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348 野営と食事と平等と。


「今日は、ここで野営しよう。」


「そうだな。ここら辺が良いだろうな。」


今はニゾン平原に入ったばかりの場所で、街道沿いに馬車を停車させた僕達は野営準備に入った。


「でもこの腕輪すげぇな。」


プレストンさんは沢山の枝を抱えながら感心している。


「当たり前でしょ。ザバルティ様が創った物なんだから。」


「純銀製なのよ。自動修復機能が付いているから、傷がついても変形しても勝手に治るわ。」


恐ろしい程の高性能ブレスレット。能力倍加だけでも相当だと思うんだけどね。

ザバルティさん怖いよ。


「でもさ。それより、この馬車の方が凄くないか?」


「そうよね。部屋がついている馬車なんて、早々ないわよね?」


前回初めて見た時は僕も驚いた。驚愕したと言って良い。

亜空間を作り、そこを部屋として運用している。しかも、その部屋はいくつか用意されていて、シャワーまで浴びれてしまう。この世界でも異質なんだと思う。皆が驚愕していたから。


「快適すぎて、日常に戻れなくなりそう。」


「そうだな。」


亜空間部屋の中は男と女は別々の部屋が用意されており、さらにアリソンさんは個室が用意されていた。


「まさか、旅の野営をベットでおこなえて、湯も浴びれるとはな。」


「そうよね。一台、ザバルティ様に言って貰えないかしら?」


「ふふふ。それは難しいかもね~。ザバルティ様の仲間として庇護下に入るなら貰えるかもねぇ~。」


アリソンさんがそう言う。


「買うとなったら、いくらでも金を積む人達が出そうだね。」


「確かに。流通界に激震が走るね。」


そんな話をしつつ野営準備は終了した。

アリソンさんの魔法鞄からテーブルが出されて皆の食事もアリソンさんの魔法鞄から出された。

そして、皆が席に着いて食事を取った。


「これ、美味いなぁ!」


「これもイケるぜ!」


プレストンさんとパークリーさんは絶賛しながら食べている。

今回の食事は鳥の照り焼きと味噌焼きだ。


「本当に美味しいよね。ザバルティ様の所に居たら、本当に毎日色々な食事が用意して頂いたけど、本当にどれも美味しかったもんね。」


「天国とは、ザバルティ様の屋敷。」


「ほんと、そう思う。」


スマイル・ペウロニーの三人の話は、正確な情報だと思う。

あそこにいて、現代日本との違いは電波系の物位しか思い浮かばない。

後は、さして変わらない生活がおくれる。


「そんなに凄いのか?」


「でも、エグゼイドの街にザバルティさんの屋敷なんかあったか?」


「ふふふ。それは秘密。」


アリソンさんが機転を利かせて答えていた。

確かにエグゼイドの街にはザバルティさんの屋敷は無い。

アスワン王国の王都テーストにあるのだから。


「それより、これから先の話。」


「そうだったな。で、これからどうするよ?」


「先ずは現場を見に行ってみましょう。このニゾン平原の中心地と聞いていますから。」


「不死者というからには昼間の方が良いだろうな。」


「そうね。明日の朝一番で出れば、丁度良いんじゃないかしら?」


「そうだな。」


「後、夕方前には一旦ここに戻ってきましょう。」


「確かに、不穏な場所に長く居るのは良くないわね。」


パークリーさんとロマニーさんがドンドンと話を進めていく。

他のメンバーは聞いているだけって感じになっているが、頭を使うのはこの二人が良いようだ。僕はこの平原の知識は無い。それはアリソンさんも一緒だろうな。プレストンさんはこういう話は苦手だし、ウジェニーさんとペニーさんはロマニーさんに任せる感じみたい。


とにかく、明日の行動も決まり、夜間の当番を決める

最初がプレストンさんとパークリーさん。

次は僕とアリソンさん。

最後がロマニーさん、ウジェニーさん、ペニーさんのスマイル・ペウロニーの三人。


「じゃあ、私達は寝るわね。」


「私も寝る~。」


「じゃあ、僕も寝ます。」


「ああ、おやすみ。」


「ゆっくり休んでくれ。」


こうして当番の二人を残して他のメンバーは馬車に入る。

そしてそれぞれが用意された部屋に入った。


「おやすみ~。」


「おやすみなさい。」


僕は三人で使う予定の部屋に入り、シャワーを使う。

そう、各部屋にシャワーは用意されていた。う~ん。ここまで気を使われた馬車内っていうのは、この世界では普通ではない気がする。

この世界は男女の境は極めて低い。女性専用車両が普通にある現代日本とは違う。

男女平等をうたう割には現代日本と言う所は変な平等を作っているなと思うが、それは僕が男だからなのかもしれないけど。

男尊女卑が長く続いた弊害かもしれないね。

男性専用車両があるのなら、女性専用車両があっても不思議じゃないが、男性専用車両なんて、聞いた事が無い。

痴漢という馬鹿な行為をするのが男に多い社会だったからとも言えるし、女性はか弱い守るべき存在であるという固定概念があるからかもしれない。

だけど、少なくとも平等をうたう人ほど、差別意識は高い気がする。

政治的判断や、色々と大人の事情って奴が噛んでいる気がするし、損得勘定が働いていたりもするのだろうから、純粋な平等なんて実現しないんだろうけど。

それに、女性で社会的地位が高くなる人は男性とたいして変わらない事をしている人が多く見られた。結果、人という存在に置いて、男も女も性別的差があるだけで、変わらないんだなと思っていた。

そうなると、後は思想と身体的屈辱がおこらない様にするだけかな?


僕のお婆ちゃんが言った言葉は一つだけ頭に残っている言葉がある。


『最近の子は大変だね。昔はお茶を汲んだり、コピーを取るだけでも同期の男性社員と同じ給料が貰えていたのに、今の子は男の子と同じ事をしないと同じ給料じゃないんだんもんねぇ~。』


その時はふ~んって思っただけだったけど、今は何となくわかる。

同じお金を得る行為であれば、どちらが良いのかと。

命を賭けてする冒険者業。命に男も女もないし、少なくともモンスターはそんな事気にしない。

だから、男だろうが、女だろうが、成果があれば得られる物は変わらない。

だから、平等だ。だけど、本当にそれが幸せな事なのかは、わからない。


したくてする人にとって、それが何事であっても幸せだろう。

逆に、したい事じゃなくてしている人にとっては、それが何事であっても幸せと感じないだろう。

はたして、現代日本の言う男女平等とは、本当に男女平等なのだろうか?


でも残念ながら僕は男。

女じゃないから、女性の気持ちは分からないのかな?


男は男らしく。女は女らしく。


この言葉の意味は差別じゃない。

そう教えてくれたのはお婆ちゃんとお爺ちゃんだったな。


二人の事を思い出したら、何だか寂しくなってきたよ。

そんな事を考えながら僕は眠りについた。


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