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245 訓練と美味しい食事


「うぉ~!」


僕を目掛けて飛んでくる武器の数々に対して躱したり、桜花で落としたりする。

この真っ白な空間で長い間、訓練を続けている。

時たま休憩が入るぐらいで、この空間と隣の空間を行き来するだけの毎日が続いている。

時間が経つにつれて焦る気持ちが湧くと『村正・桜花』がリンと音を鳴らす。焦るなと言われている様で、その都度気持ちを引き締め直す。けど、それも偶に起こるというモノで、毎日他の事を考える事が出来ない程ハードな訓練が続いている。


訓練内容はいくつかあるが、今やっているのは、部屋のあちらこちらから武器が飛んでくるのを避けたりして攻撃をかわす訓練だ。ひたすらに休む暇もなく武器が飛来してくる。最近ではその武器の飛び出しだけでなく魔法が飛んでくる様になったのには正直苦戦しているよ。

訓練とは言え、実際に喰らってしまうとダメージは大きい。少量のダメージしか喰らわないと言うような事はない。受けるとぶっ飛ばされて気絶させられる程に強い攻撃なんだ。

だからか、今では気配を感じる様になってきた。≪危険察知≫というスキルの発現が大きいいと思う。


そして、ラムザさんと今おこなっているのが、精霊魔法の習得だ。まだ、残念な事に精霊との契約に至っては無い。どうも僕の魔法の適正は精霊魔法だったみたいで、魔力のアップが少ないのも、精霊との契約が出来てないからとの事だった。


「うむ。なかなか覚えるのが早いな。」


「切羽詰まっていますので。」


「アッハッハッハ。そうだな。このペースなら精霊がそろそろ見える様になるかもしれないな。」


「もしかして、あの綺麗な≪火山の大精霊ペレ≫様を常に見える様になるという事ですか?」


「そうだ。綺麗なというのはあれだが・・・いてっ!何する!」


今の僕にはそこに居るであろう≪寒山の精霊ペレ≫様を見る事は出来ないが、そこにいらっしゃるという存在感は感じている。だから、今目の前で繰り広げられている状況がわかるから良いが、他の人が見たら≪変人≫?というレッテルを貼られるのに違いないと思う。


「勘弁してくれ。煉の前なんだからよ。」


ただの変なオジサンの独り言の様で怖い印象を与えるだろうと思う。うん。


ちなみに、この人は【シャルマン商会】という商会の会長でもあり世界に名が通っている人らしいんだけど、僕と同郷の日本人らしい。どうも、地球の日本は古くから八百万の神と言って万物に神が宿るという概念を持っている民族だし、陰陽師という存在が居て式神を使役したとも言われている地域だ。その地域出身者は、普通の魔法よりも精霊魔法の方が概念を習得しやすく、適正もあるらしい。民族のルーツと歴史がその背景にあり、適正値が高いとの事。たしかに僕も小さいときに【トイレの神様】とか気にしていた時期がある。

だからだそうだ。もちろん個人差があるので、絶対とは言えないらしいが、僕の場合はそれが「ドンピシャで当て嵌まった。」とラムザさんが言っていた。ちなみに「俺と同じだな。」と言ってその時に≪火山の大精霊ペレ≫さんを見せてくれた。


「では、そろそろ、お昼に致しましょう。」


「おぉ!」


僕よりいつもラムザさんの方が先に食いつく。


「では、食堂に行きましょう。」


「コーネスさん。今日は何を食べさせてくれるんだ?」


「今日は【ざるそば】という食べ物だそうです。」


「なに?!【ざるそば】だって!!」


「はい。なぜそんなに驚くのですか?」


「なぁ、煉。お前は分かるだろ?」


「は、はい!」


そう、食事では毎日驚かされている。

日本で食べていた食事をこの屋敷に来てから毎日のように提供してもらっているからだ。

お米をを見た時には涙が出た。

それを見たブライトさんが心配して抱きしめてくれた。あのゴツゴツの腕に抱きしめられた時は気が遠くなったが、お米が食べれるのは本当に嬉しかった。やはり日本人にはお米です。

ちなみにみそ汁や漬物が出てきたり、とんかつやハンバーグ等を提供してもらった。この世界に着て初めて食べた地球の料理だった。

ますます、ザバルティさんの事を謎の人物としての評価が深まってきている。


「でも、どうして【ざるそば】が作れるんですか?ラムザさんがレシピを教えてるんですか?」


「いや、俺にはそんなレシピを覚える余裕なんてなかったよ。」


「じゃあ、もしかして他にも転移してきているんですかね?」


「うん?そうだな。居るだろうな。」


何か煮え切らない返事が返ってきたが、僕達が転移させられているんだから、他に居てもおかしくはない。もしかしたらラムザさんがそういうのに興味が無かったり、会った事が無いからナマ返事なのかな?


「まぁ、深くそんな事を考えずに美味い飯を早いとこ食べに行こうぜ?」


「は、はい。」


そうして僕達は食堂に急いで向かい【ざるそば】を堪能した。

食堂には、ブライトさんやバーナードさん、クリスチーナさんが居た。

あぁ、ミスコンティさんは他のメンバーの所へ行ってるらしいのでここには居ない。


「ジャパニーズは本当に凄いのぉ~。ソードだけじゃなく飯も美味いのぉ~。おぉう!」


ブライトさんは感激しながらワサビにやられた様だった。ブライトさんはいつも笑わせてくれる。


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