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347 イジラレ役のプレストンサン。


僕が何度目かの酔いつぶれを経験した翌々日、行動を開始した。

翌日は、酷い体調不良で動けなかったから、そうなったんだけど、それは結果的にはいいタイミングだったと言えるのかもしれない。


「おい!聞いたか?」


「何をだ?」


「どうも、帝国の鎮圧部隊に不死者の軍団が襲い掛かったらしいぞ?」


「なんだ?その不死者の軍団って?」


「そのまんまだよ。どんな攻撃をしても死なない軍団だよ。」


「そんな事がある訳ないだろう?!」


「それがそうでもないんだよ。斬られても動くらしんだよ。」


「マジかよ?!」


こういう会話がギルド内で起こっていたんだ。


「例の奴ですよね?」


「そうだな。」


僕達三人はその話をしていた人から、どこで帝国軍が襲われたのかを聞きだし、その現場に向かう事にした。

聞きだした場所は、エグゼイドの街からおよそ徒歩で二日の場所だった。


「馬が必要ですね。ザバルティさんに借りてきますね。お二人は旅の準備を。」


返事も聞かずに飛び出して、そのままザバルティさんの拠点に向かう。


「どうしたの?」


「アリソンさん。馬車を借りに来ました。」


そして、ザバルティさんの執務室に行き、事情の説明と馬車を借りれる様にとお願いをした。


「なるほど。話はわかった。アリソン。ブ、じゃないスマイルペウロニーと一緒に煉達について行ってくれ。」


「わかったよ~。」


「という事で、馬車と人員を用意しよう。良いかな?」


「はい。助かります。では、先に仲間に説明しに戻って僕も準備しておきます。」


「ああ。そうしてくれ。こちらが順位出来たら、ギルドに向かわせる。二時間後かな?」


「わかりました。」


というやり取りを済ませてから、僕は戻り準備をした。

今回は長くなるのか、短くなるのか分からないので、食事の準備が必要だと思って、市場に出かけて食料を買い込む。1週間分の物を用意した。干し肉とかお米とか。炊き方はアリアさんに教わっているので出来る。凄いよね?現代日本人の僕は飯器を利用した炊き方しか

しらなかったんだから・・・小学校や中学校の合宿で飯盒炊飯をやった記憶はあるけれど・・・。


「よし!準備出来た。回復役も用意したし、必要な物は揃った。」


用意した品物は魔法鞄(マジックバック)にしまい込んだ。


『ふむ。人とは難儀なモノじゃな。』


『生命はとはそういうもんですよ。』


なんていう言葉を聞いたりした。

でも、僕達は肉体を維持するために食事は欠かせないのは仕方が無いし、傷を負えば治すのも当たり前の話だ。肉体を失う事は出来ないのだから。


準備を終えた僕は、ギルドに戻ると、そこにはプレストンさん達が居た。


「よう。馬の用意は出来たのか?」


「はい。もう直ぐ来ると思います。ちなみに、スマイル・ペウロニーの三人とアリソンさんが加わってくれます。」


「なに?ブラック・デストロイヤーがくんのか?マジかよ。」


「つうか、アリソンさんって誰だ?」


「私が、アリソンだよ~。よろしく~。」


「何?プレストン?私らじゃ嫌だって言うの?」


どうやら、アリソンさん達も着いたようだ。

さっそく、プレストンさんに噛みつく、スマイル・ペウロニーの面々に、ほわ~んとした挨拶をパークリーさんにするアリソンさん。


「いや、だってよ~。」


「うっさいわね。私達だってあんた達と一緒に居たいわけじゃないのよ。ザバルティ様がどうしてもって言うから、行くんじゃない。」


「そうだよ。仕方がなくだよ。」


「あ~あ、ザバルティ様と一緒に居たかった。」


顔見知り同士の方達の会話。


「こちらこそ、よろしく。パークリーだ。」


「パーちゃんかぁ。うふふふ。」


「初対面から、あだ名?」


知らない者同士の会話。

どちらもカオスが巻き起こりそうです。


「さぁ、挨拶はこれ位にして、早速行きましょう。」


「たしか、ニゾン平原だっけ?」


「そうだよ。あそこは、平原とはいえデコボコしてっから、隠れるのは容易い場所だ。十分注意して動かないとな。」


「そうなんですか?」


「意外とモンスターも強いしね。まぁ街道の周辺にはあまり出てこないけど。」


「だから、アリソンさんを助っ人に寄越しなんじゃない?」


「魔法仕える人はこのメンツだと少ないもんね。」


そう、簡単な魔法なら別段使えない人は少なくないし、このメンツに魔法が全く使えないのは、僕ぐらいだけど、攻撃的魔法になると、厳しい。魔法に特化している人材はロマニーさんで、回復魔法はペニーさんだけ。他は皆、武具による攻撃を得意としている。


「あっそうだ。ザバルティ様からアンタ達にって渡された物があった。」


「そうだよ。はい。」


「何だこれ?」


「はぁ?これが分からないの?これ付けて動いて見なさいよ。」


そう言って渡しているのはブレスレットだ。


「いやだよ。こんなチャラチャラしたもんをつけたくねぇ。」


「いや。ちょっと待て、プレストン。これすげぇぞ。」


そう言ったパークリーさんは装着している。

そして、そこかしこに動くと追うのがやっとのスピードを見せる。


「やべぇ!」


大きな声で吠えたパークリーさんはとても嬉しそうだ。


「なんだよ?どうしたんだよ?」


「見て分からないのか?すげぇスピードが出てるだろ?これ、本気じゃないんだ。」


「はぁ?」


「行くぜ。見てろよ。」


そう言ったと思ったら、プレストンさんの後ろにパークリーさんが居た。

瞬間移動したように見える。目で追えなかったから。


「えっ?いつの間に?」


そして一発プレストンさんを殴ると少しプレストンさんはよろめく。


「イテ!本気で殴んな。」


「いや、本気じゃねぇよ。軽く触った程度さ。」


「はぁ?!嘘つくな!」


「いや、本当よ。そのブレスレットは能力倍加の付与がついてるのよ。」


そう言ったのは、ロマニーさんだった。


「嘘だろ?」


「しょうがないわね。ウジェニー!」


「はいよ。」


さっき、パークリーさんがした事と同じ事をウジェニーさんがやった。

同じく様によろめくプレストンさん。


「イテェ!同じ事でもわざわざ殴る事ねぇだろうが!」


「それは、オマケよ。でも凄い事は分かったでしょ?」


「ぬぅぅぅ。」


ここでもイジラレ役のプレストンさんが少し可哀そうになったけど、笑ってしまうのは仕方ないよね?


「おい!煉まで笑うんじゃねぇ!」


そんな笑い声とプレストンさんの怒声が響き渡る事になったギルドだった。


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