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254 盗聴された僕達。 


「煉さん。どうしたんですか?」


「急にヒミコさんが割り込んできたんだよ。」


「えっ?どこです?」


桜花が辺りをキョロキョロと見渡す。


『わかるまい。お前さんに渡したイヤリングの機能じゃ。この声はお前さんにしか聞こえんよ。』


という事らしい。

てかどういう構造になってんの?これ。


『じゃが、旅に出るか。良いのぉ~。我も行きたいのぉ~。』


うん。ちょっとウザい。


「桜花。このイヤリングの所為で、こちらの声が聞えているみたいで、向こうからの声は僕にしか聞こえないみたいなんだ。」


「そうですか。」


『我が力をもっと使えば出来ん事も無いがな。』


本当に煩い。


「ちょっと、ヒミコさん黙っててくれる?」


『久びりじゃ。そんなに邪険にされるのわ。良いぞ。黙っておこう。』


全く、油断も隙も無い。こそこそ聞き耳立てるとか。


「はぁ~。」


ため息も出るというモノでしょうよ。


「とにかく、旅に出ようか?」


「わかりました。」


旅に出る事を決めた。

決めたが、この精霊界をどうやったら旅をする事が出来るのかが分からないから先ずは情報収集が必要なんだけど、ヒミコさんに聞くのは嫌だと思ったし、僕しか聞こえないんじゃあんまり意味が無いから止めておいた。

ちなみに、このイヤリングを外そうと試みたが、何故か外せなかった。体の一部みたいになっている。またここでもため息が出た事は言うまでもない事だと思う。


で、そうこうしている内に桃花さんが、迎えに来た。


「そろそろ食事ですよ~。」


そして向かった食堂の様な所には皆が胡坐をかいていた。

そう、机というかお寺さんで出てくる?時代劇で見かけるあの風景で、精進料理が用意されていた。

いくら何でもそこまで似せなくてもと思ったけど、それは僕だけが感じる事だろうから、心の中でだけ突っ込みを入れた。

後、味は・・・まぁ、そういう事だ。精霊界だからね。


で、食事が済んだ所で旅に出たいと申し入れたら、凄く物凄く驚かれた。


「えっ?たび?たびってあの旅ですか?」


「う、うん。そうだけど。」


「ほんとう、本当に旅に出るんですか?マジっすか?」


「そうだって言ってるじゃん。」


「ヤッホーイ!」


桃花さんが飛んで喜びを表す。いや着いていけないんですけど?何この子?


「何をそんなに喜んでるの?」


「いやだって旅に行けるんですよね?」


「行けるってどういう事?」


「だって、私は煉さん達のお世話係ですよ?ご一緒する事になるんですよ?それはつまり行けるって事じゃないですか!」


僕の両手を掴んでブンブン振る桃花さん。の手を桜花さんが引き離してくれる。


「落ち着いてください。」


「す、すいません。つい。」


ついでそうなるってどういう事?


「申し訳ない。この子はまだ、ここから出た事が無いのですよ。だから、旅と聞いて喜びすぎてしまったんです。すいません。」


隣にいた方がそう説明と謝罪をしてくれる。優しい人だな。


「と、とにかく旅に出る事をキヌ様に伝えてきます!!」


今度はドタバタと走り去っていった。それほどに迄嬉しい事なんだなとは思うのだけど、不安もまた大きく感じる。


「大丈夫です。あの子だけが着いて行く事にはならないでしょう。あの子は貴方達のお世話係ですから、案内役と警備役が選任されるはずです。ご安心ください。」


「そうですか?ところで貴女は?」


僕が尋ねると、申し訳ないと顔に書いてあるような顔つきにになってその優しい女性が答える。


「すいません。私は梅花と申します。あの子のお姉ちゃんといった所でしょうか?そして貴女のお姉ちゃんでもありますかね?」


僕のお姉ちゃん?という訳じゃなく、桜花に言ったみたい。


「えっ?」


「ヒミコ様からお聞きになってはおられませんか?桜花殿は元々ここの出身であると。」


「聞いています。」


僕が返事をし、桜花は黙って頷く。


「私と桜花殿と桃花は姉妹の様な関係なのです。」


「貴女が私のお姉ちゃん?」


「そうですね。私は桜花が生まれてきた時の事を覚えています。そして、ここを出る時の事もシッカリと覚えていますよ。」


しんみりした空気感になったけど、いったいどれくらい前の話なんだ?


「桜花は生まれて直ぐにあちらへ行ってしまったから、あまり覚えていないかもしれませんね。ヒミコ様もおっしゃっていました。桜花は運命の子だと。あちらで成すべき事があると。」


「そうだったのですか。」


僕は改めて、桜花とこの梅花さんも交互に見てしまった。

それにしても三姉妹とは。って、もしかしてそれを分かっていて、キヌさんが桃花さんを僕達の世話役にしたのかもしれないな。

僕は空気を察して二人にすべく部屋を出ようとするが、桜花は付いて来ようとする。

それを何とか宥めすかして、一人庭に出て、二人きりにした。

まぁたぶん、桃花さんも一緒に加わるんだろうけどね。


僕は特に目的もなく庭に出てきたものだから、やる事もなく、ぶらぶらと庭園を歩く。

それにしても、凄く日本の風景に似ているんだけど、何処かが違うんだよな?

いまだにその違いがわからないんだけどね。あははは。


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