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307 精霊使いは報告を受ける。


プリメラより報告を受けるラムザの顔は厳しいモノになっていた。


「そうか。厳しい状況の様だな。」


「はい。正直独立に力を貸してまでの利は無いかと思います。」


「確かに、利は無いな。だが、その糞みたいな貴族は排除したいものだな。」


「はい。あのやらしい目つきに狂気の色が伺えました。人物としても施政者としても厳しいでしょう。逆に何故あのような者が、実力主義と名高いカーリアン帝国においてエリア長たる地位についているのか?そこは疑念の余地があります。何かを企んでいるのかもしれません。」


「可能性はあるな。あそこの宰相はたしか?」


「ラシアン宰相。切れ者で有名な御仁です。マニンス伯爵との関係も無いに等しい人物です。ですので、企み有りと思って動かれた方が良いかと思います。」


「そうか。現状では表立っての動きは慎んだ方が懸命か?」


「そうだと思います。」


「仕方あるまいな。現状、スパルタに戦力を残しつつの状況ではカーリアン帝国程の大きな国を相手に動くには厳しい現状だからな。それで、ロックフェラ連合国も表立っての動きはしそうにあるまい?」


「はい。現在同様に裏からの手助けが良い所でしょう。精々が金を融資し傭兵や武器を整えさせるぐらいの事しか出来ないでしょう。」


「他のエリアや街の情報では安定している国のようだからな。」


「はい。優秀なエリア長がキッチリと治めている印象です。」


「難しいな。」



トントン。

そんな厳しい状況の話の中でノックの音がする。


「誰だ?」


「私だ。ザバルティだ。緊急で話出来たので、直接来た。」


答えを聞いたラムザは席を立ち扉を開けた。


「どうした?連絡も無く?」


「すまないな。頼まれ事が出来て、計画の修正の話をしに来たんだ。」


「そうか。今こっちも色々と報告を受けていた所だ。」


「ザバルティ様。ご無沙汰しております。」


「おぉ、これはプリメラさん。お元気でしたか?」


「はい。この度はご協力いただいておりありがとうございます。」


「いやいや。たいした事はしてませんよ。でも丁度良かった。」


「はい?」


「あ?どういう事だ?」


「それより、先ずはお座りになったら如何でしょうか?」


ラムザとザバルティは気が逸る為にそういう所が気がつかない様子だが、プリメラがザバルティとラムザを諫める様に勧めた。

それに同意し、ザバルティとラムザは椅子に座る。ザバルティの後ろにはシーリスが立ち。キャリーが飲み物を持って席に用意する。その飲み物を飲んで一息ついた。


「で、どんな変更だ?」


「あぁ、それなんだが、拠点の変更を考えてな。」


「拠点の変更?」


「ああ、どうもきな臭い話がある街が出てきた。エグゼイドという街は知っているか?」


「たしか、同ディケイド地区の北に位置する街ですよね?」


「プリメラさん知ってたか。そう、その街だ。」


「何故その街なんだ?」


「どうもそこに、祖父母の知り合いがいるようで、助けを呼んでいるみたいでな。私が力を貸す事になったんだ。」


「そうなのか?」


「ああ。」


「それは丁度良いかも知れませんね。」


「何故だ?」


「独立を起こそうとしている街に開いても、問題でしょう。それよりもそちらに店を構えると、どちらにも動けます。」


「なるほどな。ではプリメラ。早速準備に取り掛かってくれ。」


「わかりました。」


「という事は、こちらで独自に動かさなくても良いという事かな?」


「そうですね。ザバルティ様はしばしお待ちください。」


「そうか。では誰か先に連絡をさせに行かせよう。後あの周辺の情報が欲しいと思っているんだが、シェリルを行かせようと思っていたんだが?」


「それは、こっちでやろう。報告はトーマス中心で良いか?」


「頼めるなら助かる。正直私の仲間は少ないからな。」


「お互い様さ。ゲートの許可はくれ。人員を決定したら、そちらに一度顔見世に行くよ。」


「わかった。」


「では、私は準備に入りますので、帰らせてもらいますね?」


「わかった。頼むぞ。」


「はい。ザバルティ様もまた近いうちに。」


「ああ、そうだね。よろしくね。」


二人に挨拶をしたプリメラは席を立ち部屋を出ていく。そのままゲートで現地に戻るのだろう。


「ところで、カーリアン帝国で動くにあたり、煉を表に立てようと思う。流石に他国の貴族の息子とわかると国際問題になりかねんからな。」


「だろうな。わかった。で、お前はどうするんだ?」


「そこなんだが、冒険者登録をし直すかと考えているんだ。」


「ほぉ。名前を偽るのか?」


「いや、ただのザバルティ。でいこうかと思う。全く違う土地で登録すればわからないだろうからな。」


「そうかもな。じゃあ俺も加わるか?」


「おいおい。一人くらい裏方に居てもらわねば問題が起こった時の対処が遅れるだろ?それにお前はダメだよ。名前が売れすぎているし、顔もそれなりに知れ渡っているよ。」


「なんだよ。お前はよくて俺はダメなのか?」


「諦めろ。今回は敵国なんだ。それに商会長が、何処かに肩入れしているというのはあまりよくないだろ?今後の為だ。」


「たく、何だかんだ言って楽したいだけじゃないのか?」


そう言って笑いあう二人。

お互い楽しそうにしている。闘う相手が大きいからなのか?厳しい状況だと思えるからなのか?逆境こそ彼らは楽しめるのかもしれない。団塊の世代は逆境に強いのだから。


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