298 夢、幻の如く。
何故人は人を愛するのか?
何故人は人を憎むのか?
何故人は人を信じるのか?
何故人は人を裏切るのか?
何故人は人を生むことが出来るのか?
何故人は人を殺すことが出来るのか?
それは、人に知能があるからだ。
それは、人に感情があるからだ。
人は人であるが為に、博愛にもなり残酷にもなる。
人は人であるが為に、聖者にもなり悪人にもなる。
真理と矛盾が支配する世界において人間ほど、それに則した存在は無い。
人は統率を望み、自由を欲する。
いくら時代が変わろうとも、人の根源に変化は無い。
≪愛しさ余って憎さ100倍≫
≪隣の芝は青く見える≫
≪無い物ねだり≫
人は≪欲望≫によって根源に変化を持つ事が出来なかった存在である。
その≪欲望≫によって文化が産まれ、化学を発見する。
ここに真理と矛盾が同居するのである。
この世界は真理と矛盾によって成り立つ。
で、あるならばこの世界を統べる事が出来る存在は真理と矛盾を持った存在でしか、『ありえない』のではないだろうか?
荒神:荒ぶる神
その存在は、神であるが為に真理を持ち、荒ぶる事で矛盾を持つ。
その存在こそが最高なのではないだろうか?
人は荒神の眷族では無いのか?
聖神:聖なる神
その存在は真理であり、矛盾を持たない聖なる存在。
聖神ではこの世界を統べる事が出来ない。
矛盾を抱える事が出来ないからだ。
その為に、世界は矛盾を悪魔に求めたのである。
「悪魔とは存在そのものが悪なのではない。人を惑わし、悪行を行わせる存在なのだ。」
果たしてそうだろうか?
人が聖であろうとして己の中にある矛盾を追い出そうとして悪魔を利用したのではないだろうか?
その答えはまだ出ていない。
人は憧れるのだ。矛盾の無い存在に。
人は恋焦がれるのだ。矛盾の無い存在に。
しかし、あえて言おう。この世は真理と矛盾で成り立っている。
この世界を統べる事が出来るのは真理と矛盾を抱える存在だけだ。
では、君に問おう。
この世界に真理は何処にあるのか?
この世界に矛盾は何処にあるのか?
◇◇◇◆◇◇◇
不思議な夢を見た。
一体何だったのか?
俺にはわからなかった。
誰に問われていて、誰が答えねばならないのか。
『真理と矛盾』
この問いが表す所は、『聖なる神』はこの世界に存在する事が出来ないと考える事ができるのではないだろうか?
だとするならば、この世界は神により創られたモノだとしても神により統治される事はない。人でしか、この世界を統治出来ないという事なのではないだろうか?
であるならば、俺は答えの一つである統治をおこなう必要がある。
世界の統一と世界の統治。行動によって示す必要がある。
「くっくっく。良いだろう。俺がこの世界を統一し統治してやる!」
荒ぶる神の眷族の人である俺が成し得る。
かの伝説のリン・M・ジャポネス統一皇帝。
俺も歴史の伝説になってやろう。
全て俺の手に入れてやる。
奪う行為であっても、盗む行為であっても厭わない。
真理と矛盾こそが俺自身なのだから。
欲望こそが答えだ!
俺は、その夢に唆される様にその道を進む事にした。覇王の道を。
◇◇◇◆◇◇◇
私は不思議な夢を見た。
一体何だったのかしら?
私にはわからない。
私は世界が欲しい訳じゃない。
だけど、皆を救うには統一するしかない。
世界を救うんじゃない。私の大切な皆を救いたいだけ。
「わかった。私が荒神の眷族であるならば私がやる。」
真理と矛盾が必要なら、それを纏う。
真理と矛盾を変えていく。
それが出来れば、私の思う世界にする事が出来るなら私はなんだってする。
世界中の皆が幸せになる事。私が望むのはただそれだけ。
全ては皆の幸せの為。
私がしなければいけないのなら、私がしよう。
私が必要であるなら、私はそれに答えよう。
私はその夢に決断を求められたから決断した。私は皆の為に。
◇◇◇◆◇◇◇
僕は不思議な夢を見た。
一体なんだったのだろうか?
昨日の戦が与えた影響なのだろうか?
僕にはその答えがわからない。
誰が、答える必要があるのだろうか?
ただ言えるのは、僕は人であり、この世界に愛する人が出来た。
統一とか統治とか僕に興味は無い。
だけど、僕の愛する人が傷つけられたりされるのは許せない。
それが例え、神であろうと。
荒ぶる神が、僕の愛する人を傷つけるのであれば、僕は最後まで抵抗する。
僕の出来る事を最大限発揮して、僕の出来る範囲で、愛する人を守る。
「僕は、愛する人を守りたい。」
いつかくる幸せの時間の為には、苦しみも悲しみも寂しさも全て超えてみせる。
その為の我慢や努力は厭わない。
僕の欲望は愛する人と共に。
全てが欲しい訳じゃない。
愛がなければ、どんな物も直ぐに色褪せる。
全ては愛する人と共に。
僕は夢の影響で改めて自分の思いを知り、確信した。僕は愛と共に。
◇◇◇◆◇◇◇
一つの夢。
しかし、その夢から受ける事は人それぞれ。
貴方は、貴女は、
どんな事を感じたのでしょうか?
それは、
貴方にしか、貴女にしか、
わからない事。
そして、
貴方は、貴女は、
どんな行動をとるのでしょうか?
この世界の全ては全部、
貴方しか、貴女しか、
決める事は出来ないのです。
貴方に、貴女に、
幸あらんことを。




