35 謁見 その1
真っ直ぐに王城の中に通され、謁見の間に通された。
すぐさま、王様が入ってきて王座に座る。全員が礼をとる。
「私がケンブリット・アスワンだ。皆の者、顔をあげよ。」
全員が顔を上げる。もちろん貴族である私も礼にのっとった行動をした。
「皆の者。よく来た。先ずは学院合格おめでとう。そして超特待生として優秀なる者達が来てくれた事に感謝したい。ありがとう。」
こちらは、主席合格した私が代表となり、返答する。
「王直々のお言葉、ありがたく頂戴いたします。私はザバルティ・マカロッサです。我らはまだまだ未熟者でございます。学び舎の友と共に切磋琢磨して勉学に励み自身の成長を促す所存でございます。」
「ほう。マカロッサ家の嫡男か。マリリンの奴が、急かしたのはこの為か。ふむ。今期に急設した超特待生として皆者、励むが良い。すまぬが、急ぎの要件がある為、退出する。」
挨拶は以上で簡単な物だった。ケンブリット王は早々に退室された。
その後、第三王女マリリンがご入室された。すぐさま礼をとる。
「よく来てくれました。顔をお上げください。改めてですが、今期はとても優秀な人材が揃ってくれた事に私は大変嬉しく思っています。さて、概要は副学院長に聞いた事でしょう。ですので、私からはSSクラスの担当教諭をご紹介しましょう。こちらへ。」
と第三王女マリリンがいうと、アクセラ学院長が奥の場所からやってきた。
「私が、直接担当する事になった。アクセラだ。」
「「「が、学院長が?」」」
何人かが、声をあげる。私もここまでするのか?と思った。
「そう、ビックリする事でもないだろう?それだけ特別処置だという事だ。君達も教室を見てきたであろう?」
確かに、異様と言える程の待遇処置であると思う。個室は与えられるし、給金が払われるのだから。
「それだけ、国は君達に期待しているという事だ。それに、私が担当と言っても私が直接指導するという訳ではない。副担当が基本だ。優秀な君達であれば、何故、私が担当なのか?の意味がわかるであろう?」
まさに、ここまでの好待遇だとは・・・。つまり学院内の事についての決定権を持つ学院長に相談出来る環境であるという事だ。かなり、本気の待遇だ。そこまでするからには、それだけ国はこの私達に期待をしているし、自由に色々やって欲しいという事だ。
「まぁ、そういう訳だから、今後何かあれば直接私に言いなさい。私の部屋は君達の教室の上のフロアにある。いつでも歓迎するよ。」
凄い。恵まれている環境だ。私達は5人ともがSSクラスだ。つまり5人共に部屋が用意されている。どのように使うか考えて色々出来るという事だ。
「では、今日の謁見はここまでだ。質問などは入学する1ヵ月後に受け付ける。先ずはその前に自身の部屋をそうするか?考えておけ。そして親御さんにも連絡をしたりするんだな。では教室へ戻ろう。ただし、ザバルティ・マカロッサは残るように。」
「では、私も残ります。私はザバルティ様の従者ですから。」
「ダメだ。ザバルティ・マカロッサのみが許されているに過ぎん。」
そう言われても、ミーリアは残ろうとするが不敬罪を受けてもつまらないから、私が帰るように命令した。渋々、帰って行った。で、残るのは第三王女マリリン様と衛兵と私のみ。
「では衛兵も退出してよい。」
「しかし、王女様・・・。」
「くどい。下がれ。」
「くっ。はっ!」
と言って、何かあれば殺すぞみたいな顔を私に向けて退出していった。居なくなった後改めてマリリン第三王女は私に顔を向ける。
「ザバルティ・マカロッサ。いえ、ザバるん。貴方に、再び助けてもらったわね。」
「いえ。私は貴方を助けてのは偶々でありますし、今回が初めてのハズですが・・・。しかもザバるんって呼ばれるのは何故ですか?」
「はぁ?憶えていないんですか?私の事を。」
「いや。私に第三王女マリリン様との接点は無いと思うのですが。」
「何故です?あれだけ手紙を送っているのに、憶えていらっしゃらないなんてありますか?」
「いや、手紙を頂いた覚えもないですが・・・。」
「うぅ。7年前の事は覚えていらっしゃらないんですか?7年間も手紙を出し続けてきたのですよ?」
「七年前ですか?う~ん。」
おかしい。少なくとも七年間の間に手紙を頂いた覚えはない。七年前と言えば、礼のミーリア救出の時だと思う。イベントらしい事なんてそれくらいだ。
「おかしいですわ。私の事に関する事を覚えていらっしゃらないなんて・・・。」
目の前でブツブツ言いだしたマリリン第三王女。少し怖い。なんかショックを受けている様子だけど、大丈夫だろうか?
「どなたかとお間違えではないですか?」
「間違えるなど、絶対にあり得ません。ザバるんの髪の色と眼の色が変わってしまってるのは気になりましたが、ザバるんの事を見間違うはずがないでしょう!!」
何故か、激怒されてしまった。しかも【ザバるん】という呼び方は決定事項のようだ。
でも、確かに記憶として残っていないのだが・・・。いや【ザバるん】って聞いた事があるような?いや、言われていた事があるような・・・。仕方ない記憶の呼び起こしをしよう。並列思考をこんな事で使うとは。




