320 世界の動き。
「何?クリーマン皇国が動いただと?」
この世界には認知されている大陸が5つある。
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イグナシオ大陸
・一番大きい大陸であり、中央に位置する大陸。
ロードスト大陸
・二番目に大きいとされる大陸、イグナシオ大陸の西南に位置する大陸。
アーダム大陸
・イグナシオ大陸の南、ロードスト大陸の東に位置する大陸。
フレシア大陸
・イグナシオ大陸の東に位置する大陸。
ガリバー大陸
・イグナシオ大陸の北に位置する大陸。
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その中のアーダム大陸の中央から南の全域を支配する大国がクリーマン皇国である。
アーダム大陸にはクリーマン皇国以外にも北を三分割する三か国に東に五カ国、西に四カ国ある。
「はい。北を除いた東西の国に同時進行をしたと報告がありました。」
「遂に動いたか。現在のクリーマン皇国の皇帝はたしかヴァルメットであったか?」
「はい。大陸統一に向けての侵攻作戦の様です。既に西の国は何か国か滅ぼされているのではないでしょうか?」
「ほぉ。もしや竜騎士隊を派遣しているのか?」
クリーマン皇国は化学が発展している国である。
化学とは魔法学とは違い、産出される物質の特性を調べて物質に変化を与えてそれを応用する技術である。その化学を駆使するだけでなく、魔法学も応用に混ぜるという最先端技術を有した大国なのだ。その中に合って合理的に竜騎士を使用してくる。
元来、野生の王者に君臨するドラゴンを化学的解釈の元、魔法の応用によりドラゴンを創り出す事に成功している。もちろんドラゴンと言っても野生に存在するドラゴンと全く一緒ではないのだが。
「はい。その様に報告を受けております。」
「では東は戦車か?」
「その様です。」
そして、もう一つ厄介なのは戦車である。
何も馬を利用しての戦車では無い。人が動かす鉄でできた戦車である。
現代地球に比べるとその能力は下がるであろうが、この世界の戦力が人であるので、破格と言っても良いだろう。
「そうか。遂に軍船の作成に成功したと見るべきだな。」
「はい。その様に感じます。」
クリーマン皇国の唯一の弱みは海戦であった。陸での戦力は戦車。
空の戦力はドラゴンと世界で見ても破格の戦力を保有している。
しかし、海戦においては発達していなかった。
数年前にも、武力侵攻を開始したクリーマン皇国を世界の国々が止めたのだ。
それは海戦による大敗をクリーマン皇国はしてしまったのだ。
その時に国際条約を結び、停戦協定を結んだのである。
しかし、その停戦協定を破り進行を開始した。
つまり海戦にも自信がついたという事になる。
とはいえ、停戦したのはおよそ50年前なのだから、随分と時間を使った。
「で、魔法隊の報告は?」
「いえ。少数は居るでしょうが、やはりその戦力は出来なかったのではないでしょうか?」
そう、化学と魔法学を駆使して化学を更に発展させなければいけなかったのはクリーマン皇国の最大の弱点。魔法使いが極端に少ないという点だった。これは人種の問題になり得るのかもしれなかったが、魔法適正の高い者が生まれにくいというのだ。その原因はまだ発見されておらず、わかっていない。噂では【神に見捨てられた種族】という話まである程だ。
「やはりか。わかった。では随時報告をしてくれ。」
「かしこまりました。」
ラシアン宰相はカーリアン皇帝の前を辞去する。
「ふむ。俺も急がねば飲み込まれるか。」
『そうなりたいのですか?』
「なわけはないだろう?」
『そうですな。では拙者も動きましょう。』
「頼んだ。」
ラムタラの存在も消えた。
「くっくっく。遂に動き出したか。」
カーリアン皇帝。カーリアン帝国を造り上げた初代皇帝でもある。
世界は混沌としてはや700年の月日が立っている。
この世界は統一された事があるのだ。
この広大な世界を統一したのは女性であった。
リン・M・ジャポネス。彼女の残した功績は数知れないが、その中でも世界を統一した事が一番の功績であろう。それにより、世界は統一歴という歴を使用する事で国際社会を形成した。色々な物の統一価値を見つけ世界は平等に交易をする事が出来る様になった。
「次は俺だな。テンビーを呼べ。」
「はい。」
メイドが出ていくとテンビー将軍が入ってくる。
「テンビーよ。お前を大将軍に任命する。」
「はっ、ありがたき幸せ。」
「それでお前には国軍への指揮権を与える事になる。爵位も侯爵に任ずる。」
「ははぁー。」
「テンビー。お前には国軍部内の任命権も与える。速やかにこのロードスト大陸の統一を成せ。」
「かしこまりました。では、早速軍議を開き行動に移します。」
「うむ。任せた。」
「はっ!」
すぐさま、テンビー大将軍は部屋を出ていく。
そして次々とカーリアン皇帝は人を呼び、指示を出す。
次から次へと指示を出していく姿は元々考えていた事を行動にしている。そんな風に見える。
こうして、クリーマン皇国の侵攻によって、世界は戦火に包まれようとするのであった。




