


「守れなくて、ごめんなさい。」


僕がそう言うと、アリアさんはハッとした顔になり僕の顔を見た。


「僕が傍に居たのに、アリアさんを守る事が出来ませんでした。本当にごめんなさい。」


「ううん。良いの。助けてくれたんでしょ?」


「いや。助けようと動いてましたけど、ナベリウスが勝手にというか、何というか。」


「馬鹿ね。正直なんだから。良いの。助けようと思ってくれただけで。煉君が生きてくれていただけで良いの。煉君が生きていてくれて助けようとしてくれたから、私は今無事にここに居る。煉君のおかげよ。本当にありがとう。」


綺麗だといつも思っていたけど、今日のこの瞬間は忘れないだろう。

僕は、アリアさんの感謝の言葉を体中で感じていた。

愛するアリアさんの感謝の言葉。これ以上に勝るモノはこの世に絶対ない。

そして、愛するアリアさんの許しを貰えたこの瞬間の嬉しさに勝るモノは絶対ない。

死ぬ気で頑張って良かった。

そう思うと自然に涙が流れた。うれし泣きだ。


僕達は、どれ位の時間を抱き合っていたのかわからないが、気がついた時にはコーネスさんは部屋に居なかった。


ちなみに、何故気がつくに至ったかと言うと、足が痺れて身動きが取れなくなったからだ。

痺れた足をさすりながら立上り、部屋を見渡すと机に置手紙があった。


=====


黙ってお部屋を出る事をお許しください。

何かありましたら、この呼び鈴を御鳴らし下さい。

直ぐに参ります。


コーネス


=====


「コーネスさんに悪い事しちゃったね。」


「そうですね。」


僕とアリアさんはお互いを見つめ直した。

僕は遂に決心した。今しかないと。


「アリアさん。僕と付き合ってください。結婚を前提に。」


「ふふふ。私で良いの?煉君に比べたら私はお・・・。」


僕はアリアさんの唇に指を重ねた。


「僕にはアリアさんしか考えられません。僕はアリアさんを愛しているんです。年齢なんて関係ありません。」


僕が指を唇に重ねたからか、少し戸惑った顔になったアリアさんの顔がパーッと明るくなり笑顔になった。


「わかったわ。宜しくお願いします。」


「はい!」


僕は嬉しくて嬉しくて飛び上がりたい気分だ。


「でも、本当に良いのかな?煉君、そこに二人の精霊がいるんだけど、凄く睨まれている様な気がするんだけど?」


はっ!

そう言われて僕は振り返る。

そこには、魔は鋭く、すねた顔になったヒミコさんと桜花さんがいらっしゃった。


「全部見てた?」


『全部見てました。』


『確りと見させてもらった。』


「祝福してくれますよね?」


『もちろんよ。』


『もちろんじゃとも。』


「じゃあ、何で拗ねた顔になってるんですか?」


『拗ねてない。』


『拗ねてなどおらぬ。』


「じゃあ、何でアリアさんを睨んだんですか?」


『睨んでない。』


『睨むなどしておらぬ。』


あちゃ~。こりゃ拗ねてるよ。


「まぁまぁ。皆で仲良くしましょ?ね?」


『仲良くする?』


『仲良くするとも。』


アリアさんがヘルプを出してくれたけど、表情に変化なし。


「煉君は随分と精霊様と仲が良かったのね?」


「精霊界を旅しましたからね。」


「えっ?精霊界を旅?どういう事?」


アリアさんは精霊界の旅に食いついた。


「ズルいよ。煉君だけ。」


「いや。そう言われても。ねぇ?」


『知らない。』


『ふん!』


あちゃ~。ダメだこりゃ。


こうして、精霊界の旅の話をアリアさんに詳細に話す事になりました。

話が終わるまで、僕はご飯を食べる事が出来ませんでした。

ただし、精霊界の話をすると桜花さんヒミコさんはどや顔で説明したりしてまして機嫌が良くなりました。

少し、ほっとした僕でした。あははは。


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