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281 ロロ様の謝罪と危険な香り。かな?


トン♪トン♪カン♪


白い空間に響き渡る音は、止まる事なく響き渡る。

リズミカルなその音は音楽の様な旋律となって聞く者を魅了する。

その音を奏でる者の姿を見た者は一人の漏れも無く魅了し虜にしてしまうだろう。

その音の旋律が止んだタイミングで一人のメイドの姿をした女性がその旋律を奏でていた者の傍までやってくると、立ち止まり、礼をする。


「ザバルティ様。そろそろ夕食に致しませんか?」


「ミーリアか?そうだね。丁度完成したから、そうしよう。今は何時かな?」


「今は午後9時でございます。」


「それは、申し訳なかった。勿論、皆の夕食は済んでいるよね?」


「はい。数名除いて皆、ご命令通り済まさせております。」


「わかった。ありがとう。今日は誰か来ているのかな?」


「いいえ。いつも通りザバルティ様のご家族の方だけで御座います。」


「そうか。では直ぐに食堂へ行こう。」


男は手早く今まで作成していた物をその身にしまうと、白いこの空間から出ていく。

その後ろにミーリアと呼ばれたメイドはつき従う。その姿は主従のようであり、その昔の日本の夫婦の姿にも見える。旦那の後を少し離れてついていく妻のように。


そのまま、ザバルティはミーリアを従え食堂へ入っていく。

ここは、ザバルティの館である。その一室の食堂は、主人であるザバルティの指示により館に住まう者や来客者に開放されており、好きな時に食事をとる事が出来る様になっている。

つまり、ザバルティの従者や仲間たちは好きな時に好きなだけ食事をとる事が出来る事が保証されているのである。ただ、主人が夕食を食べていないのに、食べるのはいかがな物か?と思う者が多く居る為に、先に食べる様にと基本的に命令している。


「今日は何かな?」


「はい。今日はザバルティ様がお好きな物ですよ。」


「じゃあトンカツかな?」


ザバルティの予想通りにトンカツが本日の夕食として準備されていた。

席に着き、食事の時間が始まる。

優雅に食べるザバルティにミーリアは話しかける。


「何を御創りになっておいでだったのですか?」


「うん?」


「かなり集中されていらっしゃいましたし、いつもよりお時間をかけて丁寧に作製されていたようですねので、気になっております。もしかして彼の物ですか?」


「あぁ、そうだよ。どうも必要になりそうな気がしていてね。」


「ふふふ。そう言いながら心配で創っているのでは無いですか?」


「敵わないなぁ~。」


そう言って笑うザバルティに、マイナスの感情は見当たらない。テレが入っている。


「何ですか?二人して?」


そこに、別の女性が二人やってくる。


「やぁ、マリリン第三王女。エリザネス第一王女。」


「何、二人の世界を創ってるのよ?」


エリザネス第一王女が改めてツッコミを入れる。


「まぁ、色々とあるんだよ。」


と言いながらはにかんだようになるザバルティを見て両王女は、それ以上言えなかった。

ただ、ポーっと見てしまうのだ。


「ほら、それより二人とも食事をしにきたんだろ?早く座って。」


そうザバルティに進められるままに、席に着き美味しいご飯に舌鼓を打つ王女達だった。



◇◇◇◆◇◇◇



「へっくし!」


「誰かが噂してそうじゃな。」


僕が、くしゃみをするとヒミコ様がそう言う。


「風邪を引いた?とかじゃないんですか?」


「ここは精霊界じゃ。菌等関係ないからのぉ~。」


そうか、肉体が無いから風邪なんてないもんね。あははは。


「随分と元気になった様じゃから、そろそろ、戻ろうかの?」


「えっ?」


「煉も一緒よ。和に戻るわよ。」


桜花さんがそう言うという事は、決定している事なのだろう。


「わかった。もう大丈夫だから行動しよう。」


「よし。桃花、天狗を呼ぶのじゃ。」


「はい!」


桃花さんが隣の部屋から返事をする。


「あの、ロロ様には挨拶しなくても良いんですか?」


「あぁ、伝えてある。あ奴は、申し訳がってお主に会えんよ。」


そうか、でも何でだろう?ただの試合だったんだから、僕がこんな目にあったのも仕方がない事だと思うんだけど。


「まぁ、気にせずとも良いという事じゃ。」


ヒミコ様はニコリと笑って僕にそう教えてくれた。


少しして、桃花が戻ってきて扉を開けた。


「失礼する。」


「ロロ様?!」


突然の訪問だった。


「どうしたのじゃ?」


「・・・。すまなかった。」


「はい?」


「ムキになり精霊神としてあるまじき行動だった。申し訳なかった。」


そういうなりロロ様は頭を下げた。僕に対して下げてきたのだ。


「大丈夫です。僕はこの通り平気ですし。頭を上げてください!」


僕は慌てた。仮にも一つのエリアを統括する精霊神に頭を下げさせてしまった。


「それに、あれは試合でした。参ったと言わなかった僕も悪いんです。だから気にしないでください!」


「そうか?ありがとう。」


今度は握手を求められてしまった。


「もう良いじゃろ?時間じゃ。煉、行くぞ?」


ヒミコ様がそう言ってくれるまで、ロロ様が話してくれなかったのはここだけの話だ。

僕は男に興味はないんだけどな~。ふぅ。

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