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296 盗賊の襲来!


僕達がカーリアン帝国に入って直ぐの事だった。


「一時間もしない時間で500人くらいの盗賊団と正面からぶつかる事になる。」


そう警告を発したのは、ザバルティさんの私設兵団所属のトーマスさんだった。


「一体、どうやってその情報を手に入れているのやら。」


バーナードさんも感嘆するその索敵範囲は異常を極める。と言ってもザバルティさんを知る僕等にとって、まぁそうなんだろうな。って感じにはなっているけどね。

その情報を元に一度、隊は現場に留まり、対応策の話し合いとなる。


「困りましたね。流石に10倍の数を相手取るのは厳しいのではないですか?」


この隊の隊長であるプリメラさんが質問を投げる。


「難しいだろうな。」


リスターさんの同意に場は静まり返る。


「そもそも、冒険者であって傭兵団では無いかなら。」


確かにリスターさんの言う通り僕達は冒険者なのだ。魔物を相手取るのは難しくは無いが同じ人間を相手にするのは少し勝手が違うと思う。そもそも僕は人を殺した経験が無い。いざその場になったらどうなるか分からないというのもあるんだよね。


「では、どうだろうか?ここは私どもに任せてもらえないだろうか?」


徐にトーマスさんが発言したんだけど、どういう事だろう?


「ちょっと待て。それは君達10人ばかりで対応するという事か?いくら何でもそれは無茶が過ぎると思うが。」


リスターさんが言う通りだが、プリメラさんは少し様子が違う。


「まぁ、こんな時の為に私達が居るんだ。働かして貰いたい。どうかなプリメラ殿。」


トーマスさんはプリメラさんに直接交渉に出た。


「うむ。じゃが失敗した時のリスクヘッジはどうする?」


「それは、必要ないと言えるのだが、まぁそうだな。後方に下がって見えない所に居てもらいたいとは思うな。」


その時、プリメラさんの目が光った気がしたのは僕だけだろうか?


「良いだろう。トーマス殿に任せよう。」


「ありがたい。で一つ相談なんだが、煉も参加してもらいたいと思っている。」


「おいおい。」


「煉も俺と同じ年だし、それにザバルティ様がこういう時は煉を参加させるようにとおっしゃってね。」


「と、申しておるが、どうかな煉殿?」


仲介をとってプリメラさんが聞いてくる。けど、僕の意志は決まっている。


「もちろん、僕が参加して良いなら参加させてください。」


「よかろう。決まりじゃ。では他の者は今日の出発地点まで後退する。急げ!」


プリメラさんの号令により一気に皆が動き出す。数分も掛らずに後退を始める。

その間に僕は一旦ブライトさん達と離れ、トーマスさんと合流する。


「良く決断したな。怖くないか?」


「はい。怖いですね。人を殺める事が出来るか不安です。」


「そうだな。その心配があるよな。俺も一緒だよ。あははは。」


「そうなんですか?ビックリです!」


「そうか?同い年だぜ?ただ、まぁ煉とは違うと言えば、貴族だって事かな?」


そう言って笑うトーマスさんはとても頼もしく見える。


「まぁ、個人的能力や戦闘力では、俺は煉よりかなり劣るから、期待しているよ。」


「わかりました。頑張ります。」


「あぁ、好きに動いてくれて良い。お前は遊撃だからな。」


そう言って、馬車の中へ入って行った。


「アンタが煉か?」


「はい。そうですけど。」


「すまないね。アタシはステファネスって言うんだ。改めてよろしく頼むよ。」


「ええ。はい。お願いします。」


「なんだい?硬いねぇ。リラックスしなよ?」


と言って肩をバンバン叩いてくる。

この人は10人で500人を今から相手にするというのに、余裕だな?


「そんなに緊張するんじゃないよ。今日は集団戦闘の実演なんだ。もうすぐ準備は終わるよ。」


集団戦闘?確かに相手は集団だけど、こっちは10人だけど?

そう思っていると気配を感じる。


「まさか、予定より早く来た?!」


「違うよ。ありゃあ仲間だよ。なんだよ!シェリルが居るじゃねぇかぁ?」


「何よ?私が居たらいけないわけ?」


僕の頭はパニックだ。


「あら?煉君。どうしたの?」


「いや、だってね?この度には居なかったですよね?」


「?あぁ。知らなかったのかぁ~。ごめんごめん。」


「えっ?何を知らなかったんですか?僕は?」


「あれよあれ。」


と言ってシェリルさんが指さす方向は馬車から沢山の人が出てくる姿だった。


「どうしてあんなに人が?どうやって入っているんですか?」


「ほら。あれよ。ゲート♪」


で、合点がいった。みるみる内に人が増えた。およそ500人に及ぶだろう数になっている。

他には、ユカ隊長も居た。ロバートさんも居る。


「あはははは。」


「あれ?壊れちゃったよ?」


これだから、プリメラさんは許可したんだ。

それにトーマスさんの自信もこれに有ったんだ。


「さぁ、久々の実践だ!皆、気を引き締める様に!!」


「「「「「イエッサー!!」」」」」


ユカさんの号令にピッリッとなって返事をする隊員達。

ユカさんの隣にはトーマスさんとロバートさんが居た。


「煉君!こちらへ!!」


「はい!」


ユカさんが僕を呼び隣へ来るようにと言うので、僕は少し驚きつつもユカさんの隣へ向かう。


「ザバルティ様より聞いていると思うが、彼が煉君だ。我らと同じ様に白い鎧を着ているから分かり易いだろう?彼は遊撃として好きに動いてもらう。良いな?」


「「「「「はっ!」」」」」


「さて、煉君。君は好きに動いて良いのだが、戦というモノをみてもらいたいとのザバルティ様の思いがあるようなのだ。だからスタートは私の傍で待機してもらえないだろうか?」


「わかりました。」


「よし。時が来たら思う存分動いて見てくれ。相手は盗賊だ。遠慮はいらんぞ。」


「わかりました。」


こうして僕は、人対人の集団戦を経験する事になった。

ドキドキは止まらないけど、これも経験。アリアさんを助ける為に必要とザバルティさんが考えての事だと思う。

確りと学ぼう!


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