318 情報の値段
目の前のパークリーは手もみしながら、僕等に笑顔を見せる。
「さて、どんな情報が欲しいのかな?」
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Sランク:確信をつく情報 統一金貨1枚
Aランク:確信に近づく情報 金貨10枚
Bランク:線の情報 金貨1枚
Cランク:点の情報 銀貨10枚
Dランク:噂話 銀貨1枚
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机の上にあった紙にはその内容に合わせた料金表の様なモノがガラスの間に挟まれてあった。
「まぁ、取り合えず、一番下の話が欲しいな。何個かもうあるんじゃないか?」
ニヤリと笑うパークリーさん。
「あぁ、あるぞ。だが、何処までの情報が欲しくて金が出せるかって話に今回のはなるな。で、どうなんだ?」
なので、僕は懐から統一金貨を出した。
「おいおい。煉。それはやり過ぎだろう?」
するとパークリーさんは目を細めた。
「ほぉ、本気なんだな。だがこの街の出身じゃない煉さんが何故だい?」
ほら、やっぱり僕の事を確り知ってる。
「理由ですか?まぁ、僕に出来る事を精一杯しようと決めているので。」
「なるほどな。良いだろう。この俺様、パークリーの名に懸けてキッチリ用意させてもらおう。」
「おいおい。本当に確信の情報になるのか?パークリー。」
「勿論だ。お前はケチだからこんな金額を払わないだろうがな。確りとした情報を持ってくるさ。もし、用意出来なければ、無料させてもらおう。」
つまり、それだけ自信があるって事なんだな。
まぁ、ここの僕達が来ることすらも分かっていて、僕の事も確りと調べたんだろうから信頼しても良いかも知れないな。
「まぁギルドでの正式な依頼だからネコババされるとは思わねぇがな。」
「当り前だ。一週間後にまたここに来てくれればいい。それまでには確信できる情報を渡そう。あと、これはおまけだ。」
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噂話1
・ブラック・デストロイヤーを助けたのは女だった。
噂話2
・しゃべる猫が居た。
噂話3
・男は不死者だったのではないか?
噂話4
・黒い翼をもった人が空を飛んでいた。
噂話5
・最近銀色の猫が街の中をウロウロしている。
噂話6
・男の行方不明者が増えている。
噂話7
・死体が消える。
・・・
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僕とプレストンが見終わったのを確認したパークリー。
「こいつらは、全部噂話だ。裏が取れてない話ばかりだ。」
「こんなに噂話はあるのか?」
「あぁ、お前たちが欲しい情報はこの中に必ず埋まっている。必ずな。」
自信たっぷりにパークリーさんは宣言した。
「金の価値と同等の仕事を確りさせてもらうぜ。よろしくな。」
握手を求めてくるパークリーさん。ここはプレストンさんに任せよう。
「おお、頼むぜパークリー!」
僕の思惑通り、プレストンさんとパークリーさんが硬い握手を交わした。
『うむ。見事に暑苦しいのじゃ。』
『・・・無理。』
やっぱり、この僕の精霊さん達はキツイな。と思って苦笑いをしていると、魔の前の二人は怪訝そうな顔になった。
「なんだ?お前も仲間に入りたいのか?」
「おお、そうだったのか?」
胸の筋肉がピクピク動いてカモンって感じでお互いが僕に手を広げてくる。
「うっ。大丈夫です。気分が悪いだけなんで。」
『うっ。』
『・・・ギョ。』
「そうだったのか?」
「ええ。もう大丈夫です。とにかく、お願いします。」
「おお、任してもらおう。」
何とか誤魔化して、僕は危険を回避できた気がする。うん。
こうして、情報を買う事にした僕等は一週間という時間が出来た。
盗賊ギルドを出て、僕達は一度冒険者ギルドに戻る事にミス.ドロンジョに報告をする事にした。
「ほぉ、偶には良い所に目を付けるじゃないかい。プレストン。」
「ええ。」
照れるオッサンの需要何ぞ無いと思う。
「で、一週間何をするんだい?」
「英雄殺し(ヒーローキリング)を倒しに行こうかと。」
「アンタは馬鹿なのかい?!今はそれどころじゃないと状況というのが分かんないのかい?!」
激おこぷんぷん丸になるミス.ドロンジョに先ほどまで照れるオッサンだったプレストンはシュンとなる。う~ん。この人のキャラって一体?
「たく、仕方ないねぇ~。お前達には別の依頼をこなしてもらおうかね?どうせ、大金を払ったんだろ?」
確かに大金だ。統一金貨1枚は金貨100枚に相当する。
統一金貨は統一国家時代に造られた物しかないという。もう発行する機関が無いというのがその理由だ。金貨は各国によりそれぞれ造られており、金貨の金の含有量が決まっている。もし万が一含有量が違えば、その国の威信に関わるらしい。
なぜなら、その国の貨幣の価値が全て無くなってしまうからだ。なので各国は確りと含有量を守る。まぁ、悪巧みをしても魔法のある世界においてそれを成すのは難しいと思う。
で、統一金貨は純金製であるようで、尚かつ魔法の保護が掛かっているという特別製だ。
それの100倍の価値のプラチナ貨幣もあるようだ。それも統一国家であった時期に造られた物で、基本的に普通に見かける事はほぼない。
「そうですね。統一金貨1枚です。」
「それは吹っ掛けられたんじゃないのかい?」
「そうかもしれませんけど、僕の想像通りなら、命が掛かっていると思いますよ?」
「そんなに強い相手なのかい?」
「ええ。ザバルティさんを相手にするのと同じだと思います。」
それを聞いたプレストンはさっき迄の情けない顔から武人の顔に戻っていた。
そしてミス.ドロンジョさんは驚きよりも恐怖に染まる顔になる。
「よりにもよって、アタシがこんな老いぼれになってからそんな話になるとはね。」
うん?あれ?どうやら、やる気満々ですか?
「それじゃ、引退前に一発スカッと解決するかね?良いねお前達?」
うん。恐怖の感情じゃなく、燃え滾る感情だったみたい。あは。




