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311 ミス.ドロンジョさんとの会合。


僕はザバルティさんに呼ばれた。

幾度目かのゲートを利用しザバルティさんの待つ、王都テーストの屋敷にやってきた。


「待っていたよ。」


ゲートの先にある部屋でザバルティさんは待っていた。

勧められるままザバルティさんの部屋の椅子に座る。


「旅は順調かな?」


「はい。ご存じだと思いますが、明日にでもエグゼイドの街に着く予定です。」


「そうか。それは良かった。」


その後、少し雑談を交わした後ザバルティさんが姿勢を正した。


「煉に頼みたい事があるんだが。」


「何でしょうか?」


「エグゼイドの街で私と一緒に会って欲しい人物がいる。」


「構いませんよ。」


「ありがとう。」


深くは聞いていないが、たぶん依頼が来ているんだろうなと憶測が出来た。それにザバルティさんの頼みを断る事は僕には出来そうもない。

その後、軽く打合せし食事をして元の場所に戻った。


翌日の昼にはエグゼイドの街に到着した。

約束通り、夜までに準備を終わらせてザバルティさんと合流した。

そのまま街の中を歩き冒険者ギルドへと入っていった。


「すいません。ミス.ドロンジョさんはいらっしゃいませんか?」


受付に着くとザバルティさんは直ぐに用件を伝えながら、手紙の様な物を渡す。

ちなみに、ザバルティさんは注目の的だ。それはそうだ。僕から見ても貴公子って感じの姿なのだから。気品とイケメンを併せ持っている。ざわつかない方が不自然だと言えるのではないだろうか?


「だれ?あの人?カッコいい。」

「凄い美女ばかりだな?すげぇ。」


そんな声があちこちで上がっている。だが誰も声をかけようとはしない。

何故なら統一された装備を持っているからだ。一見しただけでも凄い価値のありそうな武器・防具を装備している4名プラス僕。僕の装備もザバルティさんに創ってもらった物だし洋式ではなく和式の装備だから目立つ。だけど、色が白で統一されているから一層目立つんだ。どこかの国の騎士団と言っても誰も疑わないのではないだろうか?

実際ザバルティさんは貴族なのだから間違いではないけど。

少なくとも、目立つが上級者と一目でわかる事で、変な輩は絡んでこない。あくまで様子見という感じだと思う。


そして、奥の扉が開いた。そこから中年より年配に差し掛かった年齢の女性が出てきた。


「よく来てくれたね。こっちへ来ておくれ!」


その言葉がフロアに響く。


「なんだと?ミス.ドロンジョが部屋に招くだと?」

「どこのお偉いさんなんだ?それとも上位の冒険者か何かか?」


等と驚きの声があちこちから湧き上がる。


「うるさい奴らだね!黙りな!!」


その一言で静まるフロアに僕達の足音だけが響いた。


部屋に入ると、ミス.ドロンジョと呼ばれた女性は静かに僕達を見つめている。


「アンタが、ホワイト・ブラック・シャイニングの二人の孫かい?」


ザバルティさんが少し動揺を見せた気がしたが、気のせいだろうか?

そして、ミス.ドロンジョさんはザバルティさんを指さし、疑わしいという目で見る。


「ええ。そうです。」


「本当に大丈夫なのかね?まだAランクなんだろ?」


「そうですね。それは間違いありませんよ。」


「あの二人も耄碌してんじゃないのかい?」


「試してみますか?」


「ほぉ、偉い自信だね。良いだろう。それならウチのAランクパーティーのブラック・デストロイヤーと手合わせしてもらおうか?」


「良いですよ。」


この短い会話の中で、ミーリアさんやシーリスさんが怒気を含んだ目になったが、やんわりとザバルティさんが制していたりもする。


「ふん。強気だね?」


「ただし条件があります。」


「なんだい。言ってみな?」


「そのパーティーだけでは、話になりません。他には居ませんか?」


「はぁ!?馬鹿にしてんのかい?」


今度はミス.ドロンジョさんが怒った。


「いいえ。どちらかと言えば、貴女が私を馬鹿にしているだけではありませんか?」


「何だって?!」


「今回の問題を解決できない者達が私に勝てるという方がオカシイでしょう?」


「はははは。良いだろう。そこまで言うんだ。この街の領主に掛け合って人を集めようじゃないか。明日の昼、またここに来な。大けがをしても知らないよ!」


フンス―!って音が聞えそうな程の状態になているミス.ドロンジョさん。


「はい。楽しみにしております。では、今日はこれで失礼します。」


ザバルティさんは丁寧に挨拶をすると僕達に合図し部屋を出ていく。

僕達もそれに続いて出て行った。


「生意気な!!」


そんな大きな声がドアを閉めた後に聞こえたが、ザバルティさんは笑っていた。

そのまま冒険者ギルドを出た所で僕は聞いた。


「あんなに煽って良かったんですか?」


「何でだい?」


「だって、紹介で来たんですよね?紹介した祖父母の方の面目とか大丈夫なんですか?」


「ああその事か。それは問題ないよ。」


「どうしてですか?」


「う~ん。敢えて言うならあの手の人は本当に身に染みてもらわないと信用してくれないんだよ。私の見た目はこんなだろ?普通は信用したくても出来ないさ。それにAランクは高位と言っても何処の街にも一人くらいは居るからね。それじゃ、信用に値しないだろ?」


そうかもしれないな。実際この街にもAランクパーティーは居るみたいだしね。


「わかりました。」


そう言えば僕も、まだザバルティさんが戦っている姿を見た事は無いな。助けてもらうばかりだったし、訓練もザバルティさんの仲間の誰かだったからね。明日が楽しみだ。


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