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276 やっぱり闘うのね。


やっぱり、そうなりますよね・・・。

という事で御前試合を行う事になりましたとさ。


「やはり、力は大切なファクターだ!知る必要がある!!」


最後にロロ様からその様なお言葉を頂きました。

あれだよ?僕も頑張って回避する方向で色々と試したんだよ?ホントだよ?

でも、最終的には権力者の声ってさ、【鶴の一声】っていうじゃない?あれを痛感させられただけだったよ。とほほ。

で、今は御前試合の前の準備中で、控室に急遽なった様な場所にて準備中です。

と言っても、特別にする事ってないんですけどね。あえて言えば集中でしょうか?

脳内リフレッシュが必要と言えるかもしれませんね?後は想像力の向上と、神経伝達?が必要なのかな?それを今更どうにかできる訳もないので、どうしようも無いですよね?


「煉殿。準備が出来ました。会場にお入りください。」


呼び出しがかかりました。

丁寧な言葉で裏庭に来いと言われている様な錯覚に陥ります。


「煉。頑張る!」

「応援してますね。」

「煉。手抜いて良いんだよ?」

「必ずや、勝利を!!」


温度差のある感じが変な緊張感を飛ばしてくれる。


「なんだよ?手を抜いて良いって?」


「決まってるでしょ?勝っても負けても問題ないんだから。」


桜花さん一人が空気感が違うので、突っ込んでしまった。


「勝っても負けてもって、かなり違いますよ?」


「はい?」


「勝てば、ロロ様がお認めになり色々とここでの優遇が考えられます。逆に負けるとヒミコ様への不評に繋がるばかりか、最悪このエリアから追い出されてしまうかもしれません。」


「えっ?」


「何せ、ロロ様以下このエリアの方々は揃って武を尊びますから、どうしてもその様になってしまうのですよ。」


「ですが、姉上。煉は人の精神体でしかないのですよ?しかも強引にロロ様が決められてしまった事です。断る事も出来たのではないですか?」


「確かに桜花の言う通りです。断る事も出来ました。しかし、あの顔を貴女も見たでしょう?煉君に対する侮蔑の顔を。ねぇ煉君。貴方なら奴らの代表だってぶっ飛ばせるでしょう?」


あれ?梅花さんが怒ってる?まさか怒ってるの?


「お姉ちゃんが怒ってるの初めて見たかも?いつもは悪戯顔なのに、目がキレてる?」


ボソッと桃花

の呟きに僕は同意した。確かにここに来る時も何かを企むような顔になっていたけど、それとは違う【怒り】の感情が溢れている気がする。


「ヒミコ様に振られた男が腹いせに、ヒミコ様が認めた男を捕まえて八つ当たりって男として情けないとは思わないの?!」


梅花さんが爆弾発言をかましました!皆少し驚きと引きが混ざった顔になっています。


「男なら、男らしくしろって言うんですよ!!さぁ、煉君。あんなみみっちい男の部下なんてぶっ飛ばしてあげなさい!!」


「はい!!」


梅花さんの物凄い剣幕と勢いにやられて返事をしてしまいました。


「よろしい!それが男です!!」


「は、はい!」


そう言われて、尚且つ背中をバン!っと叩かれた僕は、やるしかないのね?と心の中で覚悟を決めた。


「すいません。煉殿、まだですか?ロロ様がお待ちなのですが?」


「あっ、はい。直ぐに行きます!」


案内役の方が再度外から声を掛けてくるので、返事を返した。


「と、兎に角、やれるだけやります!」


「うん。頑張って勝ってくださいね?」


笑顔の怒り目の梅花さんに強く手を握られた。

他のメンバーは若干、先ほどの爆弾発言で勢いは削られている。


「煉。無理はしないように。」


「わかった。ありがとう桜花。」


僕は皆に見送られて、控室を出ると案内役の方が待っていた。


「すいません。ではよろしいでしょうか?」


「はい。案内をお願いします。」


僕達は会場の場所まで案内された。

僕以外の者はそこから観覧席の方へと案内された。


「こちらです。」


僕は闘技場を思い浮かべた。

ドラゴン〇―〇とかに出てくるあのリングが、入口の向こうに見える。

入口の向こうは明るく輝いているので、かなり注目されて闘う事になりそうだとか思いながら進んだ。


『すまぬのぉ。我の所為で闘う事になってしまって。』


申し訳なさそうな声が聞えてくる。ヒミコ様の声だ。


「似合わないですよ?」


『うるさい!しおらしておれば、調子に乗って!!』


「そうそう、そんな感じで居てもらわないと、調子が狂いますよ?」


『煉は我を何だと思っておるのじゃ?』


「ヒミコさんですよ?他に何かありますか?」


『ふん。心配した我がバカみたいじゃないか?』


仕方がないでしょう?僕は泣き声とか聞きたくないんですから。


『負けてもかまわぬから、無事に戻って来い・・・。』


やっぱり、いつもと違う。ここは本当なら、『死ぬ気で闘え!』とか言いそうなのに。


「気にしないでください。楽しみますから。」


『そうか。わかった。ありがとう。』


「はい!」


僕は、これ以上は無用という意味を込めて力強く答えた。

さぁ、闘いの時間だ。

僕に今出来る事を精一杯頑張るだけだ。それが、僕の先に待っている運命に打ち勝つ唯一の手段だと思うから。だからこそ僕は前を向いて頑張るだけだ。


僕はグッと腕に力を入れて両手を合わす。


バンっ!


廊下に響き渡る音は僕の覚悟の決まった音に思えた。


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