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260 露天風呂は日本風?


「ずるいって何ですか?」


引き攣った顔になって聞く桜花さん。

確かにズルいって何だよ?意味がわからん。


「ずるいもんはずるいのじゃ!?」


子供?子供なの?


「そんな事言われても・・・。あの人もそう呼んでたし・・・。」


あの人って誰?そもそも呼び捨てにされているのは、まぁ差があるからで、無ければねぇ?


「あの人?あの人は誰なのじゃ!?」


何故か、ここで鋭い視線が僕を襲う。何故僕に聞く?しかも、鋭い視線は一つじゃない。複数が僕の体を射る。


「あの人って、たぶんですが、アリアさんの事じゃないかな?」


「アリアとな?そいつは何者なのじゃ?そもそもどういう関係なのじゃ?!」


ヒミコさんは僕に近づいてきて、肩を掴み、ブンブンと揺らす。


「痛いですよ?アリアさんは僕の彼女ですよ?今は囚われていて、助け出したくて、力が欲しくて僕はここに居ます。」


アリアさんの事を思い出いして心が弾けてしまいそうになるのをグッと堪えて、答えた。最後の方は言葉が震えていたんじゃないかな?たぶん。


「本当か?本当なのじゃな?」


「はい。本当です。」


ヒミコさんの質問に僕が答える前に、桜花が即答した。いや、してくれた。

たぶん、この時の僕はまともな様子になっていなかっただと僕は思っている。


「ヒミコ様。それぐらいにしてあげてください。」


「ほら、煉殿も困惑されていらっしゃいます。」


桃花さんと梅花さんが助け船を出してくれたらしい。

ヒミコさんは二人の声を聴き、僕を見て、そっと方から手を離した。


「す、すまぬ。申し訳なかった。」


素直に謝罪をしてくれたらしい。

その時の顔は、顔面蒼白になっており、痛々しかった様だ。

だが、僕の顔がそれを上回る程に、おかしくなっていたみたいだ。



◇◇◇◆◇◇◇



そう、僕はアリアさんの話をした処から、記憶が無いのだ。全て聞いた話なのだ。

次に気づいた時には宿の温泉に浸かっていたのだから。


「ふぅ~。」


と僕は人知れず、息を吐きだしていた。


「あれ?ここは?さっき迄、確かヒミコさんに肩を掴まれていた気がするんだけど?」


気が付いたら温泉に浸かっている。

目の前には湯けむりが立ち、岩風呂の岩の隙間からお湯が入り込んできている。

見るからに日本の温泉。露天風呂。


「それにしても、精神体であるこの状態でお風呂に浸かるっていうのも科学的に考えたら変だよね?どんな効能があるんだろう?」


「それは、精神の安定・思考能力の上昇に効果があるんですよ?」


「そうなんですね?」


「それに、裸の付き合いというコミュニケーションが図れます。」


「そうですよね。裸の付き合い大事ですもんね。」


「そうなのじゃ。良いコミュニケーションじゃと思うぞ。」


「です。です。」


「やっぱ、風呂っていいですね。・・・わぁ!!」


今、近くから声が聞えていた気がする。おかしい。返事が返ってきていたし、会話が成立していた。僕は今回男一人なのだから、一人で入っているハズ・・・。いや、そもそもどうやってここに来た?記憶ないのに分かる訳ない。


「どうしました?」


「あ、あの。もしかして皆さんいらっしゃいますか?」


「そうじゃ。何かおかしいか?」


あれは、桜花さんの声に返事はヒミコさんじゃないですか?

お風呂に入っているからなのか?僕の背中に一筋の汗が流れる。


「何故?いらっしゃるんですか?」


「お風呂なのだから、普通でしょう?」


僕は目をつぶる。これ以上はダメだ。見てはいけない。見てしまうと何かを失う気がする。


「あの、僕は一応、男なんですけど?」


「知っていますよ。そんな事。」


「もしかして恥ずかしがっておるのか?」


「そりゃあ、そうでしょう?皆さん女性ですよね?」


えっ?もしかして僕の勘違いで皆は男なの?ねぇ?


「まぁ、そうじゃ。じゃが、ここには肉体は無い。精神体なのじゃから、そう心配せずとも大丈夫じゃ。それにな?」


「ええ。これは謝罪の一環でもありますからね。」


「謝罪ってなんですか?」


「ふむ。やはり覚えておらんか?すまんかったの。」


何故、謝られるんだろうか?心の表面ではそう考えている。しかし、涙は流れてしまう。


「ほら、ヒミコ様。だからそれは今はダメですって。」


「そうじゃった。申し訳ない。」


そう、涙は止まらなかった。僕はその涙の所為で一緒に入っている方々の裸を見る事にはならなかった。少しもったいなかったのかもしれない。


「あれ?今、スケベな事考えました?」


この声は、風花さんだったかな?ってそうじゃなくて、気づかれた?でも女ってわかってないよね?そういう事を言われてしまうと。こっちはよりそういう事を想像してしまうモノだという事を。


「あっ、また?」


今度は、火花さんかな?ってまたってどういう事?


「それ位にしてあげてください。殿方なのですから、普通でしょう。」


「もう。煉さんのエッチ!」

「男とはスケベな生き物じゃな。」

「・・・変態!」


言いたい放題言われてます。

そんな事を言うなら、一緒に入らなければいいじゃないか!!っと強く目をつぶり、若干前かがみになりながら、思う僕でした。すいません。



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