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331 トウジという人。


僕は目の前に居る人にビックリした。


「それは?」


「もしかして?」


「貴方も?」


そう、この世界に着て初めて僕と同じ境遇の人に出会ったのだから。

彼はトウジと名乗った。この世界に転移されてもう6年以上経っているらしい。


「煉君はここに来て間もない感じ?」


「はい。僕はまだ一年経ってません。」


何故わかったのか言うと、偶々トウジさんがスマホを持っていたからだ。

電気の概念はこの世界にもあるけどエネルギーとして使用しているのはザバルティさんぐらいかもしれない。スマホは電池が無く今は使えないそうだ。


「そうか。君も大変な目にあったね。」


「お互いにですね。」


「あぁ僕は、こういう世界に来たいと思っていたからね。それほどでもないんだよ。小説とか一杯あるだろ?」


転生・転移系の小説や漫画やアニメは多くあった。

有名どころであれば【●職転生~異●界いったら●●出す~】や【転●したらス●●ムだった●】とかかな。あと【Re:ゼ●から始める●世●生●】も大変面白い王道の転生モノだったな。

そういう物を見て、そういう異世界に行きたいと思う人は少なからず要るんじゃないかと思うが、その一人が目の前のトウジさんだったようだ。


「僕はね。来たくて来たって事になるのかな?チャンスと思ってね。」


日本に居た時に魔方陣が目の前に現れたらしく。そこに居た人を気がついたら押し出して自分が魔方陣に入っていたらしい。珍しい事かもしれない。逆に飛ばされた人は幸せなのかもしれない。逆に不幸なのか?その人の事はその人しかわからないから、まぁ考えるだけ無駄かもしれないな。


「で気がついたら、豪華な屋敷の一室に居たんだ。」


「そうなんですね。」


「ああ。そこからはまぁ色々あって今ここに居るって訳だ。」


僕が自分のここまでの話を簡単に要点だけ話したらそう話してくれた。最後は色々と誤魔化している感じがしたから、言いたくない事があったんだろう。


「今は、彼女を探しているって言っていたね?」


「はい。手がかりが一つも無くて。」


「そうか。じゃあ、僕が今仕えている人に相談してみるかい?彼は神の使徒で凄い人なんだ。」


「神の使徒?」


「ああ。」


僕はその言葉を聞いて、心臓が止まるんじゃないか?って思った。

でも、ザバルティさんの事かもしれない。でもザバルティさんの所でこの人の事を聞いた事が無い。転移者の事なんて。こんな事が一瞬で頭の中で考えた事だった。


「神の使徒:ナベリウス様なんだ。」


僕はその言葉を聞いた瞬間、真っ白になって気がついた時には立っていた。


「ナベリウス?」


「そう、ナベリウス様。知っているのかい?」


僕はこの時、冷静になるべきだった。そう本当に思う。


「そいつが、僕の探している彼女をさらった奴なんです。」


「な、なんだって!?」


僕もトウジさんも声が震えていたと思う。


「まさか?そんな事?」


「本当にナベリウスなんですね?」


「ああ。だけど・・・。」


『ダメよ。煉。』


僕の顔が厳しい顔つきになっていたのだと思う。桜花さんが注意してくれる。


「逢わせてください!」


「そ、それは出来ないよ。僕は沢山いる末端の一人でしたない。それに裏切れない。」


青ざめた顔になるトウジさんを僕は更に追い詰めてしまう。


「場所、場所だけでも。何処に居るかだけでも教えてください!お願いします!!」


『やめよ。煉!』


「む、無理だ!ノーア!!」


大きい声でそうトウジさんが叫んでいた気がする。

少しして、ノーアさんが部屋に入ってくる。


「どうしました?煉さん。そんな顔をして?」


「どうもこうもあるか!とにかく僕は失礼する!!」


そう言ってトウジさんは出て行こうとする。

僕は追いすがる形で引き留めようとしたが、ノーアさんがそれを押しとどめる。


「煉さん。本当にどうなさったのです?落ち着いて下さい。」


「だけど!あの人が知っているんだ!」


「一体何をです?」


困惑した顔でも押し止められてしまう。


「先ずは落ち着いて座ってください。」


『そうじゃ。落ち着くのじゃ。』


『落ち着いて。煉。』


そう諭されて座らされてしまう。僕の心は焦りで一杯だ。


「ノーアさん。知っているんですか?彼は、邪神の使徒の部下なんですよ?」


「ああ。その事ですか。」


落ち着いた様子を崩さず、ノーアさんは僕の前に座る。


「知っているんですね?もしかしてノーアさんも?」


「おっと。これは困りましたな。私は存じ上げませんよ?」


「本当ですか?」


「はい。本当です。偶然にもそうであっただけですな。」


大人の余裕なのだろうか?それとも僕が落ち着いてないだけなのか?


「まぁ、先ずは一杯飲んで落ち着いてから話しましょう。」


パンパン。

と手を叩くと、メイド姿の人が入って来て飲み物をそれぞれに出す。


「どうぞ。」


ハーブティーというモノなのだろうか?ラベンダーの様な香りがするお茶を奨められた。


『煉。ここは落ち着いて話を聞く方が良い。』


『そうよ。ヒミコ様の言う通り、先ずは縁が切れない様にしないと。』


ヒミコさんと桜花さんが一生懸命に落ち着くようにと言ってくれる。

確かに理性ではそう考える事が出来るんだけど、感情が落ち着いてくれなかった。


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