32 奴隷と成長
ラムザ達は街の中心に屋敷を持つ事が出来た。更に街の中心にある商店街の片隅にお店に出来る物件も抑える事が出来た。上々の結果だ。また、奴隷も第一弾として25名も手に入れる事が出来た。
ラムザはクラウンの立ち上げもおこなった。ラムザが代表となり、副代表にエリザを据えた。
初期奴隷の25名は全て精霊が見えるもしくは声を聞く事が出来る精霊使いの素質がある者のみを選んだ結果の人数である。
約半年かけ、25名の冒険者としての成長を試みた。基本的にはレベリングと言われる行為を行った。全員がC級になる事で冒険者としての育成を終えたラムザは、次の段階として精霊使いにする為に精霊との契約をさせる為に大精霊フェニックスを呼び出し精霊の住処へ向かった。全員無事に精霊との契約を結ぶ事が出来た。結果1年の月日を初期の25名に費やした。そのおかげもあり25名は無事Bクラスの冒険者へとなっていた。その成果も評価されラムザは過去の自分と同じSクラス冒険者へとなっていた。
「エリザ。25名の中で中心的人物を5名上げるなら誰だ?」
「そうですねぇ~・・・精霊の成長的にはやはりエスパニさんとドーパム君。冒険者としての成長的にはシェリルさんとグインデス君。それにムードメーカーのリスターさんでしょうか?でも。アイゼン君も気になりますね。いつもは本気では無さそうなんですが、たぶんあの子が一番高い能力があるのでは?と思います。判断力も素晴らしいです。あの事件の時の判断力は正直、私はビックリしました。」
「そうだな。確かに素晴らしい判断だった。あのおかげで俺は仲間を失わなくて済んだ。わかった。では、その六名で次の奴隷メンバーを教育してもらおう。リーダーとしてアイゼンに任せよう。六人を呼んできてくれ。」
クラウンの代表室で、エリザに指示を出した。エリザは直ぐに外へ出て行く。
「プリメラ。そろそろ、クラウン職員や商売側の人員が欲しい。準備は出来てるか?」
「もちろんです。だいぶ、こちらで教え込んでいた者がいますよ。職員関係は男性?女性?」
「そうだなぁ。そういう括りよりも、技能重視で選んでくれ。このクラウンを俺が明ける事が更に増えそうだから、優秀な人材を沢山確保したい。それに専属料理人や鍛冶職人・それに付与魔術師なんかもいると充実する。後は商人が出来る奴が欲しい。」
≪転移魔法が使える魔術師も手に入れておくべきではないかの?≫
「そうだな。ただ、有能でも人格的に問題がある奴は要らん。そこは変わらない。」
「了解したよ。では、明日にでも来てくれるかい?準備しておくよ。ペレ様に協力して欲しいから来てもらえますか?」
≪もちろん構わんぞ。≫
そう言うとプリメラとペレは部屋を出て行く。代わりにエリザと奴隷六人が入ってくる。
「ラムザさん。全員連れてきました。」
「うん。ありがとう。では、ここに居る者にお願いがあるだ。今回の事はどうしても自分で決めて欲しい。だから、命令ではなくお願いなんだ。」
全員が厳しい顔をする。何を言われてしまうのかと身構えているかのように。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だ。君達には、このクラウン【シャルマン】の中心人物となって動いてもらいたいんだ。」
「つまり、幹部に任命するという事ですか?」
ふと、全員が少し緊張が解ける。アイゼン以外は。
「そうだ。で、君達の意志を確認したいんだ。君達の力を私に貸してはくれまいか?それぞれ、私と一対一で話をしよう。」
ラムザは一人ずつ別室へ連れて行った。
◇◇◇◆◇◇◇
「というわけで、これからはアイゼンが副代表だ。今後は当面、アイゼンがこれから入ってくる新人達の教育係だ。副代表補佐としてエスパニ、ドーパム、シェリル、グインデス、リスターを任命する。又、リスター以外の5名は全て奴隷から解放する。6名には隣に部屋を用意する。これから頼む。」
「もちろんです。1日も早くお子様を見つける事が出来る様に邁進いたします。」
アイゼンが代表で答える。
「さて、他の者達の中でサファーとキャリーとミネアとソフランの四名は俺の側近とする。他の者は5人一組を作れ。その3組でボンドー国内の中心となる街のいくつかの調査に行ってくれ。クラウンの支部を作るつもりだ。その下見だと思って国中の街を手分けして回ってくれ。アイゼン達は先ずは半年の間に何とか冒険者としてCクラスまで育ててくれ。その後は皆と同じ様に精霊契約に向かわせる。その時は同行する。これから半年後に全員一度ここに戻ってくれ。では、皆頼む。」
ラムザの話を受けた全員が直ぐに部屋を出て行く。
≪なかなか、演説が上手くなったな。≫
「そうか?俺は変わってないと思うが。」
「ラムザさんは変わっていませんよ。上手にはなったと思いますが。」
ペレの意見に答えるラムザにエリザ。
「どっちにしても、俺の子供を見つける事が目標なんだが、力を貰った以上はこの世界が少しでも生きていきやすい環境を作る。それが、子供の為になると思う。今は目の前の迫害を受ける者達を助けていくよ。」
それを聞いた二人?は笑顔をラムザに向けるのだった。
≪フェニックス様の善意が更なる善意を呼ぶか・・・。≫
ペレは独り言を呟き、外の喧騒へと意識を向けるのだった。




