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355 私の王子様♡ その5


私は、動けなかった。

私達の前で、ナベリウスがマコトという男に近づいて行く所をただ、見ていた。


ナベリウスはスーッとマコトという男に近づくと目に見えない動きをした。

たぶん蹴りを入れたのだろう。

次の瞬間には頭が転がり、首から勢いよく血が噴き出した。


「あっ。」


そして、首の真ん中から何やらもぞもぞ動くモノが見えた。


「なにを!」


「悶え苦しむのは流石に可哀そうだろ?」


「えっ?」


その瞬間に何かが、マコトという男の胴体の首があった所から何かが飛び出してきた。

それを何事も無かったかの様に、瓶に受け止めたナベリウスはそん瓶を懐にしまった。


「さて、これで要は済んだ。俺は帰らせてもらう。」


そう言うと一瞬にして、消え去った。

それを見ていたのは私だけじゃない。ペニーとロマニーにパークリー、そしてアリソンさんだ。プレストンは煉君に付いていたし、煉君を気にしていたから、見ていないだろう。


「あれは、ヤバいね。」


「うん。ヤバいね。」


ペニーとロマニーの言葉に私も頷く。

あのザバルティ様を彷彿とさせる位に及ばない存在であると認識させられた。


「あれじゃ、会長も大変だな。」


ぼそっと言ったパークリーの言葉は誰の事を指しているのか?

たぶん、ノーア会長の事だろう。抜けきれないんだろうな。


目の前で、殺されてしまったマコトという男に同情する気持ちを持ったが同時に安堵した気持ちも持った。あんなヤバいスキルを持っていれば、いつかまた、同じ事が起きないとは言い切れないからだ。


スキル【死霊支配】は、どうやら死体を操作したり、動かす事が出来るだけじゃなく、霊も使役出来るという話だからだ。スキルレベルにもよるのだろうが、それでも未来の禍根になりかねないし、どう頑張っても英雄の道はなさそうだからだ。


もし、英雄の道が待っているのであれば、違うかもしれないが。

果たしてあのマコトという男は、英雄の道に行けたのだろうか?

正直、利用されてしまう人間である現状からして、難しいのではないか?

そう思ってしまう。


そう思う私が同じ境遇ならどうなるのか?

たぶん、英雄の道には行けなかったんじゃないだろうか?

あっでも、今の私には『王子様』が居る。だから王子様に導かれれば、英雄の道に進めるかもしれない。

そう考えだすと、早くザバルティ様に会いたくなった。


「帰ろう。」


私はそう呟いていた。


「そうね。そうしましょう。」


「帰りましょう。」


「お腹空いたぁ~。」


ペニーとロマニーが普通に同意してくれたのだが、アリソンさんだけはちょっと斜め上の返事が返ってきた事には驚いた。


「もしかして、動じてない?」


「?」


首を傾げて頭の上に?マークを付けていそうなアリソンさん。


「想定内。」


とだけ、言ってくれた。

つまりここ迄の事はザバルティ様が想定していた事でもあるのかもしれない。

しかし、このアリソンさんの性格なのかもしれず、よくわからないというのが結論になる。


ちなみに、このデストロイをした場所は後に街が出来る事になる。

しかも、宗教色の濃い街が出来る。名前は【デストロイ】と呼ばれていた。

もしかしたら、今日の私達の事を見ていた者が居たのかもしれないね。


こうしている間も、煉君は『アリアさん』と呼び女性をずっと抱きかかえていた。

胸が上下している事から、生きている事は想像に難くない。


その姿を見てプレストンはオロオロしている。

どうしたら良いのか分からないのだろうな。


「仕方ない。」


そう私は思い。ツカツカと煉君の前に行き、煉君の目線の高さになる様にしゃがんだ。


バチン!


思いっ切り頬を叩いてやった。


「煉君!君が確りしなくてどうするの?」


驚いた表情になって私を見る煉君。


「生きている。それは分かったでしょ?そして意識が無いんだったら、どうするのが良いの?」


「あっ!」


もう大丈夫だろう。目つきが元に戻った。


「馬車に戻るよ!」


「はい!」


「プレストンも確りしなよ。煉君のパートナーだろ?」


「すまねぇ。」


プレストンは、ハッとした顔になって謝罪を口にした。

その様子を見ていたペニーとロマニーは私の方に手を置いた。


「ミス.ドロンジョ。」


「後継者現る!」


「はぁ?!」


「「ねぇ~。」」


私はあんなに、歳とってない。

いやいや、そもそもかなり違うでしょう?


「ちょっと、アンタ達!」


「「ほら~。」」


「くっ!」


確かに否定できない部分があるかもしれない。

今の掛け合いなんて正しくそうだ。

しかも男の人を叩いた。ノリでもなく普通に頬を叩けた。


「二世ね♪」


「前から、ウジェニーにはそう言う感じがあったもんね♪」


「二人とも・・・いい加減にしろ!」


私は、二人を追いかけた。

二人は私みたいに素早くはない。

直ぐに追いつき、拳骨を喰らわしてやった。


「いたっ!」


「痛い~!」


二人は揃って頭をさすっていた。

タンコブが出来ているだろう。


「はぁ。」


早く、ザバルティ様の顔が見たいな~。

私の頭は直ぐに、ザバルティ様の事で埋め尽くされた。

嫌な事を忘れる為に切り替えたともいうのかもしれないが。


・・・似てきたのかな?はぁ。


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