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342 祝勝会。 


「彼女達はこちらで預かるよ。良いかな?」


「はい。僕は構いません。」


「俺も文句はねぇ。それに、狙われただけで、俺に恨みはねぇからな。」


「わかった。では預からせてもらう。近いうちに会いに行くよ。」


ザバルティさんは僕達にそう告げると、ミーリアさん達と敵対した子達を連れて転移の魔法で去った。


「ふぅう。戦闘より緊張したぜ。煉、よくお前はアイツと普通に話せるな?」


プレストンさんが息を吐きだしてから、僕に質問をしてきた。


「えっ?僕だって緊張はしますよ?でも、何て言うか、優しい目をされてるから、緊張しすぎるって事はないですねぇ。変ですか?」


「いや。本来はそうなのかもしれねぇな。けど、俺は対峙した事があるから、怖さが身に沁みちまってるのかもな。」


「そうかもしれませんね。」


「う~ん。しかし、あの人は相当に強いんだな。あの女共でもヤバいと思ったが、改めてアイツと会うと強さが底抜けって言うか、なんかこう。」


「先が見えない。ですよね?」


「ああ、そうだ。見えねぇ。」


「僕もそう思います。」


「あははは。だよなぁ~」


「ええ。」


僕達は顔を見合わせて笑った。

遥かなる高み。高すぎて分からない。神と言う存在とはあんな感じなのかな?って思う。

よく、色々な所で聞く言葉で『次元が違う』とか聞くけど、まさにそんな感じだ。

ザバルティさんには稽古をつけてもらった事があるけど、時折放たれる武威に気後れしてしまう時があったのを覚えている。


「だがよ、上が居るって事はそこまでは頑張れば行けるって事だもんな。」


「はい。確かに生まれつきの差とかあると思いますけど、時間も必要かもしれませんけど、絶対到達出来ない訳じゃないもんですもんね。」


「ああ。俺達はまだまだ強くなれる。」


「はい。」


僕達は今回の相手にもザバルティさんにも追いつく事を誓い合った。

何故なのか?強さとは一つではないという事。そして何より自分達より格上の能力を要した相手に勝てたという自信がそう思わせた。

たぶん、彼女達は武技での戦いに慣れていなかった様子があった。強者の気配から能力は格上だったと思える。つまり相手の得意なモノを出させる前に決着をつけれた事が勝因だと思ったし、プレストンさんも同意見だった。

少なくとも、魔法攻撃をされれば、違う結果になっていたと思えるからだ。


「とにかく、祝杯を上げようぜ。」


「そうですね。」


僕達は居酒屋に向かう事にした。

そして、朝まで武勇伝を話し合う事になった。

命を失う事にならなくて、本当に良かったと思う。



◇◇◇◆◇◇◇



翌日は冒険者家業を休みにして、一日ゆっくりする事にしたのだが、昼過ぎにミス.ドロンジョさんに呼ばれた。


「なんだい?そのつらは?ピッシッとしな。」


「そうは言うけどよ。死ぬかも知れなかったんだぜ?普通なら飲んで騒いで寝てるだろ?」


「たく。情け無い事言ってんじゃないよ!」


僕より先に来ていたプラストンさんはミス.ドロンジョさんに愛ある指導?を受けていた。

つまり、ドツキ廻されていたという事。


「おはようございます。」


「おはよう?何時だと思ってんだい?煉!プレストンに感化されてんじゃないだろうね?」


「いえ。今日初めてお会いしたので、朝の挨拶をと思っただけです。」


ミス.ドロンジョさんの鋭い目線を受けながらも、何とかそう返した。


「そうかい。なら良しとしよう。」


ふぅ。助かった。危ない危ない。

プレストンさんの『ズルい!』という視線を受けているがそれはスルーしよう。


「まぁ良い。それより昨日は大変だったみたいだねぇ。襲撃されたようだね?」


「はい。何とかプレストンさんと撃退に成功しました。」


「ふむ。詳細は聞いてるよ。アンタ達が強くなっていたとザバルティ殿が言っていたよ。やるじゃないか!」


「だろ?」


プレストンさんが間を開ける事無く返事をする。それに拳骨で答えるミス.ドロンジョさん。


「イデっ!」


「直ぐに調子に乗るんじゃないよ!」


また、無駄に殴られてる。もしかするとプレストンさんってMなのかな?


「まったく。これじゃ話が進まないじゃないか!黙ってお聞き!!」


「へ~い。」


う~ん。平常運行な気がするのは僕だけなんだろうな。


「お前達には、ザバルティ殿の所に行ってもらいたい。今回の件も含めてこの街で起きている事の全容が掴めてきたそうだよ。」


「えっ?そうなんですか?」


「ああ。だから明日ザバルティ殿がここへ来ることになったから、呼んだという訳だ。」


それを伝える為に呼ばれたの?明日でも良いんじゃね?


「それと、今回はよくやった。後もう少しだ。気を引き締めるんだよ。」


ありがた~い話で締めくくられた。


「という固い話は終わりにしようかね。さぁ祝勝会だよ!」


「えっ?また?」


ギロリという目を僕に突き刺す様に向けてくるミス.ドロンジョさん。

しまった!と思ったが後の祭り。

そこからコッテリとミス.ドロンジョさんに絞られた。


「まったく!アタシを除け者にするとは良い度胸じゃないか!」


たぶん、そこが本音なんだろう。絶対にミス.ドロンジョさんは認めないだろうけどね。


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