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317 情報を買おう。


僕は、ザバルティさんと闘おうとして闘えなかった人と組まされる事になった。


「おい。こっちだ。」


むさ苦しい事この上ない感じの人だが、優しい人である事には違いないようだ。


「プレストンさん。おはようございます。」


「おう。」


『相変わらず、むさい事この上ないのじゃ。』


『でも綺麗な女性じゃなくて良かったですよね?』


『そうじゃな。むさい男が近くに居れば、女は寄って来ぬじゃろうしな。』


「どうした?」


この人には精霊を見る力が無い事は先日分かっている。だから、僕の隣でヤイノヤイノ言っているこの女精霊様方の話を聴く事も出来ない。だから、二人が話している内容を聞いてしまう僕の歪になる表情に疑問を投げてくるのは当たり前の事だね。


「いいえ。どうもしませんよ?」


「なら、良い。今日は先日よりもう少し先に行くぞ。」


「昨日も結構奥まで行った気がするんですが?」


昨日とは先日パーティーを組まされた日の事だ。かなりの量の魔物を狩って冒険者ギルドに提出したおかげもあり、僕の冒険者ランクは破格のスピードでBランクまで上がってしまった。Aランク冒険者のプレストンさんはSランク冒険者へと上がるとされていて先日の狩りで更に強固な昇進条件を得ている。


「まぁな。でもあのドラゴンはただのSランクだ。下級ドラゴンに過ぎん。だから、その先に居るグリーンドラゴンを倒しに行くぞ。」


「それって、ここの主の別名がウッズドラゴンとか英雄殺し(ヒーローキリング)って名前があるやつじゃないんですか?」


「そうだ。俺の長年の目標だ。」


「僕達二人で大丈夫ですか?厳しんじゃないですか?」


「俺達は二人揃えば無敵だ!」


「う~ん。信頼は嬉しいのですが、僕は遠慮しておきます。」


「なっ?!」


「死ぬつもりはありません。目的がありますから。行きたいなら一人で行ってください。」


「うぬぬぬ。」


「それに、今回はこの街の事が重要なんですよ?実力は見せましたよ?大丈夫ですか?わかってますよね?ミス.ドロンジョに怒られますよ?」


「も、もちろんわかっているとも。ぴゅーぴゅー♪」


吹けない口笛を吹いて誤魔化そうとするプレストン。


『なんじゃ、気持ちが悪いのぉ~。』


『・・・キモイ。』


二人からも厳しい指摘を受けるオッサン。聞こえなくて良いですね?本当にそう思いますよ?


「まぁ、良いです。とにかく、僕達はこの街の異変を洗い出す必要があるんです。良いですよね?」


「おぉお、当たり前じゃないか?あっはっはっは。」


これ、絶対忘れてたな。自分の欲望を優先するタイプで尚且つ忘れるという特技持ちだ。

初めて見た時はもっとガサツで横柄な人だと思っていたんだけど、ミス.ドロンジョの対応ぶりを学んで、指摘するようにしている。すると、お茶目街道まっしぐらな感じを出してきたから、それはそれで困っているのが現状です。


「はぁ。わかってるなら良いです。」


しかし、この人に街の中の捜索なんて出来ない気がする。

魔物を森で見つけたりするのは得意のようだけど、魔物討伐専属位の勢いでここまで来ているんじゃないか?って思う。街中の捜索は基本的にランクの低い者が行うのが普通だしね。


「でもどうすんだ?」


ほら来た。


「足で稼ぐしかないんじゃないですか?」


「ふ~ん。情報なら買いに行った方が早くないか?」


「そうですねって。情報を買うって?」


「おうよ。プロの情報屋から情報を買うんだよ。」


それは思いつかなかった。そういえば、よくバーのマスターから買ったりする様な場面を小説とかゲームとであるわ。


「良い情報屋なら、知ってるぜ。」


「じゃあ、そこに行きましょう。」


『情報屋とは何ぞや?』


『情報を買う?』


ピンと来てない二人は今回は置いといて、直ぐに行くしかないね。

定番を忘れているとか・・・不覚。


プレストンさんに連れられて向かった先はギルドでした。

冒険者ギルドじゃありません。盗賊ギルドです。普通に冒険者ギルドの様な作りになっている建物で、違う所と言えば、個室が沢山用意されているという点じゃないかな?

ここの盗賊ギルドは真っ当な表のギルドだそうで、主に冒険者になりたい者で盗賊系スキルを獲得させる為のギルドだとか。ちなみに、情報収集や情報の販売も定期的にしているらしい。らしいというのも、特にその様な商売を公式に認められている訳じゃないし、人によりその情報の価値は違う。だから、基本的には依頼を受けて集めるというのが情報の販売の様だ。しかし、盗賊ギルドには情報分析官みたいな存在がいるらしく、多彩な方面から情報を集めては分析し有益な情報に変えているのも事実の様だ。


「おぉ、プレスト。今日はどうした?」


「久しぶりだな。パークリー。」


オジサン二人の抱擁を、僕は横から見ていた。


『むさいのが二倍じゃ!』


『・・・あつい。』


やはり、二人からは酷い言われようだ。


「おっ?こいつは珍しいな。一人じゃないのか?」


「あぁ、ちょっとな。こいつは煉って言うんだ。今日は情報を買いに来たんだ。」


「ほぉ。どんな情報だ?ってやっぱあのブラック・デストロイヤーの家の件か?」


鋭いな。つうか、僕等の事を知ってそうだな。さっきの驚きは大げさな感じだったし。


「そうなんだ。ミス.ドロンジョからお達しでな。」


「だろうな。良いだろう。こっちへ来てくれ。」


そうして、僕等はパークリーさんの後について一つの個室へと通された。

中は簡素な感じに仕上がっているが、茶色で統一されていてお洒落に感じる部屋だ。


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