28 発表 その3
近場の索敵を終えて戻ると、騎士が来ていた。
「君がザバルティ・マカロッサ君かね?」
「はい。そうです。」
「では、説明をしてもらえるかな?」
「悪意と魔力を感じた。その為、こいつらを捕縛した。それだけだ。後は魔法省の人間にでも尋問させたら詳しい事がわかると思う。後、こいつらには魔法が使えないようにしてある。以上だ。」
そう告げると、騎士は固まった。呆気にとられているとも言える。
「さぁトーマスにロバート会場に戻るぞ。」
「はい、でも良いのですか?このままで。」
「大丈夫だ。もう、衛兵が来ているよ。」
奥の方から足音が聞こえる。私達3人は会場に戻った。
「お帰りなさいませ。ご主人様。」
「うむ。ミーリアどうだ。この会場内に他に怪しい動きをした者はいたか?」
「いえ、居ませんでした。しかし、この状況で気づいた者が居たようですが、ご主人様が動かれたのを見て動かなったようです。」
「そうか、今度その者を教えてくれ。」
「かしこまりました。」
第三王女の声が会場に響く。
「アクシデントがあったようですが、続けます。」
不穏な空気を一蹴するほど元気よく声を出す第三王女。
「では、SSクラスのメンバーを発表します。」
先程と同じように第三王女マリリンの周りに魔力が高まる。
「それは、貴方達です。」
との声と同時にマリリン第三王女より後方から黄金に輝く鳥?鷹?が飛び出してきた。鷹は迷う素振りをを見せず飛んでいく。
そして私達の方にもそれぞれ飛んできた。そして肩に止る。見た目は鷹だが、大きくない大きさは鳩位だ。とても強い魔力を感じる黄金の鷹だった。しかし、残念ながら私の肩には止まらなかった。他の四人には止まったというのに・・・。
「今、方に黄金の鷹が止まった方がSSクラスに選ばれた方々です。そして・・・」
虹色に輝く鷹が同じく第三王女の後ろから登場した。
そして一直線に私の方に飛んできた。そして私の肩に止った。
「そして、今回は貴方が、ザバルティ・マカロッサ君が主席です!!」
「もしかして、マカロッサ子爵家の者か?」
「えぇ?まさか??」
「おぉ~。」
等とあちらこちらから声が聞こえる。
ピュ~と口笛を第三王女が吹くと鷹達が大きくなり片足で私を含むSSクラス予定メンバーを掴み上げてステージへと飛ぶ。私を中心として黄金の鷹に連れられた者達がステージ上に立つ。
会場は拍手喝采に包まれた。そして、第三王女マリリンはステージに立つ私達にそれぞれ握手をするのだった。最後に私の所に第三王女マリリンは来た。
「ザバルティ君。ようやく来たわね。待ってたわ。」
「えっ?と、ありがとうございます。初めまして、ザバルティ・マカロッサです。」
マリリン第三王女は「が~ん。」という音が響いたのではないかという位のショックを受けた顔になった。
「初めまして?初めましてって言った・・・。」
「マリリン殿下。大衆の面前ですので、私用は後程に。」
しかし、それを隣に居る護衛の騎士がすぐさま第三王女の気持ちを立ちなおさせたようで、直ぐに冷静を装った。
「では、ザバルん。後で城に来てくださいね。SSクラスの皆様と一緒に。ザバルんは今後の話がありますから、別途ワタクシとの面談です。よろしいですね?」
有無を言わさないっといった感じで言い渡された。笑顔が怖い。温和な感じでおっとり顔だった第三王女マリリンは殺気立つ怖い感じになっている。なぜだろう?顔の後ろに鬼が居る。何か私は失礼な事をしたのであろうか?よくわからない。
「ザバルん。よろしいですね?」
あれ?今、【ザバルん】って言わなかった?オカシイ?初めてお会いするはずなんだが。しかも、念押しされた。
「は、はい。かしこまりました。」
「よろしい。では、お待ちしております。」
とにかく、他のメンバーに声をかけようと周りを見渡すと、何故かミーリアが険しい顔になってる。「ちっ!」こっちも殺気が凄い。ミーリアの後ろに般若が見えるのは気のせいだろうか?
やはり、マリリン第三王女に対して失礼な事をしてしまったのだろうか?しかし、護衛の騎士の方々には注意されていないのだが・・・。
「では、この後の事はアクセラ・ルボンド学院長にお任せします。」
と、さっき迄の殺気立つ顔ではなく、初めの温和なおっとりした顔で前を向いてマリリン第三王女が締めくくる。
「ご紹介に預かりました。アクセラ・ルボンドです。ここから先は私の方から発表させていただきます。」
黒いローブを羽織った眼鏡をかけた女性が話し出す。いかにも仕事出来ますキャリアウーマンです。といった感じの知的な美女だ。見た目はこちらも20代だ。黒髪の赤と黒のオッドアイの白人だ。神秘的な印象も受ける。
「その前にSSクラスのメンバーは先輩学院生の後をついて教室へ案内してもらってください。」
私達SSクラスのメンバーは学院生に連れられてステージを降りた。
そして先導してくれる先輩学院生に連れられてスタジアムの入り口を抜け、学び舎へと向かうのだった。私の頭は混乱しているのだが、物事は進んで行く。




