表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

253/367

253 ドッキリ!は止めてください。


「まぁ、良い。では今後の事をキヌに任せる。我は戻らねばならぬからな。」


「かしこまりました。」


「あっ、そうそう。これをお前さんにやろう。」


ヒミコさんは一瞬にして僕の前に出現して僕の耳に触れる。


「これがあれば、お前さんは儂と何時でも話が出来る様になる。都合が良かろう?」


妖艶な色気を放つ笑顔になったヒミコさんは僕の耳にピアス?耳飾り?をつけた。そして僕の頬にキスをする。


「ヒミコ様!」


「ふふふ。そう怒る出ない。桜花をここに連れて来てくれた礼と先ほど楽しいモノを見せてくれた礼じゃ。」


ヒミコさんが手でキヌさん達を制してそう言い放つと、スッと姿を消したのだった。

隣から放たれる殺意をどうしてくれるんだろうか?

そもそも、このピアスで会話が出来るとは何だ?


「全く、ヒミコ様は!」


怒り全開と言った感じでキヌさんが吠える姿は少し可愛くて笑ってしまった。

すると、隣からの殺意が増してしまった!なぜ?と思って振り向くと、そこには般若の如き顔になっている気がする。やはり、桜花もキヌさん同様にヒミコさんの悪戯の様な行動に腹が立っているのだろうな。さっきも『何故、止めなかったのか?』って聞いていたしね。


「煉さん。」


「はい!」


色々と考えていたらキヌさんが僕を呼ぶので、少し驚いて返事をしてしまった。


「煉さん達にはここに滞在する間の場所を用意いたします。私が案内をしたい所ですが、ヒミコ様の代わりにここを纏めなければいけません。そうですね・・・桃花。」


「はい。」


「貴女に煉さん達の案内と世話を任せます。いいですね?」


「はい。喜んで!」


桃花とよばれた女性が僕達に紹介された。


「これからは、何かあれば桃花に言ってください。ほぼどんな事でも聞き入れますので。」


「わかりました。」


「では桃花。頼みましたよ?」


「はい。」


キヌさんが奥の部屋へと向かっていくと桃花さんがズイズイと寄ってきた。


「改めまして、桃花です。宜しくお願いします。」


「煉です。こちらこそ、宜しくお願いします。」


「頼む。」


僕達は挨拶を改めて自己紹介をして挨拶を交わした。

そして、僕達が滞在する部屋に案内される。

宮殿のような社殿の本殿の隣に建てられた渡り廊下の先にある建物で直会殿とでも言うべきか、その建物の一室を用意されていたんだけど、なんか時代劇?平安時代の感じと言えば良いのかな?その時代の宮殿?光源氏とかで出る宮殿ってまさしくこれなんじゃ?と思わせる感じの装いです。

中庭って言うのかな?池があって木とかが植えてある。春夏秋冬を表しているって聞いた覚えがあるんだけど、まさしくザ・日本の庭園です。はい。

あれなんだっけ?『この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば』だっけ?間違ってたらハズいけど、そういう和歌を歌いたくなるのは僕が日本人だからかな?

DNAってやつ?


「煉さん。一つ伺いたいのですが?」


「何?」


「煉さんはああいう感じの女性が好きなんですか?」


「はい?ああいうとは?」


「ヒミコ様のようなって事です?」


モジモジしながら急に質問してきた桜花。


「う~ん。どうかな?僕はアリアさんが好きだから、ちょっと違うのかな?」


「あぁ、そうでしたね。でも鼻の下を伸ばされてませんでしたか?」


「うん?確かにドキッとしたよ?でもそれと好きとは違うと思う。」


「そうですか。」


なんだか落ち込んでいる様子の桜花。今日は何だか桜花のイメージがだいぶ違う感じがして調子が狂うな。


「どうしたの?何かあった?」


「いいえ。何でもありません!」


今度は少し怒った感じになる。女ってわからん?!って思う。


「煉さんは鈍いですねぇ~。」


今まで黙って聞いていた桃花さんが、ふとした感じに言ってくる。


「何が?」


「いえいえ。それでは、お食事の準備が出来ましたらお呼びしますね。」


「食事ってあるの?」


「もちろんです。肉体が無い状態になっている煉さんも時間の経過と共にお腹が空くはずですよ。夢で食事の夢とか経験は無いですか?」


あぁ、そうか。確かに食べる夢とか見るな。うん。


「あるみたいですね。じゃあ少し時間がありますので、今後の事を少しでも話し合っておいてくださいね?」


「わかった。ありがとう。」


そう言って、桃花さんは出て行った。

今後と言ってもどうすればいいのかわからんな?


「桜花はどうしたい?」


「特にはありません。」


って答えられてしまった。

でもこんな経験って早々出来る訳ないと思う。

という事は?


「冒険する?」


「はい?」


「いや、旅に出るか?って事だよ。桜花は初めてじゃないようだけど、僕にとっては初めての事だから、精霊界ってどんな所か気になって。」


「なるほど、それも面白そうですね。」


「だろ?それにここと現世では時間の概念が違うとかで、焦る必要が無いって教えてもらった訳だし。」


「確かに。では旅に出ますか?」


「そうしよう。」


『うむ。面白そうじゃのぉ~。』


突然ヒミコさんの声が聞えてきた。どうやら聞こえていたようだ。ってどこで聞いてるの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ