294 カーリアン帝国までの旅。
僕達はシャルマン商会の護衛のクラウン:シャルマンに所属する冒険者として登録された。
ラムザさんの部下たちとなるシャルマン商会からは代表としてプリメラさんという人が選ばれている。どうも、商会のナンバー2であり、基本的に実務代表という立場らしい。商人メンバー10人ほど。
そして、クラウンの代表としてリスターさん。クラウンの創立初期からいるメンバーでクラウン内でもトップ5に居る実力者で、世界に名を売っているSランク冒険者だ。実力はSS級ではないか?との噂のある人だ。ただ、近年では現場に赴く事が減っており、事務方にまわっているらしく、SS級登録はされていないみたい。で、クラウンの冒険者は30名。
で、ザバルティさんの所からは、トーマスさんとステファネスさんを軸に10人ほど参加しているみたい。そして僕達を入れて総勢56名のキャラバンになったんだよね。目立つのは間違いないけど、そもそもシャルマン商会が大きい商会だから、初めての国に行くと考えると少ないぐらいかもしれないと言っていた。
僕達は王都テーストから陸路でアスワン王国の最南西端に位置する街パーソロンに向かった。
正直、アスワン王国は安全な国なので、盗賊などに襲われることは無かった。
モンスターの襲撃も不意を突かれるって事はなく、逆にこちらが不意を突くような感じの戦闘があったぐらいだった。その戦闘も僕らのストレス発散になった程度だったよ。
そしてパーソロンの街で数日の休憩をとる事になった。ここから先はシャルマン商会が出店していない地域になるらしく、色々と打ち合わせとか準備を商人の方々がおこなっているみたいだったよ。
ここから、カーリアン帝国領に入るには二つの国を横断する必要があるらしい。一つはヘイル王国で小さい王国だけど、世界的有名で大きな洞窟を所有していて資源が豊富な国で、初代国王は歴史的な洞窟王として名を馳せる人だったらしい。洞窟を中心とした国で、洞窟がある所に街を開拓して広げた国で現在は10個の洞窟と都市を抱える国になっている。この国が小さい国なのに残っている理由に洞窟を利用した戦略を駆使するからだと聞いた。どうもこの国の洞窟は全て国有化されると共に、制覇されており、洞窟マスターも国が任命された者に代々受け継がせているようで、完全な掌握が他国では難しく、貿易により利益を受ける方が他国にとって有益であると判断されているかららしい。
また、この国に沢山の冒険者が来ており冒険者ギルドが協力を惜しまない関係性で戦力として冒険者が加わる危険性からも小さいのに生き残っているという事みたい。
中々凄い国だと思う。
ただ、この国に滞在するのは街で寝る程度なので、今度はアリアさんとゆっくり冒険をしに来ようと思う。
ただ、気になる事があるとすれば、荒れくれ者も多い事だ。もちろん国が色々と管理しているので治安は良いと思ったけど、それでも冒険者が多い事で一定以上の荒れくれ者が居るのは仕方がない事なのかもしれないけど、やっぱ気になるよね?
で、次の国なんだけど、この国は沢山の都市国家からなるロックフェラ連合国。
都市国家がたくさん集まって一つの国として連合を組んだ国。
ロードスト大陸においてはカーリアン帝国の次に大きな国となる。
議会制で運営していて各々の都市国家の王様が集まる連合国議会を定期的におこなっていて、中心となる場所に首都として都市を築いていてそこには、各都市国家の王の別宅があって緊急時はそこに集まる様な仕組みになっているみたい。言わば貴族の位置に王族がいる感じかな?都市国家も色々な特色があるみたいで、商人色の強い都市国家もあれば、職人色の強い都市国家や武人色の強い都市国家等々、それぞれが特色を持って特化した都市国家が集まっているみたいだし、その様に特化していかないと都市国家連合内での生き残りも難しいみたいだった。200弱程度の都市国家が集まっているんだから、そういう事もあり得るよね。
その中で、僕達が訪れる事になったのは商人色の強い都市国家を中心に回った。
シャルマン商会の伝手らしい。取引先でもあったみたいで、色々と商談もしていたようだった。ちなみに、シャルマン商会がこの国に商会を新規出店しないのは商業都市国家であるサーゲイロード国に配慮しているかららしい。というのも、シャルマン商会はこの都市国家サーゲイロードと色々と商売を通じて繋がりがあったらしく、都市国家スパルタの建国にも協力をしてもらった経緯があるという噂もある程だ。どうも、港をもっている事で外洋取引をしていたみたいで、その時に繋がりを持ったみたいで、ラムザさんも良く知っているようだった。
この連合国も色々と見て回りたいと思った。アリアさんを救出した時には旅行に来たい場所だ。
「さて、ではこれからカーリアン帝国領内に入る事になる。今まで以上に気を引き締めて欲しい。」
このキャラバンの代表のプリメラさんが皆を集めてそう発言した。
いよいよ、明日、カーリアン帝国とロックフェラ連合国の国境を超える。
アリアさんは何処に居るのだろうか?
有力な情報は手に入るのだろうか?
僕は、アリアさんを助ける事が出来るのだろうか?
色々な不安と助けてくれる人たちと共にカーリアン帝国へと向かうんだ。




