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250 精神世界での戦闘。


「では、私がやりましょう。」


「いや、僕がやるよ。」


桜花に気を使われてしまったが、僕はやる気がない訳じゃない。

それに、体を動かす事が出来ないのは僕の所為だと思う。僕は頭が悪いから。

今の僕のここでの動きは夢を見ている時と同じで、僕が体を早く動かしているつもりでも結果は動いていないという状況に似ている。

何が解決策なのか、今は分かってない。けど、なんとなくだけどわかりそうなんだ。


「強がり言いやがって!早く倒れろ!!」


ソガと呼ばれた男が僕を殴り続ける。

その攻撃を見る事が出来ている。が、避ける為の素早さが今の僕には無い。

ひたすらにガードに徹してダメージを減らす事に集中して守る。

守りながら、意識を足や腕に持っていく。殴り、蹴り。この二つの単純な動きで僕をめった打ちにしてくる。その攻撃を受けながら、考えを纏めていく。


この世界は、

①精神世界である事。

②この世界は地球や惑星にある概念が無い世界である事。

③僕の体は本来の場所にあり、精神体でここに来ている事。

これらから導き出せるのは、単純に想像力。地球で出来ない事でも逆に出来るんじゃないかという仮説。

ここまでが正しいなら、後は想像するだけだ。思考をクリアーにして単純に想像する。そして脳の処理を早くする。ある意味で脳の力を覚醒する必要がある。

とにかく、やってみるだけやってみよう!


僕は想像する。ソガの腕を掴み取る事を。


「何!?」


僕は想像する。ソガの腕を持ったまま、投げ飛ばす事を。


「うぉぉぉおぉぉぉ!」


僕は想像する。その投げ飛ばしたソガに追いつき蹴り上げる事を。


「ぐがぁぁぁぁ!」


僕は想像する。蹴り上げたソガに追いつき地面に向かって殴りつける事を。


「・・・がッ!!」


「凄い。・・・煉、凄いです!!」


僕の想像と脳処理速度が上がったのか、想像通りの動きが出来たみたいだ。


パチパチパチ。


手を叩く拍手の音が聞えた。その方向に顔を向ける。


「ふむ。良く気付いたな。物質界で肉体を持つ存在であるお前には脳処理スピードと概念という二つの壁があったはずだが、見事にクリアしたようだな。」


そこには、厳かな空気を纏う着物を着崩した綺麗な顔立ちの地球なら女子高生が仮装しているんじゃないかと思ういで立ちの女性が立っていた。これはもしかして日本の女子高生によるコスプレだろうか?なんて考えていたら見すぎていたようだ。桜花の鋭い視線が僕を射殺すような状態になっているのに気が付いた。


「すいません。」


僕は謝りながら慌てて視線を逸らす。


「よいよい。そうなる事をねらっているのじゃかなら。」


あからさまな挑発だったらしい。それに反応したのは桜花だった。


「貴女は一体何者ですか?」


ストレート過ぎない?その質問。


「ふふふ。何者じゃろうかな?まぁ直ぐに会えよう。」


そう言って、【和服を着崩したコスプレ女子高生】は、ふっと消えた。


「何だったの?あれ?」


「さぁ、とにかくこの者達は放置して元の場所に戻りましょう。」


桜花に従って、来た道を戻る僕達。

その道の向かう先の方から、キヌさんと呼ばれた女性がこちらへ向かってくる。

ススス―という感じで直ぐに目の前に来た。


「お待たせしました。同胞の無礼を謝罪致します。」


本当に申し訳なさそうな顔になっての謝罪だった。僕としては、ここでの動かし方がわかったから、特に問題は無かったのだが、桜花はそうではないらしい。不服そうな顔になっているから、僕が謝罪を受け入れるしかないなぁ~。


「大丈夫です。気にしないでください。少し楽しかったですから。」


「そう言って頂けると助かります。」


ホッとしているのか、安どの空気が流れたが、桜花は厳しい顔のままだった。だけど、僕が謝罪を受け入れた事に対して文句を言うつもりは無いようだ。


「ところで、変な女性とおあいになりましたか?」


「変な?和服を着崩した若い女性に会いましたよ?変だったかは分かりませんが。」


「やっぱり。わかりました。とにかく行きましょう。もう邪魔は入りませんから。」


「あっ、はい。」


キヌさんは初めに案内してくれた時と同じように、スーっと動いて僕達の前を歩く。

そして先ほどと同じく境内に入っていき、先ほどと同じ場所にたどり着く。社殿らしき建物の前には数人の女性が立っていた。数人は桜花と同じような鎧姿。そのほかは皆、和服姿の女性達だった。全員が全員整った顔立ちをしているが、似ている訳では無く、鎧姿の女性は何処か凛とした感じの女性が多く、和服姿の女性は柔和な感じなのが特徴かな?一人一人をじろじろ見る訳にはいかないのでこれ位で許して欲しい。

で、僕達が到着すると一斉にお辞儀をしてきた。


「「「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました。」」」


息の合った歓迎の言葉に一瞬ドキッとするのは僕が慣れていないからかな?

そんな空気間の中、僕達はキヌさんの先導で社殿の様な建物の中に入っていく。

とは言え、社殿は大きく広い。こんな木があるのかって思うほど太い木が柱として使われている。精神世界だからなんだろうけど、壮大で威厳のある空間を形成する一つ一つが神聖な物であると思わされる。


「よく来たな。さっきぶりじゃな。」


はい。来ました。ですよね?そうですよね?こうなりますよね?

目の前には先ほど、会ったコスプレした女子高生が椅子に王座?らしき物に座ってニコニコしているよ。

う~ん。これ面倒な事になるんじゃないの?


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