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252 精霊契約というモノ。


「では、桜花と主従の契約を結んだ僕は精霊と契約できないんですね?」


「いや。それが違うのじゃ。」


「そうですか。えっ?違う?」


「そうです。違いうのです。契約できます。先ほども話しましたが、人によりキャパは違います。それに桜花殿はあくまで刀の精霊なので、依り代がその村正という名の刀なのです。ですから、煉さんとの直接の契約にはキャパが有るという事になります。」


「依り代がある精霊は、直接契約とはならないんですか?」


「そうです。煉さんとの契約に桜花殿は【村正・桜花】と名乗りませんでしたか?」


「はい。」


僕は返事をし、桜花は頷く。


「ですよね。それが証拠です。物を依り代とした精霊には氏がつきます。それが証明です。」


「そんな理由が名前にあったとは、ビックリです。」


マジですか~!っていう僕の感想と共に、何故か納得している所がある。

氏名の意味を考えていた。

元々は地区名を名乗っていたという。例えば【三宅村の次郎】とかそんな感じだったと思う。

それから、時の天皇が下賜したり、自称したりする者が現れた。

藤原とか蘇我とか有名じゃないかな?

上流階級とよばれる貴族がスタートだと思われている。

貴族の世界に入り込む為にとかもあったのかもしれないけど、次は武士の階級の人達が名乗るよね。平氏や源氏が有名かな?

で、次は商人や農民等の平民層に移る訳だ。

つまり氏が示すのは所属するグループを示す。

そして名前はその者を示すという感じかな?


つまり、精霊であった桜花は村正という名の刀に宿る事になった訳だから、その時点で【村正の桜花】と成ったという事だね。

だから、村正の刀の精霊に成っている訳だ。

そして、それは刀の精霊から主として認められた訳だ。それは刀から認められたという事にもなる訳で、純粋な精霊契約とは異なる形という事になるのかな?


「なので、煉さんには二つの契約をお勧めできます。」


「はい?」


「村正・桜花とは別に結ぶ精霊契約ですが、普通の方々と同じように、純粋な依り代が煉さん自身となる契約を交わす事。それとは別に、依り代を用意した契約を結びそれを装着するというモノです。」


「ほぉ~。考えたなキヌよ。」


ヒミコ様が唸る。


「どういう違いがあるんですか?」


「煉さんを依り代とした契約の場合は基本的に100のキャパが有るとすると、100までの力の精霊との契約です。ですが、依り代を用意する事で、煉さんのキャパを越えた強さの力を持つ事が出来る様になります。」


「それって・・・。」


「そうです。抜け道と言えます。しかし問題がない訳ではありません。まずは精霊に認められる事。そしてもう一つは依り代の格が要求されるという事です。」


「なるほど、強い者にはそれ相応の依り代の格が必要という事ですね。」


「そういう事になります。これは煉さんには問題ない事ですが、【物に宿る】という考え方が出来る者でないとそもそも今回の事は成立しません。」


なるほど。


①万物に神が宿るという考え方が出来る人

②精霊に認められる必要がある人。

③精霊の格に見合う依り代を用意する必要がある。


という事だね。なかなかに厳しい条件ではないだろうか?


「う~ん。難しいんですね?」


「そうですね。早々すべての条件を満たすのは難しい事でしょう。提案しておいて何ですが、厳しい事には変わりありません。そもそも格の高い依り代を用意するのも大変に難しい事です。」


「そうでもないぞ?」


そこで、ヒミコさんがにやりとした顔で僕の方を指さしてくる。


「な、何ですか?急に?」


「ふっふっふ。今、現世では神話級の武具が急速に増えてきているでは無いか。」


「えっ?」


「何を驚いておる?現実に精霊がその武具に宿っておるようじゃぞ?他の精霊神が言っておったわ。」


「そうなんですか?」


「そうじゃ。それで、お前さんはどうする?」


そうヒミコさんに聞かれたが、そもそもどうやれば精霊が依り代に宿ってくれるというのだろうか?

それにその格ある依り代を用意できるのか?名のある武具とかは、どうやらもう既に宿っている可能性が高い訳だし。

更に言うなら、精霊に認めさせるのはどうやってすれば良いの?

人と同じように性格がありそうだし。そもそもそんなに悠長な事をする時間は無い気がする。


「ヒミコ様。そんなに急かしても答えはでないと思われます。ここは時をかけて考えるべき案件で御座いますので、お時間を差し上げてはいかがでしょうか?」


「それもそうじゃな。良かろう。滞在を許す。好きなだけ居れば良い。」


「えっ?でも戻らないとマズくないですか?」


「それは大丈夫です。ここと現世は次元が違う世界です。時間の流れや概念がちがいますので、安心して熟考してくだされば良いかと存じます。」


「そ、そうなんですか?」


「あぁそうじゃ。そこは安心するが良い。儂が保証してやろう。」


ヒミコさんが急に神様らしく見えたのは見間違いだろうか?


「うん?今失礼な事を考えなかったか?」


「いいえ!」


鋭い眼差しでヒミコさんが僕を射抜く感じがしたので、即答した。逆に怪しいか?

ヒミコさんの方を向くと何やら怪しい空気感になってるよ。はぁ~。





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