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259 温泉街の様子。


折角の幻想的な風景を堪能するという状況をぶっ壊してくれたヒミコ様。

一体何がしたかったのか?分からん。分からんから、皆無言になる。

だから、一見したら幻想的な風景を見つつ歩いている集団って感じだと思う。


道は本当に少しづつ下るように造られている。

だからこそ、上から見る景色にとなっているので、灯篭の明かりが良く見える。

少し無言で歩いていた。


「見てください。私はここからの景色が一番好きなんです。」


梅花さんがそう教えてくれた場所は。崖の上にある道の小休止が出来るちょっとした空間で、森の木が一旦なくなる場所。


「凄いね。」


僕の一言目はそれだった。

眼下には和式の館?旅館の様な建物が軒の並べている。そしてその所々に食事処だろうか?日本の温泉街にあるモノがそこら中に見える。その中を人々が行きかう。まぁ人という形をした精霊なんだろうけどね。風景的期には間違いなく日本の温泉街を古風にした感じだね。


「でしょう?私が初めて見た時もそう思いましたよ。」


少し前の日本人ならこの良さに気づかないで、古臭いとしか思う事は無かったかもしれない。いや、もしかすると懐かしいという気持ちになったのかもしれないけど、令和を生きる予定だった僕には、新鮮で凄い建物ばかりだった。一体どうやったら、あんな感じの建物が建造出来るのだろうか?下より上が大きいなんて?あれ?何処かで見た事があるような?

あれなんだっけ?


「あの正面にある大きな建物は何ですか?他とちょっと違う様子なんですけど?」


「あれですか?あれはこの温泉街の一番最初に建てられた物です。よばあば?とかいう方が所有しているんじゃなかったかしら?」


「それって、ゆじゃないんですか?」


「そうだったかしら?でもまぁ、この中でも異質な建物かも知れませんね?でも、今の持ち主は違う方になってるはずですよ?」


「そうなんですか?」


「えぇ。でも何故そこまで気にするんですか?」


「いや、ちょっと知っている様な気がしたので。」


「えぇ?精霊界にある温泉宿を現世の方が知っているんですか?」


「いや、まぁ、その。」


「どう伝わっているんですか?」


これは答えていいのだろうか?う~ん。まぁ、細かい話じゃなければいいかな?


「僕が知っている話では神々が集う温泉宿でした。凄い賑わいを見せてましたよ。」


「へぇ。でも見せていたって変な話ですね?」


「あぁ、確かにそうですね。あははは。」


「でも、知っているなんて、凄いですね。もしかして迷い込んだ人が居たのかしら?」


「そうかもしれませんね。あははは。」


笑ってごまかせ。って思いました。はい。


「ところで、僕達はどの宿に泊まれるんですかね?急に来たから泊まれない可能性もありますよね?」


そう、急に決まった場所だから、今から宿を探さなければいけないのだ。


「決まっておろう。あそこじゃ。」


「そうなんですね。って決まってる?あそこじゃ?」


「「「「ヒミコ様!」」」」


護衛役の四名が傅く。後の二人も頭を下げている。つうか、何で来てるの?


「やめよ。こんな所で。」


「「「「はっ!」」」」


すくっと立ち上がる護衛役。頭を上げる二人。


「ヒミコ様。何故ここにいらっしゃったのですか?公務はよろしいのですか?」


「公務?そんな物は他の者に任せてきたわ。気にするでない。」


「は、はい。ですが、本当に」


「くどいぞ?後、聞いておるじゃろうが、煉はわしの事を呼び捨てにする様に厳命してある。よいな?」


「「「「はっ!」」」」

「「はい。」」


「という事じゃ。煉も良いな?」


「わか…」


「少し良いですか?」


僕がしぶしぶ承諾しようとしたタイミングで、割り込む桜花さん。


「なんじゃ?」


「それは、職権乱用というヤツではありませんか?」


「何?」


「煉が、特別な業績を成しているわけでもなく、またヒミコ様と同じ地位でもありません。それなのに、特別扱いをされるというのは甚だ迷惑だとは思いませんか?」


「はぁ?誰が迷惑だと申すのか?」


「煉に決まっているではないですか?煉の立場をお考えになっての事は無いのではないですか?周りの者になんて思われるか考えた事が無いのではありませんか?」


「煉が迷惑を被ると言いたいのか?」


「はい。そうです。」


「ふむ。言いたい事はわかった。じゃが、ワシはそうは思わん。煉はいずれはワシと同格になれると思っておる。じゃから、今何か不足があったとしてもそんな些細な事は解決する男じゃと思うが、桜花はそうは思わないのかの?」


「そ、それは・・・。」


桜花は僕を一瞥して再度、ヒミコさんに顔を向ける。


「確かに、ヒミコ様の言う通りかと存じます。しかし、現在の違いを考え、【様】付けでなくても【さん】つけは、煉も言っておりますので、許可しては如何でしょうか?」


「ううむ。」


ヒミコさんは黙って下を向いてしまった。考え込んでいると言えるのかもしれない。


「・・・ずるいのじゃ。」


「はい?」


「桜花だけズルいのじゃ。呼び捨てで言い合う関係がズルいのじゃ!!」


「「「「「「はぁ~?!」」」」」」


全員一致で驚く僕達をよそに、赤い顔をしたヒミコさん。つうか、今この人ズルいって言った?言ったよね?WHY?


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