31 奴隷商人と精霊使い
「条件とはなんだ。」
「私も仲間に入れてください。」
≪なんじゃと?≫
精霊ペレは驚きを隠せない。だが、ザンギスは真顔だ。
「なに。商売人として利があるとふんだからですよ。」
「それだけか?」
「商人に他に理由が要りますか?」
「いや、他には無いだろうな。だが、利益とはなんだ?」
「簡単です。貴方は組織を作る。その組織は必ず大きな物となるでしょう。この世界には沢山のハーフがいますから。で、大きい組織はお金を生みます。そのお金を動かす事が出来る。これは利益でしょう。」
「お前の方の利益は何となくわかったが、こっちにはあるか?」
「私があなたの仲間になる事で、商売関係の事を任せて頂けるなら成功をお約束しましょう。これでも商人の端くれですからね。商売は得意です。それに、私は奴隷商。奴隷を集める事が出来る。つまりハーフをより多く集める事が出来る。いかがですか?」
ラムザは深く頷く。しかし、納得しているようではない。
「だが、俺の考えが上手くいくとは限らんぞ?」
「承知してますよ。でもね。さっき貴方が言った言葉は本気でしょう?そんな事を言う人間を私は知らないし、私には無い発想でした。そんな貴方だから、賭けてみたいんです。」
「そうか。でもなぁ。」
「疑り深いですね。なんなら私を奴隷にしますか?夜のお相手でもしましょうか?」
ザンギスは妖艶なしぐさをする。精霊ペレは驚く。
≪なんじゃと?≫
「いや。結構だ。でも、そうだな。そこまで言ってくれている人を断るのは変だな。」
ラムザはきにした様子もなく即答する。が納得はした様子である。
「そ、そうですよ。(私には色気がないのかしら?)」
≪今、お主何と言った?≫
ザンギスの小声を聞き逃さなかったペレは問うが、ラムザはスルーして答える。
「では、よろしく頼む。」
「かしこまりました。」
ザンギスは気を取り直した様子で、ラムザが差し出す手を握りしめ、綺麗な目を輝かせて握手するのだった。
≪我は何か疎外感を感じるのぉ~。≫
「ペレすまないが、エリザに伝えてくれ。新しい仲間を紹介するから、帰る際には食事の用意を頼むとお願いしてくれ。」
≪我は・・・良かろう。先に出る。≫
ペレは何かを言いかけるが言わず、館を出て行った。
その後、ザンギスとラムザは今後の話し合いをするのだった。
◇◇◇◆◇◇◇
ザンギスとの話し合いが終わり、ラムザはザンギスを伴い家に着いた。
「お帰りなさい。こちらの方がザンギスさんですか?」
「そうです。エッちゃん元気だった?」
「エッちゃんって?えぇえぇ?もしかして、プーちゃん?」
「そう、プーちゃん。今は色々あってザンギスって名乗ってるけど。プリメラよ。」
ラムザを余所に、エリザとザンギス?プリメラはお互いを懐かしみ抱きしめあっている。
「知り合いか?」
「幼馴染です。でもまさかプーちゃんに会えるとは思っていなかったです。」
「そうね。私は8歳の時に連れ去れてしまったからね。」
「積もる話もあるだろう。今日はゆっくりとしていけば良い。」
ラムザがそう言って、椅子に座るように促す。
「早速、本題に入る。これからの事だが先ずは、ザンギスの所に居る奴隷を全員に会う事にする。その上で、協力的は者から仲間にするつもりだ。当面は奴隷のままで居てもらう。で、エリザ。良い物件はあったか?」
「はい。ありました。旧貴族が利用していたらしい大きな敷地と屋敷がありました。数件あるようですので、ラムザさんにも見てもらいたいです。」
「わかった。では、奴隷の方はザンザスに任せる。俺が見ても基本的にわからん。」
「それは構わないのだけど。名前はプリメラと呼んで欲しいわ。貴方の仲間になったのだから。勿論、仕事の時はザンザスと言ってもらう方が良いのだけど。エリザもプリメラと呼んでね。」
「勿論よ。」
「わかった。プリメラと呼ぼう。」
「ありがとう。で、ラムザさん。奴隷の事なんだけど、先ずはペレ様の力を借りたいの。精霊が見えるか見えないのか?で初めの仲間としては有力だと思うから。」
≪良い考えじゃ。我に頼るとはよくわかっておる。我は構わんぞ。≫
「ありがとうございます。それで精霊使いの集団を先ずは作りましょう。基本はハーフエルフになると思うけど、ハーフには特別な子が多くいるから楽しみにしていて欲しい。」
「では、明日からは行動する事にしよう。エリザと俺で屋敷を。プリメラとペレで奴隷の方を頼む。」
「後、奴隷の主人はもちろ勿論ラムザさんで良いのよね?」
「そうだ。」
「では奴隷契約時にはラムザさんに来てもらう必要があるから、明後日には来て欲しいわ。」
次々とここ数日の予定が決まっていく。第二目標の仲間集めは順調にスタート出来そうな感じである。
「じゃあ俺は、近くの酒場に飲みに行ってくる。お前たちはゆっくりしろ。」
そう言ってラムザは家を出て夜の酒場に行くのだった。




