346 パーティー名。
「一体、何が目的なんですかね?」
「あん?何のことだ?」
「アホなのかお前?敵の事だろうが。マコトの事だよ。」
「そうなのか?」
「そうに決まってるでしょう?」
今、僕、プレストンさんにパークリーさんの三人で話し合いをしている。
話し合いとは言え、食事を兼ねての事だから、プレストンさんはこうなるっちゃっこうなる。
「そんな難しい話より、先にパーティー名を決めないといけないだろ?」
「なんで?」
「そりゃ、ミス.ドロンジョに怒られるからに決まってるじゃねぇか。」
そうなのだ。
冒険者ギルドにおいて、パティー登録は必須とされている。
臨時のパーティーを組む時は名前までは必要ないが、申請は絶対なのだ。
それは命の危険に伴う仕事だからという事が表向きの話で、どうも昔は義務化されてない時にアコギな事をした奴が居た様だ。パーティーを組んで洞窟とかに入り、仲間の筈のパーティーメンバーを殺す。そして財産を奪う事をした奴が居たようで、現在は冒険者ギルドの管理面として、何をするにも申請が必要になっている。
ある意味で自由を縛られているとも言えるが、ならず者が多いこの世界では冒険者ギルドのメンバーを守る為にも、糞みたいな事をする奴を抑止する為にも、現在の申請式になったとミス.ドロンジョさんから教わった。
で、パークリーさんが仲間になった事を伝えた時にミス.ドロンジョさんから、僕等にパーティー名を決めて登録するようにと、厳しく言われた。
「そうですね。先ずはそれから決めますか?」
「ああ。そうしようぜ。」
「仕方が無いか。」
誰の反対も無く、話はパーティー名をどうするか?に移行した。
さて、ここで問題になるのが、センスだよね?命名センス。
僕は密かに思う所があったけど、センスがないと思っているので、黙って二人の話を聴く事にした。出てきたパーティー名の一部を列挙しよう。
・ドラゴンチェーサー(竜を追う者)
・ドラゴンハンター(竜を狩る者)
・ドラゴンファング(竜の牙)
・ドラゴンテイル(竜の尾)
・ドラゴンフレイム(竜の息吹)
などなど、竜にちなむ名前ばかりが列挙されたのだった!
じゃない!僕は頭を抱えた。痛い。痛いんですよ。
もうちょっと良い名前は無いモノか?そう思っています。
・・・
数時間使っても僕はしっくりくる名前が出てきませんでした。
どうしよ?
「おい。本当にどうすんだよ?」
「もう、【ドラゴンチェーサー】で決めてしまおうぜ。」
ヤバいっす。
こうなったら、仕方がない。
「【ドリームチェイサー】はどうですか?いや、この場合【ドリーム・チェイサーズ】が正しいかな?」
「うん?何だそれ?」
「【ドリーム・チェイサーズ】は、夢を追う者達という意味があります。僕達はそれぞれに夢と言うか目標があるじゃないですか?だからピッタリだと思うんです!」
そう、そうなんです。僕の案も痛いんです。たぶん。
でも確か、宇宙船の名前にもあったような?気がしてます。
「いいじゃないか!」
「それにしようぜ!」
こうしてあっけなく、あっさりと決まりました。
反対されなかったです。何故でしょうか?
「【ドリーム・チェイサーズ】良い響きだ。」
「夢を追う者達。ロマンがあるな。」
ニマニマする人達が目の前に・・・。僕の顔もニマニマしているみたいですが、それは置いておきます。
直ぐに、冒険者ギルドに行って、パーティー登録をしました。
うん。流石に他人の目に触れられると少し恥ずかしい。
「良い名前じゃないか。あんた等に相応しい名前だよ。」
ミス.ドロンジョさんにそう言って貰えたのは非常に精神に良かった。
「ただ、なんだ。あんたら三人じゃ、あんまりバランスが良くないね。」
「そうだな。魔法使い系が居ないからな。」
「まぁ、仲間は追々募集するしかないかね?」
「ああ。そんじょそこらの魔法使いじゃ、足手まといだからな。」
仲間って言っても、この世界の冒険者パーティーは命を賭ける事が当たり前だから、それなりに選んでしまうモノだと思う。信用が置けないとそもそも一緒に居られないしね。
「よし、今日は祝いだね。」
「「おぉ!!」」
「えっ?また飲むんですか?」
「当り前だよ!」
こんなやり取りで登録は終わった。
パーティーランクはBからスタートになった。
これは、プレストンさんのランクが関係している様だったけど、まぁたぶんミス.ドロンジョさんの意向だろうなって思います。はい。
この日も朝まで付き合わされる事になったんだけど、これってパワハラとかじゃないの?
異世界じゃ違うのかな?
「なんだい?アタシの酒が飲めないのかい?ヒック。」
「いえ。そういう訳じゃないです。」
僕は諦めて、目の前のコップを掲げ一気に飲み干す。
「良い飲みっぷりだねぇ~。」
今日はこのやり取りを何回した事だろうか?
ミス.ドロンジョさんは僕達三人を順番に一気飲みをさせる。
これが所謂、アルコールハラスメント?
大人の階段を登り始めたという事なのだろうか?
こうして、僕は気を失った。
一体、僕達のパーティーはまともに活動できるのだろうか?
そんな事を考えながら。




